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わかばなかま

支援団体の活動リポート

みちのく屋台こんにゃく道場「“玉こんにゃく”と私たちの笑顔を届けます」

山形市にある「みちのく屋台こんにゃく道場」は、知的障害のある人の就労・社会参加を目的としたNPOです。市内各所で山形名物“玉こんにゃく”の移動販売をしています。
「わかば基金」で業務用の大型冷凍冷蔵庫の購入を支援、夏季限定商品の製造や、大量の食材の保存が可能になり、販売の拡大につながっています。

画像:移動販売車で玉こんにゃくを販売

働く場と出会いを追求する移動販売車

「みちのく屋台こんにゃく道場」は、就労できなかったり、仕事を辞めざるを得なくなった知的障害のある人たちがいきいきと働ける場を目指そうと、平成19年12月に発足しました。
特徴は、店を構えずに移動販売車で市内を回って販売する点です。
「店舗だと、お客さんが買いに来てくれるのを待つことになりがちです。私たちは、出会いを求めて行こう、仕事を開拓しようという姿勢を大事にしたいと考えたのです」と、代表の齋藤 淳さんが、移動販売を始めた理由を話してくれました。

画像:市役所の売店の一角で販売

齋藤さんの狙い通り、回数を重ねるにつれ、メンバーはスムーズに販売や接客ができるようになり、仕事に対して意欲的になっていきました。頑張ろうとする何よりの原動力は、お客さんの励ましやアドバイス。「行く先々での出会いがメンバーの成長につながっています」と齋藤さんは言います。
また、メンバーの頑張る姿を見て、お客さんが「自分の会社で働いてはどうか」と申し出てくれたり、新たな販売先を紹介してくれるなど、出会いが期待以上の方向へ発展したこともあるそうです。

冷蔵庫の大型化で大量仕込み・大量販売が実現

画像:左が玉こんにゃくが3つ串に刺さった玉コン、中央は3つのうち真ん中が煮卵の玉ゴン、右は上下が煮卵のメガ玉ゴン

「みちのく屋台こんにゃく道場」が販売するのは、“玉コン”こと山形名物・玉こんにゃく。調理は、事務所を兼ねた厨房でメンバーが行っています。何度も試作してたどりついた自慢の味付けで、なかでも煮卵と玉こんにゃくを交互に刺したオリジナル商品“玉ゴン”が人気です。
販売は、スーパーの駐車場のほか、Jリーグの試合が行われるサッカー場などのイベントにも出店しています。法事用などに大量注文してくれるお客さんも出てきたため、配達も行うようになりました。販売数は徐々に増え、発足時に設置した家庭用冷蔵庫では容量が足りなくなってきていました。

画像:支援金で購入した業務用冷凍冷蔵庫

そこで、平成21年度(第21回)「わかば基金」に業務用の大型冷凍冷蔵庫を申請し、支援が決まりました。
食材の保管・冷蔵場所が確保できたことで、大量仕込み・大量販売が可能になりました。現在、販売場所は支援当時の2倍の14か所になり、収入は大幅に増加しました。
特に、夏季限定商品“冷やし玉コン”の販売時期にはこの冷蔵庫が大活躍。以前は、何度も氷水を替えながら大きなタライで鍋を冷やしていましたが、支援した冷蔵庫には鍋ごと入れられるため、こんにゃくが傷む心配をせずに一日かけてじっくり味をしみこませることができるようになりました。

目標は「県外の人に食べてもらうこと!」

画像:玉こんにゃくを串にさすメンバー

販売先が増えて多くの人に知られるようになり、「こんにゃく道場で働きたい」という希望が多く寄せられるようになりました。販路の拡大で人手が必要になり、売上が増加したことから、少しずつ新たなメンバーを受け入れてきました。現在、支援当時の倍以上の20人にまでメンバーを増やすことができ、2台の車で移動販売を行っています。
また、山形市役所の食堂から出る野菜くずや食べ残しから堆肥を作り、その堆肥で野菜を栽培して販売するという自治体と連携した取り組みも行うなど、活動は玉こんにゃくの調理・販売以外にも広がってきています。

山形県の郷土料理玉こんにゃくを、県外の人にも食べてほしい。そのため、3台目の移動販売車を手に入れて県外を販売して回りたい、というのが「みちのく屋台こんにゃく道場」の夢です。
いつかあなたの住む街にも、玉こんにゃくの移動販売車が訪れるかもしれません。

(2010年10月15日記)

特定非営利活動法人山形自立支援創造事業舎 みちのく屋台こんにゃく道場は、第21回(平成21年度)第1部門の支援グループです。
連絡先や活動内容については、こちらをご覧ください。