草間 彌生《ピンクボート》

※この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 –
改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています。


今回は、草間 彌生さんに焦点を当てます。
キュレーターは初登場、中谷 日出さん(画家、美術家、アートディレクター)です。

作者紹介……草間 彌生(くさま・やよい)さん

派手な水玉の服にピンクのカツラがトレードマークの前衛芸術家・草間 彌生さんは、世界的名声を誇る随一の日本人芸術家。世界中でフラッシュを浴び続けています。その脚光の影で、90歳を超えた今も、抱える病と闘いながら地道で精力的な制作活動を続けています。
展覧会「STARS」は、1950年代から2000年代まで、それぞれの時代で日本を飛び出し、世界に衝撃を与えた現代アーティストたち6人、草間 彌生、李禹煥、杉本 博司、宮島 達男、奈良 美智、村上 隆を紹介。スターたちの初期作品と最近作を並置して展示しています。(2021年1月3日(日曜日)まで)
詳細はコチラ➡ https://www.mori.art.museum/jp/index.html

草間作品の展示リスト
「ミシガン湖」「No.A」「無限の網」
「Infinity Mirrored Room-信濃の灯」「トラヴェリング・ライフ」
「無題(金色の椅子のオブジェ)」「ピンクボード」「芽生え」
「天上よりの啓示(B)」
「女たちの群れは愛を待っているのに、男たちはいつも去っていってしまう」「季節に涙を流して」「たくさんの愛のすばらしさ」
(STARSウェブサイトより)

 

キュレーターより 《中谷 日出さん》

世界の草間、草間 彌生さん。
この展覧会で、名だたる世界的なアーティストの中でも圧倒的な存在感を放つ草間作品。今回の出品数は少ないのですが、草間さんのアーティストとしての生き様を感じるにはとても良い展覧会となっています。実は、草間さんは幼い頃から幻覚、幻聴に悩まされそれを克服するために作品を制作していたということ、ご存知でしょうか。そんな状況を感じさせる作品が初期の作品として展示されています。ある意味、大変な障害を持ちながら自分の表現と向き合っていた草間彌生さんの苦悩と努力の結果が、今の草間さんの存在をつくりあげたと言えます。今回の展示作品の中で私が特に気に入った作品が、このピンク色のボートに同じピンク色の無数の不思議な物体が溢れるように詰め込まれているオブジェ。

日本では無名だった草間さんが単身ニューヨークへ渡り、世界のアートワールドの分厚い壁をブチ破る。その魂のうごめきのように感じました。障害をもパワーに変える草間彌生さんのアーティスト魂、圧巻です。


プロフィール

写真:なかや ひで中谷 日出(なかや・ひで)
東京国際工科専門職大学教授、京都大学大学院特任教授。東京芸術大学大学院美術研究科修了。元NHK解説委員でIT、芸術、メディア分野を担当した。大学では「企画発想法」や「コミュニケーションと記号論」などを担当。アイデアのつくり方やイメージの伝え方の最先端を探究することをライフワークとする。ウェブTV「木曜新美術館」を主宰。介護や支援にかかわる人に向けた専門誌のスーパーバイザーも務める。

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