今年11月に、日本ではじめてデフリンピックが開催されます。
デフ(Deaf)とは、英語で「耳が聞こえない」という意味です。デフリンピックは聴覚に障害がある人のためのオリンピックです。
その開閉会式が開催される渋谷区にある臨川小学校で、7月1日、私たちも初めてのデフリンピアンによる教室を開催しました。

お呼びしたのは、デフサッカーの選手たち。デフリンピック日本代表の岡田 拓也(おかだ たくや)選手、岡田 侑也(おかだ ゆうや)選手、國島 佳純(くにしま かすみ)選手、林 滉大(はやし こうだい)選手のみなさんです。手話通訳士の方もサポートに来てくれました。
選手4人の集合写真

最初は講演の時間です。体育館には、3年生から6年生までと特別支援学級の児童が来てくれました。
選手たちが手話で、デフリンピックのこと、デフサッカーのことをみんなに語ってくれました。
デフサッカーは、基本的には通常のサッカーと同じルールです。異なる点は、主審が笛に加えてフラッグを使用すること。選手たちは試合中、補聴器を外すことが義務付けられており、笛の音が聞こえない、聞こえづらいためです。選手同士は、アイコンタクトや手話でコミュニケーションを取ります。

林選手が手話でみんなに問いかけます。
『デフリンピックには他にどんな種目があるのかな?声を出さないで教えて!』
『伝言ゲームをします!声を出さずに、次の人にお題を伝えていって、列の最後の人がお題を答えてね』
子どもたちは、とまどいながらも一所懸命考えて、全身を使って表現をします。そのボディーランゲージを受け取る子たちも、相手が何を表現しようとしているのか、よく見て考えます。
林選手からは
『体だけじゃなく、表情を使ったり、いろいろ考えてみてね。これは、ふだんの生活でもそうなんだ。例えば紙に書いたり、スマホを使ったり。耳の聞こえない人に会った時も、どうしよう?ってあきらめるんじゃなくて、がんばって伝えてみてほしいです』
とアドバイス。

選手たちは、みんなにも手話を教えてくれました。
「拍手」「デフリンピック」「サッカー」「ありがとう」の手話…
児童のみんなが一番盛り上がったのは、岡田拓也選手の「トイレ」の手話でした!

『僕たちが試合をしているとき、みんなが声で応援してくれても全く聞こえません。どうしたらいいんでしょう?どうやって応援してもらえたらうれしいと思う?』
林選手は、「目で見てわかる応援」、聞こえない人に伝わる応援として、デフリンピックを応援するために手話を元にして作られた「サインエール」について教えてくれました。
児童たちは「サインエールはいくつも種類があるの?」と興味津々。
【行け!】【大丈夫、勝つ!】【日本 メダルをつかみ取れ!】のサインエールをみんなで練習しました。

林選手は
『みんな、デフリンピックの試合もぜひサインエールで応援してね!』
と呼びかけました。
※サインエールはこちらから動画でご覧いただけます。(別ウインドウが開きます)

いよいよデフサッカーに挑戦!

まずは言葉に頼らず、周りをよく見て動く練習。
チームごとに輪になってボールをパスしあい、ボールを受け止めた人の両脇にいる人が素早くしゃがむ!
目を使いながら頭も使うので難しい!でも楽しんでチャレンジしました。

次に、クラス全員と選手で10個のボールを自由にパスしあいます。選手がフラッグをあげてポーズをとった瞬間に、ボールを持っていない人全員が、選手と同じポースをとる!

これをふまえて、いよいよデフサッカーの試合。声を出さないサッカーにチャレンジしました。
児童が9人ずつの8つのチームにわかれて、選手4人対児童チームの試合です!
デフリンピアンに挑む児童たち。周りの児童たちは覚えたばかりの「サインエール」で応援しました。

最後に、児童たちと選手で給食を一緒に食べる交流も行いました。
障害は関係ない、友達みたいに隣の席でご飯を食べて、補聴器や手話通訳士の方の力も借りてお話しをしました。選手たちとの心の距離がさらに縮まります。

臨川小学校の子どもたちは、体験を楽しみながらも、自分の力で考えて気づきを得ていました。この教室を機に共生社会について少しでも考えるきっかけになれば、と願っています。


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