池田 真悟 HEARTS & ARTS VOL.111
公開日:2025年1月14日
今回ご紹介するのは、池田 真悟 (いけだ・しんご)さんの作品です。
キュレーターは小林 瑞恵さん(社会福祉法人愛成会 アートディレクター、キュレーター)です。
キュレーターより 《小林 瑞恵さん》
池田 真悟(いけだ・しんご)
1984年生まれ
池田は、私たちがスマートフォンやインターネットで乗り換えや地図を調べるように、頭の中だけで行きたい場所のルートや乗り換え、時刻、地理情報を瞬時に導き出してしまいます。また、電車やバスの路線図、時刻表、地理情報、テレビ番組表など、自分が興味を持つ情報を調べ上げ、それらを独自のルールで組み合わせた「遊びの記録」とも言えるノートを作り続けています。
そのノートには、アニメのキャラクターや球団名、地名、放送局名、番組名などを組み合わせたトーナメント形式のゲーム表や、電車の経路や時刻表を活用した表など、さまざまな内容で構成されています。
中でも、トーナメント形式のゲーム表はユニークです。たとえば、池田はゲームセンターで「太鼓の達人」などをプレイした結果を独自の計算方式で電卓を使って算出し、約10桁の数値を導き出します。その数値を基にトーナメントの勝敗を決めるという遊びを楽しんでいます。また、移動中の電車内では、乗客のくしゃみの音をカウントし、それを「アウト」や「ホームラン」など野球ゲームに見立ててノートに記録することもあります。日常の出来事や社会の中のさまざまな要素を巧みに組み合わせる池田の豊かな発想には感心させられます。
池田が鉄道や地理に興味を持つようになったきっかけは、幼少期に両親とともにさまざまな乗り物に乗り、各地を訪れた経験にあるそうです。小学生の頃には、都道府県の形を見ただけでその名前を当てられるほど地理に詳しく、一度訪れた場所には迷わず行けるほどの記憶力をすでに持っていたといいます。
現在でも池田は図書館で、鉄道、スポーツ、科学など幅広い分野の本を借りて情報を収集し、知識を深めながら、「遊びの記録」を書き続けています。
プロフィール
小林 瑞恵(こばやし・みずえ)
社会福祉法人愛成会 アートディレクター、キュレーター。アール・ブリュット関連の展覧会をフランスやイギリス、オランダ等の海外や日本国内にて数多く手がける。2004年に障害の有無、年齢などに関わらず誰でも参加できる創作活動の場 「アトリエpangaea」(東京都)を立ち上げる。近年はアートや音楽、ダンスも入れたインクルーシブなワークショップを企画、開催している。2010年から東京・中野区で毎年開催されている「NAKANO街中まるごと美術館」の立ち上げから、現在も企画・運営等に携わる。
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