2024年10月3日に、「ブラインドサッカー」の「交流教室パラリンピアンがやってきた!」を開催。今回は、岩手県の二戸市立仁左平(にさたい)小学校を訪ねました。
ゲストには、元日本代表の葭原 滋男(よしはら しげお)選手と、葭原選手のチームメイト栗原 梢(くりはら こずえ)選手、視覚障害のない晴眼者の仲伏 真与(なかふし まよ) 選手、福谷 優子(ふくたに ゆうこ)選手も来てくれました。

仁左平小学校は全校児童29人。児童のみなさんはもとより、保護者のみなさんも参加してくれました。子どもも大人も、一緒にアイマスクをつけて、見えない人の気持ちになる体験をしました。

高学年の実技体験タイムでは、葭原選手・栗原選手と児童が試合形式の体験を行いました。選手の児童以外は、大人も子どもも、コートの周りで壁になります。選手が壁に近寄りすぎたら壁役の人が「カベ、カベ!」と声を出して、みんなで作り上げる試合です。

児童にとっては、アイマスクをした状態で立つ、はじめてのコート。
「全然どっちかわからないよー!」
自分がどの方向を向いて立っているのかすらわからなくなります。
「ゴール、こっちだよー!」ガイド役をしてくれている友達がかけてくれる声で、目指すべきゴールの方向がわかります。コートの中にいる友達同士も声を掛け合って自分たちの位置を知らせながら、音の鳴るボールをパス!そして、シュートを決めました!壁役のみんなからも大歓声!

葭原選手が、この体験の前に教えてくれていました。
「仲間を大切にすることを大事にしてほしい。どうやったら仲間のためになるのかなって、考えてほしいんだ。ブラインドサッカーも、みんなのふだんの生活も、一人では出来ない、みんな助け合って出来ているんだよ」
障害のあるなしは関係ない、その場にいる皆が一体となってつくった、すてきな空間でした。

さらに、「交流教室パラリンピアンがやってきた!」では、競技の体験以外にも大切にしていることがあります。
9月に開催した愛知の北山小、10月に開催した岩手の仁左平小ともに、子どもたちと視覚に障害のある選手が一緒に給食を食べる時間をつくりました。

子どもたちには「目の見えない人に自分たちの給食をおいしく食べてもらうにはどうしたらよいか、それをお手伝いするにはどのようにしたらいいのか?」を考えてもらいながら、選手と給食を食べてもらいました。

「今日の献立を発表します!」
「牛乳は、ストローを刺す穴がここにあるよ」
「時計の針を思いうかべて!5時の方向にお箸があるよ」

食事をとる席へ、選手をアテンドしてくれた子もいました。
自分の肩に選手の手をおいてもらって、歩調を合わせて歩く…廊下の角を右に曲がる…選手の体が壁にぶつからないかな?ドキドキした表情で、でもしっかりと、エスコートしてくれました。
一緒に食事をとって、お話をして、選手たちとの心の距離がさらに縮まります。

続いて、児童から選手へ、質問の時間もありました。

児童「パラリンピックで一番印象に残ったことは何ですか?」
葭原選手「他の国の選手たちといっぱい交流できたこと。自分もこうやって生きていったらいいんだなって、いろんな勇気をもらったこともあります。世界中で一緒に戦ったアスリートたち。自分の大切な宝物だなって思ってます。」
児童「一番いい勝負だったなっていう国はありますか?」
葭原「すごく一緒に切磋琢磨してきたのは、自転車競技では、オーストラリアの選手かな。ブラインドサッカーだと、やっぱりブラジルの選手ってすごく、うまいんだよね。一緒に練習もしたんだけど、その時は、『アイツらの技を少しでも盗んで、自分の身に付けたいな!』って思い、一生懸命練習したんだよね。これも、大切な思い出だなって思っています」

児童「生活で大変なことはなんですか?」
葭原「信号が見えないこと。音がでる信号機があるときはいいけど、ない時は車の音や、まわりの通行人の動きの音を聞いて、道を渡ったりしています」

児童「家での生活はどうしていますか?」
葭原「普通にしてます。毎日同じところにいるから、見えなくても一人でわかるんですよ。いつも同じ場所に、整理整頓するようにしています」
栗原選手「私は逆に整理整頓が苦手なので大変です(笑)」

興味津々の子どもたちから、次から次へと飛び出す素直な質問の数々。選手との和やかで楽しい時間の中で、子どもたちはすっかり選手と仲良しになりました。

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