NHK厚生文化事業団は、NHKの放送と一体となって、誰もが暮らしやすい社会をめざして活動する社会福祉法人です

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わかばなかま

支援団体の活動リポート

わーくぽけっと「人形が、子どもたちの障害理解を手伝います」

埼玉県所沢市にある「わーくぽけっと」は、<芸術活動を通して障がいのある人もない人も共生できる地域づくり>を目指しているNPO法人です。
「わかば基金」の支援金で人形を購入して、小学校などで人形劇を上演。子どもたちが障害を知り、理解をする手助けをしています。

画像:人形劇「あかずきん」上演の様子

芸術活動をともに楽しみながら創り上げていく

「わーくぽけっと」は、音楽や演劇などの芸術活動を趣味とする人たちによって、平成11年に設立されました。障害のある人が芸術活動を通して自己表現の力を高めること、障害のある人とない人が芸術活動を通して交流し理解しあうことをめざして、活動をしています。

画像:過去のミュージカル公演の様子

設立当時から行っているメインの活動は、アートワークショップ。ダウン症や自閉症などの障害がある青年たちが、月2回、3年間の練習を重ねてミュージカルを公演するというものです。長期にわたって活動するうちに、障害のあるメンバーはそれぞれに積極性や主体性を増し、障害のないスタッフとともにミュージカルをつくる仲間としての関係を築いていくのだそうです。現在、小さい子ども達を対象にしたワークショップも始まっています。
ワークショップのほかに、子どもに障害を知ってもらうための人形劇の上演や、障害のある人の教育や福祉に関する地域情報誌づくりなどをしています。

人形劇を通して障害理解の手助けを

画像:車いすにのった赤ずきんの人形 子どもたちが障害を理解する手助けができたら・・・と、人形劇の公演を企画したのは、8年前の平成13年のことでした。その年度(第13回)の「わかば基金」の支援が決まり、早速、人形を購入。操作の練習と並行して障害のある人に聞き取り調査をして台本を作り、数か月後、小学校で初公演を果たしました。

「わーくぽけっと」の人形劇は、「人形たちが劇を演じる」という劇中劇の手法をとっていることと、その中に障害のある人形がいるという設定が特徴です。
取材した日に上演された劇は「赤ずきん」。赤ずきんは、おばあさんの家に向かう途中で花をつもうとしますが、車いすにのっているので花に手が届きません。おばあさんの家に先回りした狼は、戸をたたくものの耳が聞こえないので返事が聞こえません・・・。 画像:寄せられた感想文の数々
車いすに乗っている赤ずきん、相手の口の形をみて話を理解する狼。いつもと違う「赤ずきん」の後、演じ終わった人形たちが自己紹介してそれぞれの障害を説明します。狼役を演じた聴覚障害のある人形のためには手話通訳もついています。
人形との対話を通して、子どもたちは様々な障害があることや、障害のある人が日頃感じていることや困っていることを知ります。劇を見た子どもたちからは、「障害のある人がどういう気持ちかちょっと分かった」「障害のある人が困っていたら手伝いたい」「障害のことをもっと調べてみたい」といった感想が寄せられるそうです。

画像:聴覚障害のある子(人形)と手話通訳者

現在、小学校を中心に、内容をアレンジして幼稚園や中学校でも公演しています。当時購入した人形たちは、少々くたびれていますが今も現役。それぞれに名前もあり、メンバーの一員として活躍しています。これまでに劇を見たこどもは延べ5000人近くで、今年度は3校での公演が予定されています。

新たな活動をスタート

先述した活動に加えて、10月からは障害のある人たちの活動の場(自立支援事業)をスタートしました。表現活動や創作といった「わーくぽけっと」のメインである芸術活動に加え、調理実習や職業体験など、障害のある人が社会で生きていくために必要な力をのばせるように日常的にサポートをする場です。
発足から10年。「わーくぽけっと」は活動の幅を広げ、活動に関わる人を増やしながら、バリアフリーな地域づくりに向けて今も地道に活動を続けています。

(2009年11月27日記)

NPO法人バリアフリー・アートの会わーくぽけっとは、第13回(平成13年度)支援グループです。
連絡先や活動内容については、わーくぽけっとのホームページをご覧ください。