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わかばなかま

支援団体の活動リポート

大阪市立大学医学部附属病院ボランティアグループ マーブルタウン「縫製で、患者や家族に寄り添います」

ボランティアグループ「マーブルタウン」は、大阪市立大学医学部附属病院で活動するボランティアグループです。主に「外来に来た患者さんの案内」「院内での演奏会やワークショップ等のイベント」「縫製活動」を行うチームに分かれて、入院・通院患者やその家族の闘病生活を応援しています。
このたび、わかば基金の支援金で刺しゅうミシンとロックミシンを購入、実用的で鮮やかな刺しゅうが施された作品を患者さんたちに届けて、病院内に花を添えています。

写真:縫製作業をするボランティア

ボランティアのメンバーには患者さんも

マーブルタウンは病院の呼びかけで集まった地域の主婦が中心となって、平成19年2月から活動を始めました。ボランティアには主婦の他にも、医学部の学生、患者さんやその家族など、総勢130人ほどが登録しています。「病院は生活の場のひとつ」という考えに基づき、病気の治療だけではなく、地域の人々とも交流しながら文化や芸術にも触れる「生活空間」を目指して立ち上げられました。

写真:ミシンを使って作品を作っているボランティア

患者に作品を届けるだけでなく、作る喜びも感じてもらえます

今回購入したミシンを活用しているのは、縫製活動をしているチーム「はりねずみ」です。毎週木曜日、院内に設けられた部屋に10〜20人ほどのメンバーが集まり、排尿パックのカバーや車いす用のバッグなどの布製品を作っています。これらの製品はどれもありそうでなかったものばかりで、「こんなものが欲しかった」と、患者さんや家族にとても好評です。製作は看護師やソーシャルワーカーなど医療スタッフの依頼で行うことが多いのですが、患者さんや家族に喜んでもらえるよう、デザインに凝って刺しゅうを入れたり、用途に合わせて綿や絹などの生地を使い分けて製品を作っています。

写真:鳥や犬、花などの刺しゅうを施したバッグやポーチ

しかし、これまで「はりねずみ」では、所有しているミシンは1台しかなく、ほとんどが手縫いの作業に頼っていました。このため製作する時間もかかり、技術的にも出来ることが限られていました。また、ボランティアの中には患者さんも加わっていることから、なるべく負担をかけずに多くの要望に応えられるようになればと常々考えていました。そこで、わかば基金に支援を申請したということです。 ロックミシンを購入できたため、これまで手縫いでしていた生地の端のほつれ止めを短時間で仕上げられるようになりました。刺しゅうミシンでは、動物や植物などの色鮮やかな刺しゅうを簡単に出来るようになりました。

写真:ワークショップで飾り付けられたフェルトのバッグ

ミシンが増えて、ひとつの製品を作る時間を減らすことができるようになりました。そこで、これまで製品を受け取る側だった患者さんにも作る楽しみを感じてもらおうと、2か月に1回、院内で縫製のワークショップを始めました。「はりねずみ」があらかじめ作ったバッグやポーチに患者さん自身が刺しゅうやアップリケなどの飾り付けをして、オリジナルの作品を作るのです。毎回20人ほどの患者さんや家族が参加するそうで、みんな楽しそうな様子で会話も弾むということです。

家族の気持ちで取り組んでいます

写真:上下に切り分けられた振袖

いま取りかかっているのは、この春、成人式を迎える女性が着る振袖のリフォームです。この女性は生まれつきの難病のために入退院を繰り返しており、車いすで生活しています。そのため、振袖を上下に切り離して、車いすに座ったままでも着付けできるように加工しようというのです。作業をするのは和裁が得意な3人のメンバーです。女性と「はりねずみ」の皆さんは顔なじみで、「私たちにとっては娘のような存在。成人式に着物を着たいという気持ちに応えたいし、とっても似合うと思う」とわくわくしながら縫製に取り組んでいます。元になる振袖は、この女性の母親が成人式に着たものです。母親は「着物を切ると聞いて、はじめは驚きました。でも私が着たものを娘が望んで着てくれるなんて本当にうれしいです」と目を細めていました。

「手作りで作品が出来上がっていくのが楽しいし、何よりも作品を受け取ったときの患者さんの笑顔を見られるのが好きです」という「はりねずみ」の皆さん。
「今後は今回買ったミシンを使って、介護する人のための動きやすい服や、手に障害のある患者さんが片手でもボタンを留められるような服なども作っていきたいです」と、ますます意欲を燃やしています。

(2011年1月6日記)

大阪市立大学医学部附属病院ボランティアグループ「マーブルタウン」は、第21回(平成21年度)第1部門の支援グループです。
連絡先や活動内容については、マーブルタウンのホームページをご覧ください。