NHK厚生文化事業団、NHK、東京都障害者スポーツ協会が主催し、小学校・特別支援学校の子どもたちにパラリンピアンとのふれあいの場を提供する「交流教室 パラリンピアンがやってきた!」。

2020年度 第4回を12月3日に開催しました。
会場は、東京都の葛飾区立末広小学校。「子どもたちに、障害者理解を深めるだけでなく、共生社会の一員としてお互いが助け合える意識を高めて、パラリンピックに積極的に関わってほしい」と応募をいただきました。当日は、5年生・6年生107人の子どもたちが参加しました。

今回のパラリンピアンは車いすラグビー日本代表の池崎 大輔選手、島川 慎一選手、今井 友明選手。
日本代表チームは、前回の2016年リオパラリンピックで銅メダルを獲得。2018年の世界選手権では、リオパラリンピック王者のオーストラリアを破って初優勝を遂げました。東京パラリンピックでも金メダルが期待されています。

体験教室は、選手たちのデモンストレーションからスタート。池崎選手が世界最強と太鼓判を押す島川選手からのタックルを、残り2人のどちらが受けるかで選手たちが押し付け合う場面に、体育館は笑いの渦に。一気に場がなごみました。結局2人とも受けることになります。
選手同士が「ドーン!!」とぶつかり、体育館中に響き渡る大迫力のタックル音!びっくりした子どもたちでしたが、車いすラグビーの魅力に早くも惹きつけられていました。

次は、子どもたちが競技用車いすに実際に乗車します。
初めての車いすラグビー専用『ラグ車』を思うように扱えず、右に左に翻弄される子どもたち。
しかし、選手や車いすラグビー連盟スタッフたちが丁寧にアドバイスすると、すぐに上手に扱えるようになりました。

さらに、子どもたちは、選手たちとのリレー対決に挑戦!
子どもたちがコーンをUターンするコースをラグ車で走る一方で、
対する選手チームは、ハンディとしてコースに並べられたコーンの間をぬって走ります。
たくさんのコーンをものともせず、猛スピードで走り抜ける選手たち。実際に自分たちも乗ってみたからこそ、子どもたちもその凄さが実感できたようです。
池崎選手にいたっては手を使わず、腰をひねったり腕を大きく回して勢いをつけたりして、上半身全てを巧みに使っての走りをみせてくれました。
手を使って走る子どもたちに負けないスピードで走る池崎選手の超人技に、大きな歓声があがりました。

最後は、選手たちが子どもたちへメッセージを贈ります。
池崎選手が自分のズボンをまくり上げて素足を見せてくれました。強靭な筋肉をまとった上半身に比べて、驚くほど細く華奢な足でした。
池崎選手は6歳のとき、手足の筋力が徐々に衰えていく難病「シャルコー・マリー・トゥース病」と診断されました。今でも、手首が弱くて握力がない状態です。そんな障害を負いながらもあきらめることはなく、鍛錬を積み、体の強さを手に入れます。
相手が向かってきても、倒れても、起き上がって前に進む。障害者・健常者に関係ない、人生の歩み方だと池崎選手は語ります。
そして、車いすラグビーは、選手一人ひとり障害の重さが違います。それぞれの選手が自分の役割を果たし、仲間たちが切り拓いてくれた道を活かして得点につなげる。選手としてだけでなく人としても車いすラグビーを通して強くなった、と選手たちは語ってくれました。

「残された機能を最大限に生かせ」

パラアスリート共通の合言葉を、まさに見せていただいた教室となりました。

子どもたちのお手紙から…

■みなさんが障がいがあってもあきらめず、子どもたちに夢をあたえられる存在になっていて、心を強くもつことの大切さに気づきましたし、努力を続け結果を出す姿はかっこよかったです。タックルもすごくはく力があり、どきどきしましたし、試合中に何度もタックルが起きていることにも、想像するだけでわくわくしました。これからも大変なことがたくさんあると思いますが、応援しています。

■実際にスポーツ用の車いすに乗ってみた時、ふつうの車いすにはない工夫がたくさんあっておどろきました。タイヤが動かしやすくて、すぐなれることができました。その時、このような道具も選手を支えていると気づきました。まわりの人の支えを受けて、負けずにあきらめずに練習をして日本代表になれたのは、車いすラグビーが大好きだという思いが強いからこそだと思いました。

■道徳の教科書の「差別ダメです」「そうですね」だけではぼくの心にはあまりひびきませんでしたが、実際にあって、見て、聞いてみると「困っているんだ」という事がわかって「一言声をかけてみよう」と思いました。来てくださって本当にありがとうございました。きっと12月3日はぼくの人生を変える日になったと思います。

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