2013年3月30日
「発達障害 先生や友だちに理解してもらおう」さいたま市で開催しました
3月30日(土曜日)、さいたま市浦和区のさいたま共済会館大ホールでNHKハートフォーラム「発達障害 先生や友だちに理解してもらおう--共に学び育つために」を開催しました。発達障害のあるお子さんの家族や教育関係者など240人が来場し、熱心に耳を傾けていました。
第一部「発達障害のある子どもたちを育てる」
第一部は埼玉大学教育学部特別支援教育講座准教授の名越 斉子さんが「発達障害のある子どもたちを育てる--家庭・学校・相談機関それぞれの強みを生かして--」をテーマに講演を行いました。
同じ子どもなのに、「家庭では落ち着いているのに、学校では問題がある」または「A先生からは発想がユニークと評価されるのに、B先生からは教えた通りにやらないと叱られる」など様々な見方をされることがよくあります。
そういった「見方のずれ」は
- 場面の特性(活動・人などが違えば、必要な力は異なる)
- 見る人の特性(専門性、経験、立場が違えば、目のつけどころや評価の厳しさは違う)
- 子ども自身の特性(関心のむらがある、周囲の影響を受けやすいなど)
- それぞれの交互作用
から生じると言います。
たとえばADHDのある子どもにとって、学校は刺激が多く、決められた時間で行動するため、家の方が落ち着きやすい。また、担任は他の児童とくらべてその子を見るため、家庭よりも評価が厳しくなりがちです。
このように立場によって「見方のずれ」があるということを当然のこととしたうえで、互いの情報をつき合わせながら、共通認識を図っていくことが重要だと話しました。
第二部は保護者の体験談
第二部では、発達障害のあるお子さんを育てられた保護者2人に登壇いただき、「本人にどう伝え、周りにどう働きかけたか」と題して、ご自身の体験談を発表していただきました。
読み書きが苦手な長女を育てた父親は、小学生のころサンタクロースからの贈り物として、電子手帳をプレゼントしたら、文字に興味を持つようになったといいます。また、学校の先生に対しては、障害について理解するだけでなく、読み書きが困難な子に対しては宿題の量(漢字の書き取りなど)を減らすなど、実際に配慮をしてほしいと訴えかけました。
続いて登壇したのは発達障害のある長男の母親です。本人に告知する際、努めて冷静にふるまったが、「部屋を出て一人になったら涙が出てきた。もうこんな経験はしたくない」と辛かった心境を吐露し、告知するときには障害名や特性を伝えるだけでなく、対処法や将来の展望なども伝えると本人の不安も和らぐと、これから告知をしようと考えている親御さんにアドバイスしました。