2023年6月16日に、神奈川県の二宮町立二宮小学校で「交流教室パラリンピアンがやってきた!ブラインドサッカー編」を開催しました。ブラインドサッカーは、アイマスクをつけ、転がると音が出る特殊なボールを使ってプレーするスポーツです。
ゲストには、元日本代表で視覚障害の当事者、「よっしー」こと、葭原 滋男(よしはら しげお)選手と、葭原選手が代表をつとめるブラインドサッカーチームの栗原 梢(くりはら こずえ)選手、仲伏 真与(なかふし まよ)選手、櫻井 悠乃(さくらい ゆうの)選手をお招きしました。

葭原選手の視力はぼんやりと光を感じられる程度で、ブラインドサッカーのプレー中はすべて「音」を頼りに動いています。しかし葭原選手のドリブルやシュートの動きは、「本当に見えていないの?」と思うほど軽快です。


朝から元気いっぱいで参加してくれた二宮小学校4年生のみなさん。
ブラインドサッカー体験では、アイマスクで視界を遮断すると最初はドキドキしますが、「ガイド」役の仲間が一生懸命声を出し方向や距離を伝えると、どんどん安心して動けるようになりました。


歩く・走る体験から始まり、最後は10メートル先のカラーコーンにシュートを当てるチーム対抗戦へ。ガイドが方向をうまく伝えられるか、素早く交代ができるか、仲間の声を信じてシュートができるかが、カギになります。
チームの力を合わせてよーいスタート!シュートする人がボールを蹴る方向を手で示し、ガイドに言われた方向へ思い切ってシュートします。体育館の中は、子どもたちが一生懸命ガイドする声や、「やったー!当たった!」といった歓声でいっぱいになりました。17本のシュートを決めたチームが優勝!
子どもたちの元気な笑顔がはじけるブラインドサッカー体験になり、スタッフの私たちも本当にうれしくなりました。


体験のあとの質問コーナーでは、興味津々の子どもたちから葭原選手たちへの質問が次々に飛び出しました。

Q.「ごはんはどうやって食べていますか?」

葭原選手「みんなと同じようにお箸を使って食べますが、一つ違うのは『どこに何があるのかがわからないこと』です。お箸の位置は?何のおかずがどこにある?など、近くにいる人に教えてもらったりします。そこで役に立つのが『クロックポジション』という伝え方です。時計の文字盤をイメージして、『10時の方向にお茶があるよ』と言ってもらえると、場所がわかりやすいんですね。歩いている時も、『3時の方向に曲がります』などと言ってもらえるととっても助かるので、よかったら覚えてもらえたらなと思います」。

Q.「携帯電話はどうやって使っているんですか?」

葭原選手「いまはスマートフォンの音声読み上げ機能などを使っています。メールの内容などを音声で読み上げてくれる機能です。あわせてスマートウォッチもつけていて、誰から電話がかかってきているとか、指示を音声でやりとりしています。他にも、見えない信号が何色かを判別するアプリがあったり、技術の進歩で便利になりつつあります」。

子どもたちがどんどん質問をしてくれて、時間に収まらないほどでした。素朴な疑問を、自然に聞くことができる子どもたちの姿は、こうあれたらいいな…と思える素敵な光景でした。障害あるなしに関わらず、その人のことを、まずはご本人に聞いてみることが大切なのかもしれません。

最後に、葭原選手はこう語りかけました。
「街なかでも白杖を持って困ってそうな人を見たら声をかけて欲しい。とても安心すると思います。でも、困ってるのは見えない人だけじゃない。車いすの人も、お年寄りの人も、妊婦さんもいる。みんなの学校でも、困っているかな?という人がいたら声をかけてあげてほしい。そうしていったら、いい社会ができると思います」。


元気いっぱいの二宮小学校のみなさん、ボランティアでお手伝いに来てくださった保護者のみなさん、乃木坂ナイツの選手のみなさん、本当にありがとうございました!

関連リンク

  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア
ページトップへ