2008年6月26日
伝わるって楽しい! ---聴覚障害のある俳優・井崎 哲也さんを招いて---
NHK厚生文化事業団とNHK青森放送局では、6月24日(火曜日)から26日(木曜日)にかけて、青森県内の3つの小学校で、NHKハート・フォーラム「ろう俳優・井崎 哲也と子どもたちの交流体験」を行いました。
この催しは、聴覚障害のある人たちの劇団「日本ろう者劇団」の俳優・井崎 哲也さんが小学校を訪れ、子どもたちに手話や身振りなどの声を出さないコミュニケーション方法を体験してもらうものです。いろいろなコミュニケーションを実際に体験することで、障害のあるなしにかかわらず、気持ちを表現し、伝え、分かり合える喜びを感じ、障害のある人たちのことを知ってもらいたいと、6年前から毎年各地の小学校で実施しています。
今回訪れた学校と参加したみなさんです。
- 6月24日(火曜日) 青森市立泉川小学校 79人
- 6月25日(水曜日) 弘前市立相馬小学校 200人
- 6月26日(木曜日) 弘前大学教育学部附属小学校 120人
フォーラムは、手話通訳の内山 久美子さんの司会で進められました。
1.挑戦!声を出さずにコミュニケーション
2.お話「聞こえないってどういうこと?」
3.井崎さんのパフォーマンス「サインマイム」を見よう
身振りや手の動きで伝えてみよう
まず、声を出さずにコミュニケーションをとる方法に挑戦です。
最初は、絵に描かれているものを身振りや手の動きだけで伝えるゲームです。井崎さんが用意したのはスイカ、ゴリラ、牛、お寿司などの絵。両手で胸をたたいて「ゴリラ」を表そうとする子、握ったりしょうゆにつけて食べるしぐさで「お寿司」を表そうとする子。指で頭の上に角を作ったり鼻に輪を作って「牛」を表そうとする子。みんな思い思いの表現で伝えていました。
続いて、口話(こうわ)を使ったゲームです。
相手の口の動きを見てコミュニケーションをとる方法が「口話」です。「パパ」と「ママ」、「たまご」と「たばこ」と「なまこ」。口の動きが似ていて見分けづらい言葉をどうやって伝えるかという井崎さんの出題に、子どもたちは四苦八苦。井崎さんのアドバイスは、「おとうさん」「おかあさん」というように同じ意味を表す別の言葉に言い換えたり、身振りや手振りをつけて表したりすること。ことばや表現のしかたを工夫することで、より伝わりやすくなるということを実感しました。
手話にも挑戦
ゲームの次は、手話に挑戦です。井崎さんの指導で、1から10までの数字や、「ありがとう」「おはよう」「こんばんは」などのあいさつの手話を覚えました。子どもたちは、「毎日使ってみたい」、「もっとたくさんの手話を覚えたい」と、興味津々でした。
井崎さんのパフォーマンス「サインマイム」
聴覚障害についてのお話を聞いた後は、井崎さんの「サインマイム」をみんなで鑑賞しました。サインマイムとは、手話とパントマイムを組み合わせた、独特の表現方法です。井崎さんは、自分がゴルフボールになったつもりで、ボールが打たれる様子や打たれたときの気持ちを、全身を使って感情豊かに表現しました。
最後に井崎さんから子どもたちへのメッセージです。
「耳が聞こえないとお話ができないんじゃないかなと思っていたかもしれません。でも手話をつかえば話ができます。手話以外にも、身振りや手の動き、口話、空書など、いろんな方法で気持ちを伝えられることがわかったでしょう。みなさんもぜひいろんな方法でお話してほしいです」。
子どもたちからは、「はじめは井崎さんと話せるのか心配だったけど、ゲームをしていくうちに耳の聞こえない人とでも話せることがわかってとても楽しかった」、「声でコミュニケーションできなくても、伝えたいという気持ちがあれば、思いが伝わることが分かりました」といった感想が寄せられました。