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活動リポート

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2011年2月26日

NHKハートフォーラム「思春期の“こころ”と“病”を知る」を開催しました

2月26日(土曜日)、広島市東区の東区民文化センターで、NHKハートフォーラム「思春期の“こころ”と“病”を知る」を開催しました。 教員や保護者など310人の来場者が、思春期に見受けられる“こころの病”や気になる行動とその対応について学びました。

写真:第二部の舞台の様子。真中にスクリーン、左側に司会の河野さん、青木さん、右側に林さん、新開さん

出演は、青木 省三さん(川崎医科大学精神科学教室教授)、林 マサ子さん(臨床心理士・スクールカウンセラー)、新開 美和子さん(養護教諭)、司会はフリーアナウンサーの河野 多紀さんが務めました。出演者のプロフィールはこちらをご覧ください。

第一部 講演 「思春期のこころの病 --“悩み”と“病”の見分け方とその支援--」

写真:青木 省三さん

講師は、精神科医の青木 省三さんです。
青木さんは思春期青年期の臨床を専門にしています。
今回の講演で、

  • 思春期の子どもたちの“悩み”の意義
  • 子どもたちの「元気」のない原因が、“悩み”なのか、“こころの病”なのかを見極めるポイント
  • 専門家に相談するかどうか判断するときのポイント
  • 子どもを支えるための大人の心構え

などについてお話をされました。

第二部 シンポジウム 「子どもを支えるためにできること」

シンポジウムでは、こころの不調がある子どもを、学校や家庭でどう支えられるか、事前にいただいた質問に答えながら考えました。シンポジストには、青木さんの他に、スクールカウンセラーの林 マサ子さんと養護教諭の新開 美和子さんのお二人に加わっていただきました。

写真:林 マサ子さん

林さんは、子どものこころの不調に気付くポイントして、まず、子どもが周囲の大人に何でも話せる雰囲気を作ることが大切だと訴えます。「大人が忙しそうにしていると、子どもは話したくても話せなくなります。まずは大人から子どもに話しかけてみる。そうすることで、子どもも話しやすくなり、大人にとっても子どもの変化に気付きやすくなる」といいます。

新開 美和子さん

新開さんは、学校での支援のポイントについて話しました。 養護教諭には、けがの手当てだけでなく、子どもの「困り感」に寄り添う役割もあります。「病名にかかわらず、その子が学校生活を送るうえで何に困っているのか、どんな形なら参加できるのかを考え、支援している」といいます。例えば、統合失調症の子どもで、学校に来るのを楽しみにしているのなら、主治医、保護者と学校が相談したうえで、無理のない範囲で登校してもらい、その子の気持ちを尊重する。その際には教員同士で情報を共有して、その子の症状が悪化しないように学校全体で「見守る」などの配慮が必要ということです。

シンポジウムの最後に、青木さんが「子どもは親だけでなく、たくさんの大人たちとの出会いを通して成長していく。親や教師、医療者など、多くの大人たちの連携なくして、子どもを応援することはできない」と締めくくりました。


フォーラム当日、会場にお越しいただいた皆様に、青木省三さん監修の小冊子「思春期のこころの病」をお配りしました。
思春期のこころや精神疾患についてわかりやすく解説したものとなっています。


出演者

青木 省三(川崎医科大学病院 精神科学教室 教授)

1952年、広島市生まれ。1977年、岡山大学医学部卒業。岡山大学医学部神経精神医学教室助教授を経て、1997年より川崎医科大学精神科学教室教授。専門は、青年期精神医学と精神療法。主な著書に、『僕のこころを病名で呼ばないで〜思春期外来から見えるもの〜』(岩波書店)、『思春期の心の臨床』(金剛出版)、『精神科臨床ノート』(日本評論社)など。

林 マサ子(臨床心理士・スクールカウンセラー)

広島県臨床心理士会事務局長。 長年、病院での相談援助に携わる。現在は、広島大学保健管理センターで大学生の相談援助に携わる一方、広島県内の小学校・中学校・高校のスクールカウンセラーとして、児童・生徒の相談にもあたる。

新開 美和子(養護教諭)

広島県内の公立の中学校、小学校の勤務を経て、教育行政にかかわる。 現在は、公立高校に勤務。

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主催

NHK厚生文化事業団、NHK広島放送局

後援

文部科学省、厚生労働省、広島県、広島県教育委員会、広島市、広島市教育委員会、日本児童青年精神医学会、日本臨床心理士会、全国養護教諭連絡協議会

 

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