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活動リポート

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2013年5月11日

松山市で認知症フォーラムを開催しました

写真:会場全体

5月11日、愛媛県松山市のひめぎんホール サブホールで、認知症フォーラム新時代「いきいきと暮らすために--医療・介護・地域の支え合い--」を開催。パネリストに医師、介護の専門家、認知症の家族会の方が登壇し、「医療情報」、「本人に寄り添う介護と地域の支え」、「家族の介護体験」について話し合いました。

医療とケアの連携で病の進行を緩やかに

まずは、医師の谷向 知さんから、「認知症と診断方法」、「抗認知症薬の種類や効果と副作用」、そして「薬の服用とケアの連携で、進行を遅らせる効果が期待できる」などの話がありました。谷向さんは、「早期に診断を受けることは、その後のケアについて、ご本人からの要望を確かめる意味でとても重要です」と話しました。また介護施設管理者の永和 里佳子さんは、「認知症になっても、何も分からなくなるのではない。本人の気持ちを汲み取り接することで、本人が生きやすく、穏やかに暮らせるようにすること大切です」と話しました。
 家族会の大野 孝さんは、「おかしいな?と思っても、まさかうちの妻が、夫が、と思い、病気ではないと無意識に打ち消してしまい、あとで後悔することが多いです。早めの受診や相談をされてください」と訴えました。

介護する側も喜びにつながるケアを

次に、介護する上で対応が難しいさまざまな症状について、谷向さんが、「誰にでも起こる症状ではないが、暴言や暴力、妄想や徘徊、意欲を失う抑うつ状態などです。近年、こうした症状にも誘因があり、『対応可能』なものであるという新しい捉えなおしをしています」と話しました。そして永和さんの施設での実例をVTRで紹介しました。5年前にアルツハイマー型認知症と診断された82歳の女性は夜中に起きだしてスタッフに「自宅に帰る」と訴えたり、「騙そうとしている」いう言葉が出たりする状態でした。スタッフはこのような妄想などの原因を探るため、つぶさに言動を観察し、どういう気持ちでいるのかを考えて、介護や手立てを進めていき、次第に症状が治まり安定していく様子がこのVTRから分かりました。
 永和さんは、「こうした本人の気持ちに寄り添って、環境を整えていくケアは、介護する側にとっても喜びとやりがいにつながります」と話し、谷向さんは、「恐らく家族を大切にしている自分のことを分かってくれている、ということを強く感じとられたのだと思いますね」と話しました。

地域の力でお互いを支え合う

愛媛県で最も高齢化が進んだ久万高原町の在宅介護支援センター長の菅 将朝さんは、支え合える地域を目指し活動をしています。82歳のある男性は、脳梗塞を繰り返し、体がいうことがきかないため日頃から引きこもりがちでした。しかし菅さんの働きかけや、地域の支え合いがあって、その男性は、かつての趣味で撮りためてあった写真を地元の祭りで披露することになりました。本番当日は昔懐かしい町の顔ぶれにつぎつぎと声をかけられ、次第に笑顔になっていきました。菅さんは「高齢者を単に支えられる人、として見るのではなく、お互いに支え合う力を持った人として捉えることも大切だと考えます。地域の力を皆が自分のこととして考えることが不可欠です」と訴えかけました。

 来場者アンケート結果では、「映像に出られた方々に感謝の気持ちでいっぱいです。おかげで具体的に知ることができ、大変勉強になりました」「医療・介護・家族のそれぞれの立場からのお話が聞けて、理解を深めることができた」等の感想を多くいただき、皆さんが熱心に聴講されたことがわかりました。


出演者

谷向 知 たにむかい さとし
(愛媛大学大学院医学系研究科 准教授、医学博士)

菅 将朝 かん まさとも
(社会福祉法人久万高原町社会福祉協議会 地域福祉係長 (社会福祉士)、在宅介護支援センター長)

永和 里佳子 えいわ りかこ
(社会福祉法人ともの家 小規模多機能ホーム第2ともの家 管理者)

大野 孝 おおの たかお
(認知症の人と家族の会 愛媛県支部)

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