「認知症にやさしいまち大賞」では、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりの取り組みを募集していましたが、今年度、全国から45の事例が寄せられました。ご応募いただいたみなさま、ありがとうございました。先日行われた選考委員会の結果、表彰団体が決まりました。表彰式は12月11日(火曜日)、東京・千代田区の有楽町朝日ホールで開催します。

選考基準は、
(1)共生社会に向けた先駆性、オリジナリティー
(2)認知症当事者が望む活動を本人が共に進めているか
(3)活動が多様な人々と共に進み、地域に広がっているか
(4)他の地域への応用可能性
の4点。
45の応募事例はどれも甲乙つけがたく、選考は難航しましたが、選考委員の合議により下記のとおり7団体を表彰することに決まりました。

受賞団体

<本賞>

<ニューウェーブ賞(特別賞)>

本賞

農園に集い語り合い、地域融合の活動として発展

アクション農園倶楽部(新潟・湯沢町)

「農作業が楽しめる場所があれば、ひきこもりがちな高齢者が元気になるのでは……」という話し合いから賛同の輪が広がり、民産学官、それぞれができることを持ち寄って6年前から農園を続けている。
自宅や施設の認知症の人たち、地域の人たち、親子、学生、ボランティア、福祉関係者、研修医、行政職員などが週1回農園に集まって農作業に汗を流し、お互いの思いと力を伸び伸びと出しあいながらつながりを育ててきている。農園での本人のつぶやきが克明に記録され、本人の声に根差した暮らしや支え合いに発展。旧住民と新住民の自然な架け橋にもなっており、農園を拠点とした地域融合のモデルとして、都会地も含め各地で応用が期待される。

※アクション農園倶楽部の取り組みについて、福祉情報サイト「NHKハートネット」でも紹介しています。>>>こちらをクリック


竹林再生を担い、稼ぐ

HATARAKU認知症ネットワーク町田(東京・町田市)

昨年10月、町田市所有の放棄竹林を、認知症当事者グループ、農業者、地元の住民などが公園にする目的で共同作業を始めた。
作業内容は、交流会や日頃の活動の中で当事者とサポーターが対等に話し合い決めている。当事者の参加が少しずつ増え、今では公園整備だけでなく竹炭や竹製品づくりも行い収益にもつながり、当事者の生きがいになっている。
放棄竹林は全国に広がっており、汎用性の高い取り組みとして期待される。


たまり場でやりたいことをやる

若年性認知症の人と家族と寄り添いつむぐ会(石川・金沢市)

金沢市から委託を受けて運営する若年性認知症カフェ「もの忘れが気になるみんなのHaunt(たまり場)を軸に活動を広げている。
認知症カフェをガラス張りのオープンスペースで実施したり、音楽イベントや美術ワークショップ、山登りなど、当事者の声をもとにした多様な活動に発展している。
行政の壁を突破し、行政とともに自らの活動を進化させていることは、他地域の活動の参考になると評価。


ソフトボールで生きがい再発見

Dシリーズ/富士宮市ソフトボール大会実行委員会(静岡・富士宮市)

仲間とスポーツで楽しみながら戦うことを通じて、本人が秘めている力を発揮し、可能性を感じ取ることを目的にソフトボールの全国大会「Dシリーズ」が4年前にスタート。毎年3月の大会を楽しみに練習に励む当事者が全国に広がっている。
珍プレー、好プレーで盛り上がる試合だけでなく、前夜祭や大会後の参加者同士の交流会も大きな楽しみになっており、地元の住民やボランティアが運営に尽力。今では市をあげてのイベントになり、当事者が普段の中で活躍する姿が広がっている。


本人も、地域も、子供も育つ ~多世代で創る地域~

育育広場~南かざし団地チーム志度谷~(香川・綾川町)

「仲間がほしい。できる仕事がしたい。」という一人の認知症の男性の声を発端に始まった活動。男性が暮らす団地では高齢化が進み、住み慣れた地域で生きがいを持って楽しく暮らせることは、地域の人たちの共通の願いであり、廃園した子育て支援施設の一角を活かして、本人と家族、地域の中高年の男女が週1回集る場がスタート。名付けて「育育広場」。認知症当事者も、地域の人たちも、子供も共に『育つ』という思いが込められている。
本人が得意なことを中心に話し合い、木工品作りや野菜栽培を続けている。作った木製の柵を、これまでに7か所の保育園に寄付して喜ばれ、子供たちや若い世代との自然で楽しい交流が続いている。活動を共にする中高年男性の妻たちからも夫が外出して生き生きすると好評だという。本人と家族、そして地域の人と行政職がいっしょに語り部となり、本人を起点とした多世代で共に創る地域の活動を市の内外に広げている。


ニューウェーブ賞(特別賞)

本賞とは別に、時代の先駆けとしての活動のユニークさと、これからの活動の広がりや進化への期待を込めて、ニューウェーブ賞として2団体を表彰します。

大学生が地域の中で当事者とともに

オレンジプロジェクト~お年寄りにやさしい街六角橋~(神奈川・横浜市)

地元住民と大学生(神奈川大学)が協働してまちづくりを行う「オレンジプロジェクト」は、平成28年から毎年9月の「敬老の日」から「世界アルツハイマーデー」(9/21)までの期間に、認知症にやさしいまちをテーマに様々な活動を実施している。
「認知症サポーター養成講座」「講演会」「認知症VR体験」「動画上映会」「当事者の商店」「スポンジテニス」など、当事者の活躍の幅を広げるバラエティーに富むイベントには大学生のフレッシュな発想と行動力が随所にうかがえる。今後、若者やより広い年齢層が当事者と共に町づくりを広げていく期待を込めて。

夢を、地域を超えた連携でかなえる

国府の浜サーフィンプロジェクト、志摩市(大阪・堺市、三重・志摩市)

「また、サーフィンしたいなあ・・・」という当事者のつぶやきが発端となり、大阪の当事者団体と三重県志摩市の当事者団体や行政等が連携し、翌年夏に実施。当事者3人らがサーフィン連盟三重支部の人たちとともに楽しむことができ、大きな自信となった。
無理とされがちな本人の夢を聞き流さず、志摩市民病院、三重大学医学生、サーフィン連盟三重支部、森ノ宮医療大学の教授、堺市認知症介護指導者など多岐にわたる人々が夢の実現に向けてすばやく連携し力を合わせた。その後も当事者にとってのやさしいまちを実現していくステップアップにつながっている。


表彰式

表彰団体をお招きし、表彰式を下記の通り行います。一般の方の参加も可能です。各団体の先駆的な取り組みを、映像を交え、選考委員の方々とともに、丁寧に紹介します。「認知症の人にやさしいまちづくり」のヒントがたくさん詰まった表彰式です。

日時:2018年12月11日(火曜日)午後1時~
会場:有楽町朝日ホール
詳細:表彰式のページへ
参加:こちらの申し込みフォームからお申し込みください。上記ページからもお申し込みいただけます。

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