2007年5月 6日
作家がガイドするアートツアー開催
「画家や彫刻家は作品をつくるのが仕事ですが、何か違った形での社会貢献ができないでしょうか？」。美術団体・国画会から事業団にこんな相談がありました。国画会は、1926年に発足した美術団体で、絵画・工芸・版画・写真・彫刻の各部から構成されています。毎年春には、それぞれの作品を一堂に展示する国展を開催しています。話し合いの結果実現したのが、障害のある人を招いて、作家が国展の会場をガイドするアートツアーでした。作家と対話しながらじっくりと作品を鑑賞してもらおうというものです。
大型連休最後の５月６日、オープンしたばかりの東京六本木・国立新美術館に、24人の参加者が集まりました。この日は絵画作品７点、彫刻作品３点の作家が、自分の作品を前に描き方や意図を説明したり質問に答えたりの一時間半。イタリア産の土絵の具を用意する作家、キャンバスや筆を見せながら技法を語る作家など、熱心な説明は参加者に大好評でした。
参加者からは、「見るだけではよくわからないこともあるけど、説明してくれることで意図することが理解できた」「めったにない貴重な体験だった」「彫刻の工程を初めて知った。わたしもやってみたくなった」などの感想が寄せられました。一方、作家たちも「緊張したが、みなさん熱心に聞いてくれて嬉しかった。私たちの方こそよい経験になりました」と手応えを感じたようす。事業団にとっても新たな活動のひとつとなりました。