2014年12月10日
ハートカフェ@渋谷「職場におけるLGBT 〜孤立とセクハラをなくすには〜」を開催しました。
11月20日午後6時半、渋谷区勤労福祉会館で「ハートカフェ@渋谷」を開催しました。
11月のテーマは「知っていますか?LGBT〜虹の世界への鍵あります〜」。
3回目のこの日は、LGBT当事者が職場でいきいきと働くための調査や企業への講習を行っている村木 真紀さん(虹色ダイバーシティ代表)と、会社でLGBTへの理解を進めている東 由紀さん(野村證券株式会社 人材開発部 ダイバーシティ&インクルージョン)にお話しいただきました。
次の言葉は、職場での会話としてありでしょうか?なしでしょうか?
「新入社員が忘年会で女装するんだって!」
「つきあってる人って、いるの?」
「昨日は休みだったけど、何してたの?」
「芸能人ならどんな人がタイプ?」
「家庭を持って責任感が出たな!」
どの言葉もよくある会話ではないでしょうか。でも、LGBT当事者にとっては、セクハラになりうる言葉だと村木さんはいいます。
LGBTの当事者でもある村木さんは、現在の活動を立ち上げるまでに転職を5回繰り返したそうです。会社員だった当時、職場の飲み会などで「彼氏いないの?」と村木さんはしょっちゅう聞かれていたそうです。よくありそうな会話ですが、女性のパートナーがいる村木さんにとって、どう答えたら良いか悩ましい質問でした。いつも聞かれることがわずらわしくなり、だんだんと飲み会に参加しなくなっていったそうです。そのうち周囲から「あの人は心を開いていない」といわれるようになってしまい、会社に居づらくなり、結局何度も退職することになってしまったそうです。ストレスから体調を崩して休職しなくてはならなくなったこともあるそうです。
「退職したり休職する前に周囲に伝えればいいじゃないか」と考える人もいるかもしれません。でも、職場で「オカマ」や「ホモ」の話が笑い話として出てくるような環境だと、当事者は「ここではカミングアウトできない」と思ってしまうのです。
村木さんはいいます。「ホモネタなどで盛り上がっている人たちに悪気がある訳ではないんです。でも当事者にとっては嫌な気持ちになるんです。自分のことを言われた訳ではなくても。そんなときには、一緒に笑わないとか、管理職やその場のリーダーなどが止めてくれると、それだけで当事者としてはだいぶ気持ちが楽になるんです」。
東さんからは、社内でLGBTへの理解者を増やす取り組みについてお話いただきました。
東さんが働く会社では、国籍や人種、性別などに左右されずに誰をも尊重しようというダイバーシティ(多様性)に取り組んでいます。その管理職研修を担当している東さんは、研修内容にLGBTについても加えていますが、理解がすすんでいないと実感するそうです。
「LGBTについて伝えると、みなさん、きょとんとしているんです。なんでダイバーシティ研修に『レズビアン』なんて言葉がでるの?みたいな感じです。趣味嗜好の問題だと思っている人もいます。そしてよく聞かれるのは、『うちの会社にいないよね』っていう言葉です。この言葉は、5%いるといわれる当事者が周囲に打ち明けられる環境ではないという裏返しなんですね。これは5%の問題ではなく、残り95%の人々の側の問題なんですね」。
そこで東さんは、社内の95%の非当事者の人たちをアライ(英語のアライアンス。「理解者」のこと)にすべく、取り組みを始めました。
まずLGBTについて説明したパンフレットを社員食堂においたそうです。昼食は一人で食べている人も多く、ちょっとした時間にほとんどの人が目を通すそうです。また研修を受けた社員には、アライであることが分かるステッカーを配り、パソコンに貼ってもらいました。こうすることでアライの「見える化」ができたと言います。
その結果、当事者の人たちから「アライステッカーの存在はうれしい。相談ができる人が見つかったのがうれしい」との声が届けられているそうです。
最後に村木さんが、「5%の当事者が一生懸命頑張ってどうにかなるものではないんですよね。その周りの95%の人たちがちょっとだけアライになってもらえると、すごく働きやすい職場が出来るんじゃないかと思います」と締めくくりました。