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今回ご紹介するのは、森 啓輔さん(三重県)の作品です。

キュレーターは、福祉実験ユニット・ヘラルボニーの松田文登さんです。

作者……森 啓輔さん

キュレーターより《松田 文登さん》

明暗色の世界を、音楽と情熱がほとばしる。
森啓輔が描き出す、強烈かつダイナミックな世界観。

「黒いチューリップ」(2014)

丁寧に練られた油絵特有の色彩感。明度差の激しい画面作り。

一瞬、フランシス・ベーコンの具象絵画を彷彿させるが、じつはレコードジャケットの人物をモチーフに描かれているのである。配信サイトで刹那的に音楽が買えてしまうこの時代に、レコードジャケットに写る人物を丹念に描いた迫力ある作品群は、人々がいつの間にか忘れてしまった部分を刺激し、心の奥底を揺さぶる。

1989年に生まれ、三重県『希望の園』に所属する森 啓輔さんは、12歳のときアトリエ『HUMAN・ELEMENT』で制作を始動。17歳のときに油絵と出会い、その才能を開花させた。いまや全国の公募展や三重県展で毎年入選を果たす常連作家である。国内だけでなく、ドイツ、フランス、スペインといった海外のグループ展にも多数参加している。明暗際立つ色彩構成は『希望の園』の村林理事長の助言から着想をえて確立した。当初は動物画も描いていたそうだが、今ではデヴィッド・ボウイや森田健作といった、レコードジャケットに描かれる懐かしの人物のみをひたすらに描き続けている。本人も「僕はこれからもずっとレコードジャケットの人を描きます!」と断言する。それほどまで彼を引き付ける魅力があったのだろう。迫力溢れる作風だが、森さん本人はとても朗らかで、テレビゲームや本を読むことが趣味だ。作品を描く際はレコードの音楽を聴いたり、自身で口ずさんでいる。

冒頭の作品「「無償の愛-Love Story-」は、構図といい画面下部に描かれた文字列といい、最も「レコードジャケットらしい」作品と言える。「ジャケ買い」という言葉もあるように、ジャケットは想い出や青春の象徴だ。森さん自身のパーソナルな想いが感じ取れるのはもちろんのこと、自分の好きなジャケットを思い出して作品に重ねて見るという楽しみ方も出来る印象的な作品だ。

現状、海外のアートマーケットと比較して、日本では障害のある作家が描くアール・ブリュット作品の市場価値はいまだに低い。

社会に存在する「障害のある人が生み出すものの価値は低い」というイメージを払拭し、「アート」というフィルターを通じて、作家個々人に対してリスペクトが生まれるような空間を生みだしたい。

そんな想いから、今年の春、故郷である岩手県に日本全国の障害のある作家の才能を披露するアートギャラリーを構えた。

現在、そのギャラリーの空間を森さんの原画作品が鮮やかに彩る。この場所を訪れた人々には「森 啓輔」という一人の作家が描き出す、強烈かつダイナミックな世界観に、ぜひ圧倒されてほしい。


プロフィール

松田 文登(まつだ・ふみと)

株式会社ヘラルボニー代表取締役副社長。チーフ・オペレーティング・オフィサー。大手ゼネコンで被災地の再建に従事、その後、双子の松田崇弥と共に、へラルボニー設立。自社事業の実行計画及び営業を統括するヘラルボニーのマネージメント担当。岩手在住。双子の兄。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」受賞。

 


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