認知症にやさしいまち大賞 表彰団体決定!
公開日:2018年1月26日
「認知症にやさしいまち大賞」では、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりの取り組みを募集していましたが、今年度、全国から53の事例が寄せられました。ご応募いただいたみなさま、ありがとうございました。先日行われた選考委員会の結果、表彰団体が決まりました。表彰式は2月18日(日曜日)、東京・千代田区のベルサール神保町アネックスで開催します。
選考基準は、
(1)共生社会に向けた先駆性、オリジナリティー
(2)認知症当事者が望む活動を本人とともに進めているか
(3)その活動が一般の人に届き、地域に広がっているか
(4)他の地域への応用可能性
の4点。
53の応募事例はどれも甲乙つけがたく、選考は難航しましたが、選考委員の合議により下記のとおり7団体を表彰することに決まりました。
受賞団体
<本賞>
- 三芳町社会福祉協議会 セカンドキッチンけやき(埼玉県 三芳町)
- 「認知症を“見える化”する」東京・町田市のDカフェの取り組み(東京・町田市)
- 左京区SOSネット(京都府 京都市 左京区)
- 若年性認知症の人と家族と地域の支え合いの会「希望の灯り」(大阪府 堺市)
- ごぼう総活躍のまちづくりプロジェクト、西山さんから始まった地域づくり(和歌山県 御坊市)
<ニューウェーブ賞(特別賞)>
- ジュンク堂書店池袋本店「認知症当事者の語り~ありのままの声で~」(東京都 豊島区)
- 大牟田本人交流会「ぼやき・つぶやき・元気になる会」(福岡県 大牟田市)
本賞
こども食堂で社会貢献
三芳町社会福祉協議会 若年性認知症デイサービス セカンドキッチンけやき(埼玉県 三芳町)
地域のひとり親世帯の支援を続けてきた三芳町社協に寄せられたニーズと、誰かの役に立ちたいという認知症の人の思いがマッチしてこども食堂=「セカンドキッチンけやき」が生まれた。
メニュー作りから買い物、調理まで認知症当事者が行い、賃金を得ると共に社会貢献に寄与しているというやりがい、生きがいにもつながっていることを評価。
“集めるカフェ”から“集まるカフェ”へ
「認知症を“見える化”する」東京・町田市のDカフェの取り組み(東京都 町田市)
町田市の認知症カフェ「Dカフェ」は、他の地域の認知症カフェと違い、市内のスターバックスコーヒーを回って実施。若者、主婦、ビジネスマンなど、様々な人の中に、ごく普通に認知症の人がお茶をすることで、無意識のうちに住民の意識を変えていこうという取り組み。
会議室の中に集められた認知症の人たちのカフェでなく、街なかに集まった認知症の人たちのカフェだというところを評価。
安心して外出し続けられるために
左京区SOSネット(京都府 京都市 左京区)
左京区SOSネットは、平成23年から「声かけ訓練」「行方不明者を防ぐ訓練」を電車・バス・タクシー会社と実施し、認知症を支援するネットワーク作りに取り組んできた。昨年10月には、交通会社5社と2警察署も参加し、「外出をあきらめない交通セクターとのワークショップ」を実施、外出することが当事者の楽しみ、生きがいであることを再認識。
「外出支援」という課題解決に向けたひな形として広がることを期待。
勇気をくれる まちかどライブラリー
若年性認知症の人と家族と地域の支え合いの会「希望の灯り」(大阪府 堺市)
野菜の生産・販売、喫茶店での相談会など多様な活動を続ける「希望の灯り」。中でも選考委員の評価が高かったのが「まちかどライブラリー」。「認知症について調べようと図書館や本屋に出向いたが、心が折れてしまいそうな本ばかり・・・」という家族の言葉がきっかけになり、認知症当事者や家族が前向きに生きていける書籍を自ら選んで定期的に自治会館や薬局で開催。
図書館を拠点にした認知症支援の動きが活発になっているが、家族の切実な思いから始まった手作りのライブラリー活動はユニークで、評価できる。
町おこしを担う~活躍できることは必ずある~
ごぼう総活躍のまちづくりプロジェクト、西山さんから始まった地域づくり(和歌山県 御坊市)
御坊市は、スターチスの生産量が日本一。色が褪せないことに由来する花言葉は「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」「永久不変」。それを認知症支援のシンボルとして活用。
