パラリンピアンなど障害者スポーツの選手たちが小学校を訪ねることで、障害者スポーツへの関心を高め、障害のある人への理解を深めてもらおうと行っている「交流教室 パラリンピアンがやってきた!」。
今年の第1回を2021年7月6日(火曜日)に、三鷹市立北野小学校で開催しました。

この日は5年生の3クラス、85人のもとを、1996年のアトランタから3大会連続でパラリンピックに出場した経験のある三宅 克己さんと、車いすバスケットボールチーム「東京クールス」の伊藤 優也選手の二人が学校を訪れました。

三宅さんは高校時代アルバイト先にオートバイで行く途中、交通事故に遭って腰の骨を折り、車いすの生活になりました。一時は生きることを諦めかけたとも言いますが、周りの応援とスポーツへの情熱でパラリンピックに出場。現在は車いすバスケ普及活動で全国を駆け巡っています。
伊藤選手も高校時代の事故が原因で車いすの生活をしています。残念ながら今回の東京パラリンピックへの選考はかないませんでしたが、現在26歳。次のパリ大会には期待がかかる若手選手です。

まず、午前中は各クラスごとに車いす体験。そして午後は三宅さんと伊藤選手による講演が行われました。
車いす体験は新型コロナウイルスの感染対策のため、残念ながら選手といっしょになっての試合はできませんでしたが、バスケットボールを持ったイメージで片手で車いすを操作したり、グループ対抗でリレーを行うなど、競技の難しさや楽しさを実感していました。

午後の講演では、それぞれの選手がこれまでの体験や思い、パラリンピックで活躍したときの気持ちや障害者スポーツの楽しさなどを語ってくれました。また、「車いすで生活をしていると町中では不便なこともあるけれど、そうした障害は誰かがちょっと手を貸してくれるだけで、もうそれは障害ではなくなります。だから、町中で障害のある人が困っているようだったら、みんなもぜひ声をかけてくれると嬉しいです」と話していたのが印象的でした。

今回はこの交流教室だけでなく、NHK主催の「パラリンピックチャレンジスタジアム」も同時に開催しました。
競技に使う車いすを展示したり、クイズでパラリンピックの知識を高めてもらったり。こちらは1年生から6年生まで全校児童に参加していただきました。

この「交流教室パラリンピアンがやってきた」は今から8年前。東京オリンピックパラリンピックの開催が決定したのをきっかけに、障害者スポーツへの関心を高め、理解を深めてもらおうと始めたものです。これまでに交流教室を行った競技は、車いすバスケットボールをはじめ、ブラインドサッカー、車いすラグビー、陸上、ボッチャ、水泳など。47校で行ってきました。開催してみるとどの競技のパラリンピアンも、障害者スポーツとの出会いや、スポーツの素晴らしさを語るだけでなく、障害のある人との共生について語ってくれていたのが印象に残っています。さらには、障害のある人だけでなく障害のない人も含めて助け合っていけたら、だれもが生きやすい世の中になっていくはずと語ってくれる選手もいて、私たちNHK厚生文化事業団としてこの取り組みを続けてきてよかったと感じています。これからもこうした、障害者スポーツを通して、障害のある人もない人も助け合って社会を作ってゆくことに貢献する取り組みを続けていきたいと考えています。

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