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活動リポート

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2015年12月18日

「パラリンピアンがやってきた」を千葉県・旭市で開催しました

障害者スポーツのトップアスリートが小学校や特別支援学校を訪問する、「パラリンピアンがやってきた」を12月18日、千葉県旭市の共和小学校で開催しました。
今回のパラリンピアンは、ロンドンパラリンピックで金メダルに輝いた、ゴールボール女子日本代表の
浦田 理恵(うらた・りえ)選手、
欠端 瑛子(かけはた・えいこ)選手、
そして天摩 由貴(てんま・ゆき)選手、
さらに男子日本代表の
信沢 用秀(のぶさわ・ようしゅう)選手、
川嶋 悠太(かわしま・ゆうた)選手の5人です。
男子ヘッドコーチの池田 貴さん、日本ゴールボール協会理事の松本 千恵子さんも同行しました。

後列左から、松本理事、信沢選手、欠端選手
前列左から、川嶋選手、天摩選手、浦田選手、池田コーチ

選手のプロフィールと、ゴールボール競技についてはこちらをご参照ください。

旭市は東日本大震災の際、津波で大きな被害を受けた街。市の中央に位置する共和小学校は、笑顔、あいさつ、掃除の「3つともできる」の「3D」を目標とする元気な学校です。 当日は朝9時半から、体育館に6年生2クラス47人が集まりました。

実際のルールで試合を体験

最初は各選手がそれぞれの視覚について、どんなふうに見えているのか、見えていないのかを説明しました。
そしてアイシェード(目隠し)を着け、光も分からない中で声を掛け合ってプレーすることや、ゴールを守ったりボールを投げたりする際のルールやコツを紹介。さらに、高度なテクニックとして、わざと床を叩いて音を立てたり足音を立てずに移動したりといった、相手を惑わす戦術があることも解説しました。
説明中、子どもたちは試合に使うアイシェードをつけたり、鈴の入ったボールを持ったりして、目の見えない中で行う競技中の世界を体感しました。

その後は、選手たちが文字通り手取り足取りアドバイスしながら、ボールの投げ方、ゴールの守り方を教えました。

ゴールボールは体を回転させながら投げたり、後ろ向きに股の間から投げたりといろいろな投げ方があります。子どもたちも自分なりの投げ方にチャレンジしながら、楽しんで学びました。

その後は実際のルール通り、3人ずつに分かれて試合を体験しました。味方にパスするつもりが自分のゴールに入れてしまうなど、見えない中でのコミュニケーションに苦戦しながらも、お互いに声をかけ合って笑顔で楽しみました。

最後には選手同士が試合を行い、1kg以上の重いボールを全力で投げたりキャッチしたりと迫力満点のプレーを披露しました。また足音やボールの音を聞き分け、ボールが来る場所を判断して動く様子には、子どもたちから「見えてるみたい!」とおどろきの声があがりました。

体験後、6年生の女の子からは「ゴールボールを始めてから変わったことはありましたか?」と質問があり、天摩選手は「チームでプレーすることで、周りのことを考えて協力する仲間意識が身に付いた」と答えました。
また選手たちは、「いやなことでも、まずはチャレンジしてみることで自分にはまることが必ず見つかる」、「これから街中で困っている人を見かけたら、助けてあげてほしい」とメッセージを残しました。
最後に池田コーチは、「障害があることは、みんなに得意なことや苦手なことがあるのと同じ。苦手な部分を助け合うことでみんなが生活しやすくなる」と話しました。

選手を手伝いながら給食

昼休みは6年生の教室2クラスに分かれ、子どもたちと一緒に給食をとりました。
子どもたちは選手が食べるのを積極的に手伝い、助け合うことを実践していました。

また、小学生だったころのことや、ゴールボールとの出会いについて話し、交流を深めました。

体験を振り返って、女子日本代表・現キャプテンの浦田選手は「みんなが回転投げとか、いろんな投げ方に一生懸命チャレンジしてくれて、良い刺激をもらえました。リオパラリンピックでもチームで助け合いながら、自分にも仲間にも負けずに頑張ります」と話しました。
担任の向後先生は「子どもたちは普段、障害者との接点はなく、きょう一緒にスポーツをしたり給食を食べたりしたことは貴重な経験となりました。また、ふだんは環境を言い訳に『できない』と言いがちな子どもたちも、選手の方々の『あきらめたことがない』など前向きな言葉に感銘を受けていました」と話しました。

子どもたちのアンケートから

「欠端選手が『最初はスポーツが苦手だった』と言っていておどきましたが、がんばってゴールボールが得意になったことがとてもすごいと思いました。」(6年生男子)
「ゴールボールは、障害のある人も無い人もみんな楽しめると思った。」(6年生女子)
「浦田選手が『目が見えなくなって落ちこんだりしたこともあったけど、まわりにすごく支えてもらえて自信がついた』と言っていて、私も困っている人がいたら助けてあげようと思った。」(6年生女子)

選手の前向きな姿勢に共感し、今まで持っていた障害者のイメージが大きく変わった様子が見られました。


選手プロフィール

女子日本代表主将:浦田 理恵 選手

1977年 熊本県生まれ 38歳
2005,2006 日本選手権優勝
2008 北京パラリンピック7位 
2012 ロンドンパラリンピック金
2012,2013,2014 日本選手権優勝 
2014 仁川アジアパラ競技大会優勝

女子日本代表:欠端 瑛子 選手

1993年 神奈川県生まれ 22歳 
2012 ロンドンパラリンピック金

女子日本代表:天摩 由貴 選手

1990年 青森県八戸市生まれ 25歳
2012 ロンドンパラリンピック 陸上100m、200m出場
その後ゴールボールに転向
2014 仁川アジアパラ競技大会銅メダル

男子日本代表主将:信沢 用秀 選手

1986年 東京都生まれ 29歳
2007,2012,2013 日本選手権優勝
2014 仁川アジアパラ競技大会銅メダル

男子日本代表: 川嶋 悠太 選手

1994年生まれ 21歳 
2013 IBSA世界ユース選手権金

ゴールボールは、アイシェード(目隠し)を着用した1チーム3名のプレーヤー同士が、コート内で鈴入りボール(1.25kg)を転がすように投球しあって、味方のゴールを守りながら相手ゴールにボールを入れることにより得点し、一定時間内の得点の多少により勝敗を決する、視覚障害者の球技。  

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