今回ご紹介するのは、工藤みどりさんの作品です。
キュレーターは、福祉実験ユニット・ヘラルボニーの松田 文登さんです。

作者……工藤 みどり(くどう・みどり)さん

キュレーターより《松田 文登さん》

美しく、優しく降り注ぐ、色彩の雨 

ある時はふわふわと、夢見るように周囲の誰かに笑顔で話しかけては場の空気を一瞬にして暖める不思議な力を感じる、工藤みどりという一人のアーティストがいる。

岩手県の八幡平市に生まれ、同県花巻市にある「るんびにい美術館」のアトリエに在籍する工藤みどりさん。彼女が描くアートからは、美しさの中に優しさや暖かさも感じられ、どこかみどりさんの人柄が現れているように思える。

写真:工藤みどりさん

2020年に総理大臣官邸で行われた「安倍首相と障害者の集い」では、当時の国の長である安倍首相に向けて、みどりさんは自身のアート作品がデザインされた洋傘を手にしてこんな言葉を放った。

「お兄さん、お兄さん、私の洋傘買ってよ!」

最初は周囲も驚愕していたものの、すぐにその場は安倍首相含め一気に笑顔に包まれた。

彼女が創作活動をはじめたきっかけは、誰に言われたとかではなく、るんびにい美術館のアトリエにいる八重樫季良さんや他の利用者の方が絵を描いているのを見て、突発的に始めたのだそうだ。好きな事は日中活動でやっている糸巻き。織り糸の切れ端を集めて山のように高くしていく。

「(無題)」

「(無題)」

みどりさんの制作は、瞑想から生み出されるような果てしなさがある。彼女が描く時、縫う時、あるいはよくわからない「なにか」をしている時。自分が今「なにか」を作り出しているという意識はあるのだろうか。ふとそんな疑問を感じさせる、不思議な空気が彼女の制作には漂っている。

「(無題)」

冒頭の全体的に青が多い「色彩の雨」のような本作は、本人曰く青に隠れる僅かな「ピンク色」がお気に入りのポイントだという。まさかの回答だったが、彼女の心だけに映る何かがそこにはあるのだろう。

穏やかで、誰とでも壁がなく接してくれるみどりさん。

彼女が描く世界はその人柄を表したように、明るく、楽しく、美しい。

※本稿は2020年6月19日に株式会社ヘラルボニーが実施した工藤みどりさんのインタビュー取材を元に再編したものです。


プロフィール

松田 文登(まつだ・ふみと)

株式会社ヘラルボニー代表取締役副社長。チーフ・オペレーティング・オフィサー。大手ゼネコンで被災地の再建に従事、その後、双子の松田崇弥と共に、へラルボニー設立。自社事業の実行計画及び営業を統括するヘラルボニーのマネージメント担当。岩手在住。双子の兄。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。

 


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