2024年6月26日、小平市立小平第十一小学校(東京都)で、「交流教室 パラリンピアンがやってきた!」を開催しました。障害者スポーツの体験などを通して、子どもたちに障害理解や共生社会について学んでもらうこのイベント。今回は「義足を使った陸上競技」です。

ゲストには、走り高跳びでパラリンピック6大会連続入賞を誇る鈴木 徹選手、障害者国体の陸上競技「100m」で40歳以上クラスの最速記録を持つ水谷 憲勝選手、スポーツ義足製作の第一人者 臼井 二美男さんをお招きしました。


『僕の自己ベストは2m2cm。このくらいの高さを跳びました!』

パラリンピックに出場した際の映像や、走り高跳びの実演を見せてくれた鈴木選手。子どもたちに向かって「どう?僕ってかわいそうに見えるかな?」と問いかけました。

「実は僕、みんなと同じ小学生の時のほうがつらかったんです。心臓病と きつ音があって、からかわれることもありました。高校卒業間際で交通事故に遭って右足を切断することになり、最初は『コンプレックスが3つに増えてしまった…』と思ったけど、陸上競技に出会って、パラリンピックに出場できるようになった。自分に自信が持てるようになりました。今となっては、事故で足を失ったことも今の人生につながっているので、よかったとさえ思います。」

困難なことにぶつかっても、自分の生きる道を見つけ、世界で活躍するまでに成長してきた鈴木選手。今年開催されるパリパラリンピック にはコーチとして参加しますが、これからも競技を続け、自己記録の更新に挑み続けていくといいます。

初めはかわいそうというイメージを持っていた子どもも、鈴木選手の話や、世界で活躍するハツラツとした姿を見て、「イメージが変わった!かっこいい!」と答えていました。障害のあるなしではなく、一人の人間としてどう生きるかが大切だということを学んだひとときでした。


そして、子どもたちは体験用義足を履いて歩いてみることに。地面と接する板バネ(ブレード)の部分は、競技用の義足でも使われている構造です。義足でバランスを取り、自分の足と同じような感覚をつかんでいくには、何年もの訓練が必要だといいます。ハラハラドキドキの初挑戦。「こわい!」「歩けた!」。大人のサポートを受けながら、みなさん思い切ってチャレンジしてくれました。

最後は担任の先生たちも挑戦!ふだんはあまり見ない先生たちの必死な姿に、子どもたちからは応援コールの大声援が巻き起こりました。
小平第十一小学校のみなさんの笑顔がはじける体験コーナーとなりました。


『僕が義足を作っていてうれしいのは、足を失ってつらい思いをした人が、義足を履いて笑顔で走っているところを見たときですね。』
小学生からの質問に、数々のパラリンピアンとタッグを組んできた臼井 二美男さんが答えた言葉です。

臼井さんは、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」などの番組で活躍が取り上げられ、「現代の名工」にも選ばれた義肢装具士です。

臼井さんと水谷選手が教えてくれました。
「義足は一度作って終わりじゃないんです。足を入れるソケットのところは、一人一人違う。使い続ける限り、ずっとその人に合わせたメンテナンスをし続けます。義肢装具士には義足を作る技術と同じくらい、その人と向き合って対話をし続ける力も大事になるんだよ。」

義肢装具士の仕事や、義足での暮らしについて、たくさん質問をしてくれた小平第十一小学校のみなさん。最後に児童代表のお礼の言葉で、「義足をつけている人が笑顔になると、義肢装具士の臼井さんも笑顔になって、みんなが笑顔になるんだなと思いました。これからも頑張ってください!」と語ってくれました。

今年度も各地で開催する「交流教室 パラリンピアンがやってきた!」。今後出会える子どもたちとの交流も楽しみです!

放送予定

この日の模様は、2024年7月19日(金曜)午前11時30分からの「ひるまえほっと」(NHK総合・関東甲信越)で放送予定です。
※放送予定は予告なく変更となる場合があります。
※放送後1週間、NHKプラス(パソコンやスマホで番組を視聴できるサービス)でもご視聴いただけます。

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