御坊市が、これまでの行政主導から認知症当事者を主役に据えた支援に変えたきっかけになったのが、「西山さんから始まった地域づくり」の活動。当事者の西山さんの自宅を意識的に訪問して地域のつながりを復活させる活動から始まり、現在は、地域住民と当事者の交流会を定期的に頻繁に行っている。
今ではスターチスの収穫やグッズ制作を当事者が手伝うことで、地域おこしに一役買っている。
「認知症の人でも活躍できることは必ずある」をモットーにした御坊市の認知症支援が始まって2年。今後の活動継続と、周辺地域への波及効果を大いに期待したい。
特別賞
本賞とは別に、これからの展開を期待したい取り組み、持続・発展性を評価した取り組みについて、特別賞として2団体を表彰することになりました。
全国にひろがれ!ブックフェア
ジュンク堂書店池袋本店「認知症当事者の語り~ありのままの声で~」(東京都 豊島区)
従来、ケアの専門書が中心だった「認知症コーナー」を、当事者の体験談をまとめた書籍を集めて「認知症当事者の語り」というタイトルの特設コーナーを書店内に設置。認知症の家族や団体の人も多く訪れ、1か月の予定を2か月に延長した。売り上げもこの手のブックフェアとしては好調だった。
この取り組みは、他のジュンク堂書店や、都内の他書店でも実施され、その汎用性、広がりが評価された。
進化をつづける「元祖・本人交流会」
大牟田本人交流会「ぼやき・つぶやき・元気になる会」(福岡県 大牟田市)
2010年に全国に先駆けて認知症当事者活動をスタート。「仲間づくり」と「社会参加」を活動のキーワードに、多世代が交流する登山やウォーキングなどのイベント、当事者が参加した小・中学校での絵本教室、全国から仲間を招いて「働くこと」をテーマにした「本人ミーティング」など、常にオリジナリティーに富む取り組みで、認知症支援活動をリードしてきた。
この本人とともに進化し続ける「ぼやき・つぶやき・元気になる」活動を、これからも続けていってもらいたいという期待を込めて。
表彰式
表彰団体をお招きし、表彰式を下記の通り行います。一般の方の参加も可能です。
日時:2018年2月18日(日曜日)午後1時~
会場:ベルサール神保町アネックス
参加:こちらの申し込みフォームからお申し込みください。
ご応募いただいたみなさま
自薦、他薦たくさんのご応募をいただき、ありがとうございました。名称だけ紹介させていただきます。
うごまちキャラバン・メイト認知症サポーター協会(秋田県)、若竹元気くらぶ(秋田県)、超高齢社会と図書館研究会(茨城県)、認知症予防&サポート研究所アンクル(群馬県)、武蔵野市と認知症予防財団(東京都)、注文をまちがえる料理店(東京都)、足立区多機能サービス連絡会(東京都)、国立市認知症の日実行委員会(東京都)、ICTを活用した帰宅困難者を見守るサービス(町田市、富士通、アジラ)、アーツアライブ(東京都)、認知症カフェ「フェロー フィーリング」(東京都)、認知症高齢者の事故に備え保険加入の大和市(神奈川県)、川崎医療生活協同組合の「班」の活動(神奈川県)、さがみはら認知症サポーターネットワーク(神奈川県)、認知症フレンドリーよこすか(神奈川県)、「旅のことばをみんなで使おう!」コミュニティ(DFJI、慶應義塾大学井庭研究室ほか)、川崎市立宮前図書館(神奈川県)、東海青年会議所(愛知県)、若年性認知症の人と家族と寄り添いつむぐ会(石川県)、いのちにやさしいまちづくり ぽぽぽねっと おもいやりのまちづくりプロジェクト(石川県)、金沢市崎浦地区社会福祉協議会(石川県)、劇団にじいろ(福井県)、福井県民生活協働組合 岡保きらめきグループホーム(福井県)、白働塾(愛知県)、名古屋市西区地域包括ケア推進会議認知症専門部会(愛知県)、大府市(愛知県)、鈴鹿・お福の会(三重県)、家族みまん。(三重県)、認知症の人と家族の会 三重県支部(三重県)、ときわ会藍ちゃんの家(三重県)、もの忘れカフェの仲間たち(滋賀県)、精華町キャラバン・メイト連絡会(京都府)、京都市醍醐図書館(京都府)、宇治市(京都府)、泉佐野たんぽぽの会(大阪府)、シーポート(広島県)、平大認知症カフェ連絡協議会(広島県)、特定非営利活動法人回想療法センター鳥取(鳥取県)、アテラーノ旭(高知県)、すずらん会(福岡県)、みやこ町認知症あんしんフェア2017(福岡県)、認知症キッズサポーター ミスマイながよ(長崎県)、KSVN(佐賀県)、だいでんケアネットワーク(佐賀県)、生協コープかごしま「そお福祉グループ」(鹿児島県)