(2013)写真:Fish photo

今回ご紹介するのは、おがたりこさんの作品「はるくまくん、これでOK!!」です。
キュレーターは中谷 日出さん(美術家、アートディレクター)です。

作者紹介……おがたりこ さん


おがたさんは、ダウン症を得て生まれました。
幼少のころから絵を描き始め、13歳ごろから、作品を発表し始めました。黙々と一心不乱に描くその絵は、独特の色彩、勢いのある筆使い、ポップなキャラクターが、画面のなかで飛び跳ねます。
ダウン症の方は、言葉でなにかを表すということが苦手です。
おがたさんの絵を見ていると、「伝えたい」という想いが、とても強く、しかもたくさん、画面から溢れ出ています。
「JJロバくん」(2013)
「ヒマワリ」(2012)
「HALUKUMA smile!!」(2012)
「ガガケべ・トリコロール」(2016)
アウトサイダーアートは、ともすれば「ワク」のなかで見られてしまいがちですが、だからこそ、私はおがたさんの絵を見てほしいと想いました。
画面から想いを伝えることは、画家の根源的な欲求だと思います。
そうした行為に、障害のあるなしは関係ありません。
おがたさんの絵は、ワクを軽々と飛び越えて、人の心を動かす「想い」が、たくさんつまっています。
機会があれば、ぜひ展覧会を見てほしい。おがたさんの「伝えたい」を画面から感じ取ってほしいと思います。

「コジラ・きーろ」(2019)
「おはな畑」(2019)
「富士ロバ」(2014)


アーティスト プロフィール

1994年東京都で生まれる。ダウン症。
2007年 小学校卒業の年に、母が通うアートクラスの作品展に参加。以後、4年連続出品。アーティスト活動の基盤となる。中学校、高校(特別支援学校)、そして卒業後も、さまざまなグループ展に参加。2015年には写真スタジオから壁画を受注制作。現在、平日は福祉作業所で就労のかたわら、作品制作活動を続ける。個展開催6回、一般グループ展の審査員賞を3回受賞。

キュレーター プロフィール

写真:なかや ひで中谷 日出(なかや・ひで)
東京国際工科専門職大学教授、京都大学大学院特任教授。東京芸術大学大学院美術研究科修了。元NHK解説委員でIT、芸術、メディア分野を担当した。大学では「企画発想法」や「コミュニケーションと記号論」などを担当。アイデアのつくり方やイメージの伝え方の最先端を探究することをライフワークとする。ウェブTV「木曜新美術館」を主宰。介護や支援にかかわる人に向けた専門誌のスーパーバイザーも務める。

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