勝部 翔太 HEARTS & ARTS VOL.137
公開日:2026年1月23日

今回ご紹介するのは、島根県にお住まいの勝部 翔太(かつべ しょうた)さんの作品です。
キュレーターは小林 瑞恵さん(社会福祉法人愛成会 理事長、アートディレクター、キュレーター)です。
キュレーターより 《小林 瑞恵さん》
勝部翔太 Shota Katsube
1991年生まれ
高さわずか3センチほどの大きさで、精巧につくられた小さな戦士たち。勝部翔太は、この極小の造形世界を長年にわたり生み出してきた。
素材として用いられているのは、お菓子やパンの袋を留める際などに使われるアルミタイ。身近な素材を、思いもよらない方法で変換しながら、これまでに自宅で何百体もの戦士を生み出してきた。勝部の制作には、素材の特性を活かそうとする探求心と創意工夫が感じられる。
全体的な色合いはもちろん、顔や足、膝、手といった細部の配色にもこだわりが見られる。小さなハサミやニッパーを使い、数ミリ幅のアルミタイを細かく切り、折り曲げ、形を変えることで、武器の形状や戦士がまとう衣装に至るまで、一体一体に微妙な違いと豊かなバリエーションを生み出している。作品のサイズは、勝部にとっていちばん制作しやすい大きさが、結果としてこの極小スケールだったというだけだ。
小学生の頃、アニメに登場する戦士が好きだった勝部は、戦士のおもちゃを欲しがりながらも、限られた小遣いでは十分に手に入れられなかったことから、自分でつくることを思い立ったという。制作はその頃から自然と始まっていった。
いろいろなアルミタイを試した末、100円ショップで売られているアルミタイがいちばん制作しやすいとして、愛用していた。人形の構造や緻密さによって差はあるが、一体の制作にはおよそ1時間。
10年ほど前は、完成作のうち、特に精巧につくり込まれたものは本人のもとで大切に保管され、展覧会ではそのほかの作品が貸し出されていた。ここに掲載する写真は、展示のために提供された作品である。なお、より緻密につくられた作品は、勝部のもとを訪れた者だけが目にすることができた。
現在は、作品創作については意欲が湧かないということでストップしてしまった。
2013年、イギリスのウエルカム・コレクションで開催された「SOUZOU―Outsider Art from Japan」展では、出展作家のなかで唯一、勝部の作品50点が収蔵され、現在も常設展示されている。
プロフィール
小林 瑞恵(こばやし・みずえ)
社会福祉法人愛成会 理事長、アートディレクター、キュレーター。アール・ブリュット関連の展覧会をフランスやイギリス、オランダ等の海外や日本国内にて数多く手がける。2004年に障害の有無、年齢などに関わらず誰でも参加できる創作活動の場 「アトリエpangaea」(東京都)を立ち上げる。近年はアートや音楽、ダンスも入れたインクルーシブなワークショップを企画、開催している。2010年から東京・中野区で毎年開催されている「NAKANO街中まるごと美術館」の立ち上げから、現在も企画・運営等に携わる。
これまでのHEARTS & ARTSは、こちらのページでご覧いただけます。

「無題」
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