認知症になっても安心して暮らせるまちづくりの取り組みを募集する「認知症とともに生きるまち大賞」。第6回の今年は、20件の応募があり、選考の結果、次の団体を表彰することとなりました。

受賞団体

<本賞>

<ニューウェーブ賞(特別賞)>

本賞とは別に、活動のユニークさと、これからの活動の広がりや進化への期待を込めて表彰します。

「希望のカード」で自由に、安心・安全に外出できるまちに
北見 翼をくださいプロジェクト(北海道・北見市)

認知症になってからも、行きたいところに自由に、安心・安全に外出できる地域をめざし、「自分なりの望み」「ちょっと人にわかってほしいこと」「お願いしたいこと」を記入した『希望をかなえるヘルプカード(希望のカード)』をつくり、地域全体で活かす活動。希望のカードは当事者、家族、福祉関係者にとどまらず、銀行や高校生、行政、地域の様々な人たちとも連携し、理解・応援の輪が広がってきている。
【受賞理由】
この取り組みの意義は既製のヘルプカードではなく、認知症のある人が自分で記入する本人主体の意思表示であることが大きい。カードを作成する過程で周囲の人との話し合いが生まれ、それは地域共生への確かなステップである。認知症のある人が、自分がどう暮らしたいのか、そのためにはどのような理解と支援が必要なのか、「希望のカード」が地域を変えていく可能性に満ちている。
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町民すべてが生涯現役をめざす
藤里町社会福祉協議会「プラチナバンク事業」(秋田・藤里町)

藤里町で暮らす人々が高齢者になっても、認知症になっても、障害があっても、自分らしく、楽しく生涯現役をめざせる取り組み。人口3,000人の町で、約400人がプラチナバンクに登録している。町内の公共施設や町の特産品づくりなど様々な仕事の依頼を受け、自分の趣味や特技を活かしながら、生活スタイルや個々の希望に合わせて、誰でも参加できるような仕組みとなっている。
【受賞理由】
「安心の地域社会」の極めて具体的な取り組み。藤里町では、誰もが生涯現役を目指す「プラチナバンク事業」というユニークな事業が既に定着している。これはこれまでの福祉の常識を覆した。高齢者や障害者を「支援を受ける人」として見るのではなく地域の活力とし、福祉事業所内の自立ではなく、地域での自立へとする「まちづくり」の創生である。藤里町は高齢化率48.8% 、当然認知症のある人も多いが、認知症に特化しないことが、地域住民全員がごく自然な形で参加する本来の「認知症とともに生きるまちづくり」を生み出している。
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新しいカタチで新しい関係を築く
認知症高齢者に「おんぶにだっこ」される地域づくり(愛知・豊田市)

「高齢者の方が家事や育児のお手伝いをしてくれたら?」――。若い人が認知症・高齢者を支えるという構図ではなく、認知症・高齢者が若い人を助けるという発想の転換で始まったのが「おんぶにだっこ」プロジェクト。認知症の人が料理をふるまう子ども食堂を定期的に開催、さらにそれを日常化し、誰でも利用できるレストラン「スマイリングキッチンLABO」をオープン。また、地域の高齢者のサポートを行う「まごころサポート」など次々と新しい活動を生み出している。
【受賞理由】
認知症や高齢の人たちが「危ないから」という理由で家庭や社会からどんどん役割を奪われてしまっている現状を変えたい――。そんな思いの若者たちが、自分たちの子育てを手伝ってもらって、お互いが笑顔に、と暮らしの本音から発想した点が新鮮である。さまざまな活動に発展しているが、子ども食堂からスタートしているため、暮らしに密着した感覚で考えられているのがいい。コロナ禍のなか、回数を減らしながらも継続しており、その持続力も評価できる。認知症の人たちが働くことを楽しみに、次を待ち望む声や姿は、全国の多くの認知症の人たちが切望していることでもあり、この活動が全国各地に波及していくことを期待したい。
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サッカーを通じて、地域を支える存在に
Be supporters!(富山市、神戸市、川崎市、山口市)

高齢者や認知症の人など、普段は周囲に「支えられる」機会の多い人が、サッカークラブの“サポーター”となることで、クラブや地域を「支える」存在になることをめざす取り組み。サントリーウエルネス株式会社がJリーグ4クラブを中心に各地域の福祉施設と協働で活動を推進している。コロナ感染拡大により、施設が地域から分断される中、同じ地域のサッカークラブを応援することで、想像以上の一人ひとりの活力、そして地域との“つながり”が生まれている。
【受賞理由】
企業とともに進めるまちづくりは、すでに各地で活発になっているが、企業が中心となって、企画力やPR力、組織力等を駆使しながら、「認知症とともに生きる」ユニークな活動を創出している。今の閉塞した社会の中で、まちづくりに関する企業の力は大きい。この活動を参考に、全国各地の企業が、社会に根強く残る古い認知症観を刷新し、「認知症とともに生きるまち」に新しい風を起こすことを期待したい。
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これまでの受賞団体

これまでの受賞団体は、「認知症とともに生きるまち大賞」特設ページでご確認いただけます。

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