今回ご紹介するのは、(社福)幸福会 やまびこ広場(大分市)の藤田 望人(ふじた・のぞみ)さんの作品です。
キュレーターは、福祉実験ユニット・ヘラルボニーの松田 文登さんです。

キュレーターより 《松田 文登さん》

「サインポール」藤田 望人

規則的なルールに縛られた表記や言葉は、解き放たれ、異彩のアートへと変貌を遂げる。
都市の「記号」に眼差しを向ける、藤田望人さんの作品群。

幼い頃から街に溢(あふ)れるロゴマークや看板が大好きだったという藤田さんは、それらの記号性を一度脳内で解体し、新たなデザインへと再構築する。誰もが触れたことのある画材で、誰もが見たことのある記号を、自らの多動性と向き合いながら描き続けていた藤田さんの絵画からは、モダンでおしゃれな佇(たたず)まいの中にもほとばしる気迫が伺える。それはまるで、あまりにも見慣れすぎて疎(おろそ)かにされていた市井の生活やデザインを拾い上げて照射しているかのようだ。

プロフィール

藤田 望人(ふじた・のぞみ)
2001年大分市生まれ。3歳の頃、重度知的障害を伴う自閉症と診断される。
現在は、社会福祉法人幸福会 やまびこ広場(生活介護)に通所。ロゴマークや文字に強いこだわりを持ち、小学生くらいから好きなものを絵に起こすことをほぼ毎日行っている。描くスタイルも独特で、多動もあって常に歩き回っているが、突然座ったかと思うと描きだす・・といった予測不能な描き方をする。

そんな藤田さんの作品は、私たち福祉実験ユニット・ヘラルボニーが岩手県盛岡市に拠を構えるアートギャラリー「HERALBONY GALLERY」の第9回企画展(※会期:2022年2022年5月14日~6月19日、現在は終了)を彩った。

今や描くことが「日常生活の一部」になっているという、藤田さん。
ぜひ、彼が見つけ、力強く描き出した「記号」の面白さを体感してほしい。


プロフィール

松田 文登(まつだ・ふみと)

株式会社ヘラルボニー代表取締役副社長。チーフ・オペレーティング・オフィサー。大手ゼネコンで被災地の再建に従事、その後、双子の松田崇弥と共に、へラルボニー設立。自社事業の実行計画及び営業を統括するヘラルボニーのマネージメント担当。岩手在住。双子の兄。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。

 


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