パラリンピアンがやってきた! 千葉市で開催しました
公開日:2016年11月8日
7月11日、千葉県の千葉市立轟町小学校で、障害者スポーツのトップアスリートが小学校や特別支援学校を訪問する「パラリンピアンがやってきた!子どもたちとの交流教室」を開催しました。
今回のパラリンピアンは、
シッティングバレーボール男子日本代表の
竹田 賢仁(たけだ・よしひと)選手、高砂 進(たかさご・すすむ)選手、
女子日本代表の
藤井 順子(ふじい・じゅんこ)選手、長田 まみ子(おさだ・まみこ)選手、
齊藤 洋子(さいとう・ようこ)選手、菊池 智子(きくち・さとこ)選手の6人です。
監督の真野 嘉久(まの・よしひさ)さん、
コーチの南 麟模(なむ・りんも)さん、船戸 奈津美(ふなと・なつみ)さんも同行しました。
写真:左から
竹田選手、高砂選手、齊藤選手、長田選手、菊池選手、藤井選手、真野監督、南コーチ
選手のプロフィールや、シッティングバレーボール競技についてはこちらをご覧ください。
轟町小学校は「とどろきっ子は がんばる子」という校訓を持ち、いろんなところにこの言葉が貼ってあります。当日は最高気温33度の真夏日でしたが、子どもたちはバテる様子なく元気に体験しました。
障害とシッティングバレーを紹介
まずは10時半、体育館に5,6年生あわせて約172人が集合。選手たちが、障害を持ったきっかけや、障害についての考え、シッティングバレーボールとの出会いについて話しました。
目が悪くてメガネをかけるように、私は足が悪いから義足をしている。障害って、特別なものじゃない」と自身の考えを伝えたのは高砂選手。
他にも選手たちは「義足を外してありのままの自分で楽しめる」ことや、「チームで協力してプレーして、みんなで仲良くなれる」というシッティングバレーボールの魅力を語りました。
真野監督は選手たちの義足について「膝まであるかないかによって種類があり、動きやすさが違う」ことや、「竹田選手は義足にキャラクターの絵を入れたり、時計をつけたりしている」といった豆知識も紹介。冗談を交えて明るく話す真野監督や選手の話を、子どもたちはときどき笑いながらも真剣に聞いていました。
選手たちがお手本を披露
「障害者スポーツは、ないものを悲しみません。あるものを精いっぱい使って楽しむんです」その言葉通り、義足を外した選手たちは素早く動きながらトスやスパイクを披露し、子どもたちを驚かせました。
子どもたちが体験
次はいよいよ子どもたちの体験。5年生85人が参加しました。
始まる前の休み時間から、子ども達はネット越しに集まって選手のマネをし、体験が待ちきれない様子。
まずはシッティングバレーボールの基本、お尻をつけて動く練習。男子と女子に分かれ、お互いを応援しながら笑顔で前後に動きました。
続いてパスの仕方を真野監督が解説。「(オーバーハンドパスは)手で窓をつくってバンザイ!」「(アンダーハンドパスは)手を組んで、ボールを当てるときだけ力を入れる!」など簡単な言葉でコツを教えます。
その後6チームに分かれ、選手のまわりで円になり、パスの練習。その後何回続くかを競争しました。
バレーボールは初体験という子どもが多いなか、アドバイスをいかし、優勝した竹田選手チームは32回も続けることができました!
練習の後はゲームの時間に。
コートいっぱいに子どもが座り、5点先取のミニゲームにチャレンジ!
何回かトスがつながって得点すると、ハイタッチして喜び、シッティングバレーボールの魅力を実感しました。
体験後は、何人もの児童が立ちあがって質問。生活で気を付けていることや、バレーボールとシッティングバレーボールの違いなどについて聞き、障害と競技について理解を深めました。
体験教室の後は、工作室と図書室で、5年生と選手や監督、コーチがいっしょに給食を食べました。「東京パラリンピックまでにいろんな人と交流し、友達として試合を応援しにきてほしい」という真野監督。今日もたくさんの友達ができたようです!
子どもたちのアンケートから
「おしりをうかせてはいけないので、動くとおしりがいたくなってしまったけど、座ってやるなんて面白いと思いました。」(5年生・女子)
「障害があって大変でも、不幸ではないこと、他の体の部分を使って楽しめることが印象にのこりました。」(5年生・男子)
「きくちゃん(菊池選手)におしえてもらって、ちゃんとできると、『今のいいね!』などと言ってくれたし、やさしくおしえてくれたので、上手にできたし、楽しくできた。また、みんなとシッティングバレーをしたいなと思いました。」(5年生・女子)
選手プロフィール
竹田 賢仁選手
1967生まれ
1992年バルセロナパラリンピックでは水泳に出場。国際大会で見たシッティングバレーボールを1993年に日本で始め、1994年より国際大会に参加。
2000年シドニー(男子9位)、
2004年アテネ(男子7位)、
2008年北京(男子8位)パラ3回連続出場。
日本シッティングバレーボール協会副会長。
高砂 進選手
1973年生まれ。北京パラリンピック日本代表。 日本シッティングバレーボール協会選手副会長。
齊藤 洋子選手
1972年生まれ
北京パラリンピック(女子8位)、ロンドンパラリンピック(女子7位)出場。
東京プラネッツ女組所属。セッター。
長田 まみ子選手
1967年生まれ
北京、ロンドンパラリンピック出場。東京プラネッツ女組所属。 セッター。
藤井 順子選手
1966年生まれ
北京、ロンドンパラリンピック出場。埼玉レッドビーズヴィーナス所属。ユニバーサル。
菊池 智子選手
1980年生まれ
ロンドンパラリンピック出場。兵庫LSC桃太郎所属。ウィングスパイカー。
日本シッティングバレーボール協会選手副会長。
真野 嘉久監督
1965年生まれ、51歳。大阪府出身。
2000年シドニー、2004年アテネパラリンピック全日本男子監督、2008年北京パラリンピック全日本女子監督などを歴任。現在日本シッティングバレーボール協会会長と全日本女子チームの監督を兼任。
南 麟模コーチ
1984年生まれ
船戸 奈津美コーチ
1988年生まれ
シッティングバレーボールは、床に臀部(でんぶ:シッティングバレーボールにおける臀部とは肩から臀部までの「上体」を指している)の一部が常に接触している状態でプレーするバレーボール。6人制。コートは10m×6m。ネットから2mにアタックラインがある。ネットの高さ男性1.15m、女性1.05m。 競技者の位置は、その臀部(でんぶ)の位置によって決定され、サーブ、ブロック、アタックなどで臀部をコートから浮かしてはいけない。レシーブの時、短時間であれば臀部の離床は許される。(その「程度」は審判員の判断に任されるが、立ち上がりや歩くことは禁止されている)前衛は、相手チームのサービスをブロックすることが許される。
得点はサーブ権とは関係なく入り、25ポイント先取した方が1セット獲得となる。“5セットマッチ”で試合を行い3セット先取したチームの勝利となるが、最終の第5セットのみ15点先取した方が勝利。大きな国内大会のルールとして、コート内に障害者は、男性チーム2名以上、女性チーム1名以上出場しなければならない。
シッティングバレーボールはスポーツを通して障害者と健常者が高い技術を持ち得ながら、共に運動できるスポーツ競技としてさらに成長する可能性を持っている。