新生NHKハーツの60周年記念事業の一環で行うオンラインフォーラム“ウィズコロナ”を機に考える「共生社会を手にするための知恵とは?」(7回シリーズ)の第2回。2020年9月6日、NHKハートフォーラム<オンライン>「子どもの発達障害~コロナ禍で見えてきた‘悩み’を共有する~」と題したフォーラムを開催。全国からの約1000人のお申し込みをいただきました。

出演

本田 秀夫(信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授)
近藤 幸男(横浜市立鴨志田中学校 主幹教諭 / 通級指導教室 主任)
綿貫 愛子(臨床発達心理士 / 東京都立特別支援学校外部専門員、特別支援教室巡回相談心理士)
菊田 史子(高校生の当事者の母 / 一般社団法人 読み書き配慮 代表理事)
菊田 有祐(高校生の当事者)
<司会>内藤 裕子(フリーアナウンサー)

学校の長期休業で子どもたちは・・・

フォーラムでは、まず、医師の本田さんから、発達障害の基礎レクチャーを受けました。その後、学校の臨時休業が続いていたころ、当事者の子どもにどんなことが起こっていたか、また、見守ったり支援したりする立場の保護者は、どんな思いをもっていたか、などの話が紹介されました。
「感覚過敏の子どもがマスクをつけられないで悩んでいる」とか「極度のストレスで感情が制御しにくい」といった、コロナ禍特有のマイナス面も報告された一方、「もともとの学校生活にストレスを感じながら過ごしていた子どもは、休校という環境の変化の中、少し気持ちを切り替えて自分を見つめ直すいい機会が得られていた」というケースも話題にあがりました。

共感呼ぶ当時者の素直な気持ち

小学校に入学したころから、読み書きが難しい状態だったという、高校生の有祐さん。自分の名前が書けなかったり、宿題や持ち物を連絡帳に書くのも人の3倍時間がかかったりしたといいます。やがてLD(学習障害)と分かりましたが「周りの人になかなか理解されないのは苦しいけど、自分からその困りごとを伝えることで道が開けるんじゃないか」と、このフォーラムに参加してくださいました。お母さんの史子さんと、字が書けるようにと、何年も「毎日毎日訓練を続ける日々」「出来ないことばかりと直面する日々」「親子でもがき苦しむ日々」が続いたといいます。そして、数年後、お母さんは有祐さんに一つの提案をしました。
「もう書く努力は、やめよう」
有祐さんは、その提案をすぐに受け入れたそうです。
司会の内藤アナウンサーが有祐さんにその時の気持ちを聞くと、有祐さんはとてもうれしそうに
「敵が一人減って、仲間が増えた、と思いました」
と答えました。隣のお母さんは・・・苦笑。

進行に合わせて、スタジオには456通の質問やメッセージも寄せられていました。有祐さんから語られた「本心」には、数多くの「共感した!」の声が届きました。

フォーラムは、専門家の知見と学校現場の知恵をご紹介しながら、時折、家族や当事者の率直な受け止めを交えて進みました。

<NHKハーツ>では、今後も、参加者・視聴者のみなさまとの共感を大切にしながら、このようなフォーラムを企画していきたいと思います。

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