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活動リポート

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2007年10月10日

認知症フォーラム「あきらめない」(横浜)実施しました

認知症の医療やケアの最新情報をお伝えするフォーラム「あきらめない〜最新医療と社会の支え〜」を、10月10日(水曜日)、横浜市の神奈川県民ホール小ホールで実施しました。全国8会場で実施してきたフォーラムの最終回です。

写真:舞台全景。講師が4人並ぶ。中央にスクリーン。

医療と介護

写真:小阪氏と櫻井氏

フォーラムでは、まず、ほうゆう病院(横浜)院長の小阪 憲司さんと、医療法人新光会オリーブの家ホーム長の櫻井 正子さんが、認知症の医療と介護の最新情報を紹介しました。
櫻井さんは、「センター方式」という介護の方法について説明しました。認知症の人ご本人の気持ちに寄り添う介護をするための方法です。

若年認知症

フォーラム後半では、若年認知症について話し合いました。若年認知症は、65歳未満で発症する認知症です。働き盛りで発症し退職せざるをえなくなる人も多く、「生きがい」「働きがい」をどう提供するか、大きな課題になっています。

写真:井上氏

井上 かつ子さんの夫も、若年認知症です。井上さんは、ほかの若年認知症の人や家族と支えあおうと、グループ「どんどん」を立ち上げました。
井上さんは、「どんどんでは、Tシャツを作って皆さんに買ってもらっています。売り上げに少し金額を足して、みんなで旅行にも行きました。若年認知症の方も、どんどん外に出て行こうということで「どんどん」と付けました。Tシャツのマークは夫が作りました。出来ることをやってもらって、本人のやりがいや生きがいに繋げています。」と語りました。

地域で支える

フォーラムの最後は、認知症の人と家族を地域で支えるとりくみです。特に横浜市のような大都市では、近所の人どうしの、もともとのつながりが弱く、認知症になっても住みやすい地域にするためには、自治体の努力が欠かせません。

写真:梅澤さん

横浜市高齢健康福祉課の梅澤 厚也さんは、市の取り組みについて、「中学校のエリアに一つずつ、「地域ケアプラザ」を作ってます。現在109館あり、最終目標は、中学校エリア147箇所全てに作ることです。そのほか、「地域包括支援センター」を各地域に設置しています。困ったら近くの地域包括支援センターの門をたたいて欲しいです。また、住民の方といっしょになって徘徊するお年寄りを守ろうと、「徘徊高齢者SOSネットワーク」という取り組みを実施している区もあります。ひとりひとりの力は小さくても、皆が力を持ち込めば、大きな力になります。ぜひ、このような活動に参加して欲しいです。」と語りました。


8会場 ご参加ありがとうございました

絵:鳥がきれいな軌跡を描きながら飛んでいく

認知症フォーラム「あきらめない〜最新医療と社会の支え〜」は、

  • 主催:NHK、NHK厚生文化事業団、読売新聞社
  • 後援:厚生労働省、社団法人 認知症の人と家族の会
  • 協賛:株式会社 ツムラ

で実施しました。6月2日の東京会場からスタートし、名古屋、福岡、仙台、札幌、広島、大阪、横浜の8会場で開催してまいりました。
8900件の申し込みをいただき、抽選の結果、4400人にご参加いただきました。ありがとうございました。

放送予定

大阪会場のフォーラムの模様は、このあと、NHKのテレビで放送されます。

「日曜フォーラム」(教育テレビ)
11月11日(日)午後6時から7時まで

の予定です。ご覧ください。


横浜会場の出演者のプロフィール

小阪 憲司(ほうゆう病院(横浜) 院長)
1939年生まれ。金沢大学医学部卒業。現在、医療法人社団鵬友会 ほうゆう病院院長、横浜市立大学名誉教授、聖マリアンナ医学研究所所長。専門は認知症の臨床と脳病理の研究で、「レビー小体型認知症」を発見し、1976年以降の一連の報告の中で明らかにした。認知症研究で世界的に知られている。

櫻井 正子(医療法人新光会 オリーブの家 ホーム長)
1946年横浜市鶴見区に生まれ育つ。高齢者や精神障害者の役に立ちたいと思い看護師になった。1990年から医療法人新光会に勤務。1995年よりホームヘルパー養成講座に携わり、後に修了者と市民参加型助け合いグループを設立した(現在はNPO法人)。1998年に認知症高齢者グループホーム「オリーブの家」管理者となって現在に至る。

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井上 かつ子(社団法人 認知症の人と家族の会神奈川県支部)
川崎市在住。1999年10月に夫が脳梗塞で倒れ、うつを発症し、会社を辞めるに至った。2004年春に夫が若年認知症と診断され、現在も経済的困難な状況下で介護を続けている。昨年より、若年認知症グループ「どんどん」を立ち上げ夫と共に副代表を務める。同グループ(若年認知症の当事者・家族・サポーター)の仲間と支え合いながら、働く意欲に応えるためのサポーターTシャツなどの製作活動を始めた。

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梅澤 厚也(横浜市健康福祉局 高齢健康福祉課 計画調整係長)
1962年横浜市生まれ。1985年横浜市入庁。総務局、都市計画局を経て、99年から健康福祉局勤務。厚生労働省出向中に全国初の高齢者虐待実態調査に従事。認知症の正しい知識を市民に広める講師役である認知症キャラバン・メイトの養成に取り組み、自らも認知症サポーター養成を行っている。

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