2014年6月 7日
NHKハートフォーラム「発達障害の子どもたち〜“自立”をめざして〜」を開催しました
6月7日(土曜日)鳥取県米子市で、NHKハートフォーラム「発達障害の子どもたち〜“自立”をめざして〜」を開催しました。
昨年度制作したDVDにご出演いただいた鳥取大学教授の井上 雅彦さん、星槎大学准教授の阿部 利彦さん、発達障害のある4人の子を育てた堀内 祐子さん、そして堀内さんの長男で発達障害の診断を受けている堀内 謙人さんがそれぞれの立場から「発達障害のある子どもたちの“自立”のためになにが必要か」を語り合いました。
会場には発達障害のある子どもの家族や保育園・幼稚園の職員、小学校の教師、医療関係者、行政関係者など320人あまりの方々が参加しました。
(1) 就学前の支援
フォーラムではまず、井上さんから就学前の支援についての講演がありました。「早期の気づき」「特性に合わせた支援」「親・家族へのサポート」といったポイントと、それぞれどのような取り組みがされているのかについて、実際の映像を交えて解説しました。米子市で行われている「ペアレント・トレーニング」の教材なども紹介し、子どものいいところを認め、いい関係を作ることの大切さや、親を孤立させないことの重要性などが浮き彫りになりました。
(2) 子どもの「見方」を変えて「味方」になろう!
阿部さんからは、学校で始まっている「ユニバーサルデザイン」の取り組みと、通級指導教室などにおける「個別支援」のポイントについての講演がありました。できるだけ多くの子どもたちが、学校の中で安心して学び、育つためには「環境のユニバーサルデザイン」「授業のユニバーサルデザイン」「人間関係のユニバーサルデザイン」という三つのユニバーサルデザインが必要だと阿部さんは言います。人間関係のユニバーサルデザインでは、子どもの特徴を肯定的に捉え直す「リフレーミング=見方を変える」ことが必要です。鳥取の学校での取り組みのスライドも交え、「見方」を変えて「味方」になること、それを通じて子どもの自己肯定感をはぐくんでいくことの大切さが語られました。
(3) 我が子と歩んだ20年
後半では、堀内 祐子さんの子育てのあゆみを通じて、子どもをどう育てていくかが話し合われました。長男の謙人さんが幼いときに経験した苦労と、そこから祐子さんがどのように工夫して謙人さんと関わっていったかについて、映像も交えて説明がありました。その後、謙人さんにも壇上に上がっていただき、当時はどのような思いで行動していたのか、母親のどんな関わり方が自分にとっては良かったのか、本人の言葉で語っていただきました。
参加者の感想
- 堀内さんの言葉が心に響きました。「親ばかでいい」「人として息子を認めている」すごいな、と思うことばかりでした。お母さんはど〜んと構えていればいいんだと思いました。私も「ありがとう」をたくさん子どもに言っていこうと思います。(40代女性 家族)
- 全国での学校での取り組み、通級指導教室での過ごし方、指導の方法を見ることができ、すごく参考になりました。現在学校現場で支援の方法がわからず悩んでいる中でこのフォーラムに参加できて良かったです。堀内さんの実体験、すごく大変だったと思います。謙人さんの話がとても貴重でした。感心させられました。(30代女性・学校教諭)
- 日頃の子どもたちへの声かけなど反省。すぐに現場に活かせることが多かったです。復習にDVD見せたいと思います。(40代女性 医療関係)
- 堀内家のお話を聞き、将来私も「あのときは大変だったけど今は幸せだ」と言っていたいなあ、と思いました。(30代女性 家族)
- 本人の立場からの声を聞けて良かった。障害のある子の子育ての参考と思っていたが、定型発達の子どもの子育てにも大事と気づかされた。障害がある子もない子も、本人を尊重して育てていきたいと前向きな気持ちになった。(女性 家族)
- 謙人さんのお母さんの「尊敬しています」の言葉、すてきでした。親がほめなくて誰がほめる、という言葉、心に残りました。学校で子どもに寄り添うものとして、叱られてばかりで自信をなくしそうな子どもに,ほめるところを見つけて、周りの人の見方が本当のその子の良さに向けられるようにしたいと思いました。(50代女性 学校教諭)
このフォーラムで紹介したDVDを貸し出しています。
フォーラムでは昨年度制作したDVDの映像を再編集して紹介しました。
DVDは福祉ビデオライブラリーで、送料のみのご負担で貸し出しています。