2023年10月5日に、東京都の大田区立萩中(はぎなか)小学校で「交流教室パラリンピアンがやってきた!」を開催しました。
今回の競技は、東京2020パラリンピックで大躍進した「車いすバスケットボール」。ゲストには、東京大会で銀メダルを獲得した香西宏昭(こうざい・ひろあき) 選手、1996年のアトランタ大会から3大会連続パラリンピックに出場した三宅克己(みやけ・かつみ) 選手、健常者の女子選手である和田実梨(わだ・みのり)選手をお招きしました。

まずは選手たちによる大迫力のデモンストレーション。香西選手が、遠くから打つスリーポイントシュートを次々に決めると、子どもたちから大歓声があがります。

その後は、子どもたちの体験コーナーへ。競技用車いすにのって操作を練習したあと、チームを組んで試合にも挑戦しました!座った姿勢で打つシュートはとても難しいのですが、見事ゴールを決めた子どもたちにはみんなから拍手が送られ、とてもうれしそうでした。

香西選手は、「僕は学生の時から、アメリカなど海外で1人で戦ってきました。行くときはとても怖かったけど、海外のチームメイトたちは、言葉が通じなくても僕にいつも声をかけてくれて助けてくれました。人種の違いとかは関係ないって、日本から飛び出て初めて気づきました。みんながお互いを認めあえるような社会になったらいいなって思います」と語りかけました。

和田選手は、健常者の選手です。大学生のときに車いすバスケに出会い、競技歴は17年。『ELFIN』、『BLAST』という2つのチームで、大黒柱として活躍する女子選手です。 「障害のある人もない人も、男子も女子も関係ない。みんながお互いに声をかけあうことでチームワークが生まれるんだよ」と語ってくれました。

人種や国籍。そして、性別も障害の有無も関係ない。
みんなで協力してチーム、そして社会をつくってゆくことが今どれだけ大切で必要なことか。スポーツの力を感じたひとときでした。

また、交流教室では香西選手への質問タイムもありました。

Q.「筋トレはどんなことをやってるんですか?」
A.「(上半身を鍛える)ベンチプレスをやったり、よく驚かれるんだけど、下半身も鍛えてます」
児童「えっ?!」
A.「僕は、足がひざよりちょっと上までしか無い状態で生まれてきました。でも太ももは動くし、力も使えます。だから、太ももやお尻の筋肉をつけるトレーニングもやってます!」

Q.「車いす生活で不便なことはなんですか?」
A.「いろいろあるよ。今いる理科室の前に10cmくらいの段差があるの、みんな気づいてる?この高さだと自分で乗り越えるの、大変なんだよね。 もし、これがレストランの前にあったときは、近くにいる人に手伝ってもらうか、それができなければ入るのをあきらめなきゃいけない。だから前もって行けるかどうかを調べなきゃいけないんだ。たとえばお蕎麦屋さんに入ったら、通路が狭くて、『ほかの人の邪魔になってしまうので』と、断られたこともあったんだよね」
児童「えーーー!!」
A.「ほかにも、みんなに気を付けてほしいのが、ファミリーレストランとかに行くと、車いすの人たちが使うスロープが設置してあるんだけど、そのスロープに自転車が停められていることがあるんだよね。そうすると通れないので、お店に行くのをあきらめちゃうこともあります。車いすだと生活全てが難しいわけじゃないけど、不便なことはやっぱりあります。町中でスロープとかを見たときは、『どうしてここにこういう設備があるんだろう?』って立ち止まって考えてみてくれるとうれしいな」

Q.「つらいことがあったときはどうしますか?」
A.「みんなは『大人になったらこんなことしたい』っていう目標はあるかな? その目標に向かうためには、実はつらいこともあるんだよね。僕は車いすバスケをやっているけど、実は走り込みは本当にキライ。きついじゃん。でも、もっと速くなるため・もっとうまくなるために、つらい練習もしなきゃいけないし、試合に負けてつらいこともあります。でも目標に向かって進むためには、つらいことがあっても前に進む。みんなと一緒だと思います」

最後に香西選手は、大切にしている言葉をみんなに語ってくれました。
「僕が大切にしている言葉は『今日は今日の100%を出す』。いまの僕にも、いい時もあれば、うまくいかない時もある。うまくいかないときでも、前に進んでもっともっとうまくなりたいから、『今日は今日の100%を出すんだ』と決めて頑張っています!」

質問の時間が足りなくなるほど、香西選手にたくさんのことを質問してくれた萩中小学校のみなさん。本当にありがとうございました!

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