今回ご紹介するのは、萩尾 俊雄(はぎお としお)さんの作品です。
キュレーターは小林 瑞恵さん(社会福祉法人愛成会 理事長、アートディレクター、キュレーター)です。

キュレーターより 《小林 瑞恵さん》

萩尾 俊雄 Toshio HAGIO
1987年生まれ

これらは「作品制作」というよりも、「おもちゃづくり」として生まれている。
萩尾は幼い頃からウルトラマンや仮面ライダー、ゴジラなどが好きで、特に怪獣に強くひかれていた。2、3歳の頃には、食卓の濡れた台拭きを怪獣に見立て、敵と味方に分けて戦わせて遊んでいたという。台拭きでは形を保つのが難しかったため、小学1年生頃からは広告紙を使うようになった。

制作に用いるのは広告紙とセロハンテープのみ。とりわけデパートの広告紙は硬さと柔らかさのバランスがよく、萩尾のお気に入りとして25年以上使い続けられている。テレビやビデオ、図鑑を参考にしながら、自分なりの工夫を加えて折り、巻き、重ねていく。1体を仕上げるのに30分から1時間ほどかかる。

初期の怪獣は肉厚だったが、「細い方がかっこいい」という美意識から、次第に鋭く、細い姿へと進化していった。見た目は繊細だが、広告紙を強く巻き、さらにセロハンテープで固めるため、段ボールを突き破るほどの強度を持っている。

大きさはおおむね30cm前後で統一されている。手で持って動かしやすい大きさを重視しているからだ。完成すると萩尾は、その怪獣を手に取り、「怪獣遊び」を楽しんでいる。

作品展示のご案内
中野区役所1階「ナカノのナカニワ」にて、萩尾俊雄さんの作品展示が12月8日(月)まで行われています。ぜひご覧ください。
【会場所在地】東京都中野区中野4-8-1 中野区役所1階【アクセス

プロフィール

小林 瑞恵(こばやし・みずえ)
社会福祉法人愛成会 理事長、アートディレクター、キュレーター。アール・ブリュット関連の展覧会をフランスやイギリス、オランダ等の海外や日本国内にて数多く手がける。2004年に障害の有無、年齢などに関わらず誰でも参加できる創作活動の場 「アトリエpangaea」(東京都)を立ち上げる。近年はアートや音楽、ダンスも入れたインクルーシブなワークショップを企画、開催している。2010年から東京・中野区で毎年開催されている「NAKANO街中まるごと美術館」の立ち上げから、現在も企画・運営等に携わる。


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