NHK厚生文化事業団は、NHKの放送と一体となって、誰もが暮らしやすい社会をめざして活動する社会福祉法人です

NHK厚生文化事業団


現在位置:ホーム > わかば基金 > わかばなかま > このページ


わかばなかま

支援団体の活動リポート

くれぱすおべんと屋さん「お野菜たっぷりの手づくり弁当をめしあがれ!」

埼玉県川口市の「くれぱすおべんと屋さん」は、知的障害のある人たちがお弁当を作って配達するグループです。
野菜がたくさん入ったお弁当は、彩り豊かでヘルシーと大好評。わかば基金の支援金で購入したお弁当箱に詰めて、一人暮らしの高齢者宅をはじめ職場や施設などへ配達しています。

写真:メンバー、職員、ボランティア、みんなでお弁当を作っている様子

地域で生き生きと働ける場を

写真:取材した日のお弁当 白飯・酢豚・ブロッコリー・ポテトサラダ・雷コンニャク・漬物・デザート

くれぱすおべんと屋さんは、平成14年に発足しました。障害児の親の会「くれぱす」が、知的障害のある子どもたちの卒業後の働く場として立ち上げた作業所です。
配食は火曜・水曜・木曜の週3回。多い日は150食近く作るので、メンバーも職員も朝から大忙しです。野菜をたっぷり使ったヘルシーなお弁当は、1食500円と手ごろな値段で、1人暮らしの高齢者をはじめ福祉施設や職場単位での注文が寄せられます。


写真:ボランティアと一緒にお弁当を包むメンバー

主に職員とボランティアが調理を担当、メンバーがご飯やおかずをお弁当箱に詰めていきます。
ブロッコリーを1つずつ詰めているのはユウさん。「ここのはちょっと小さいんじゃないかなぁ?」という職員の声を聞き、ボウルから小さなブロッコリーを選んでそこへもうひとつ加えます。
ご飯に梅干をのせていたクミさんがふらりと退場。職員が声をかけにいくと、しばらくすると再び厨房へ。何度か出入りするものの、マスク・手袋の着用は忘れません。
詰め忘れや詰め間違いがないか確認してからお弁当箱にふたをして、お弁当袋に入れゴムバンドをかけます。配達先ごとに仕分けをしたら準備完了。車やカートに載せて、ボランティアと共に配達に出かけていきます。


お得意さまはメンバーの働く意欲を支えるサポーター

配達は、発足当時からのメンバーの役割で、遠い所はボランティアの運転する車で回り、近場はボランティアと歩いて回ります。
この日の配達先は約70か所。その一つであるクリーニング店では、「手づくりでおいしいし、安いからこちらも助かります」と笑顔でお弁当を受け取っていました。また、一人暮らしの女性は、玄関先に出て来るとあれこれとメンバーに話しかけ、おしゃべりを楽しんでいました。

写真:配達先でお弁当を手渡すメンバーたち 写真:お弁当をカートに載せて配達するメンバーたち

「定期的に注文してくださる方は、声をかけたり手助けしてくれます。メンバーの成長をあたたかく見守ってくださっているんですよ」と、代表の小川 礼子さんは言います。
小川さんの話では、配達先で喜ばれたり励まされたりすることが、メンバーの働く意欲につながっているようです。

おべんと屋さんのゆめ

弁当の配達を週2回にしようとしていた6年前、「わかば基金」でお弁当箱や流し台の購入資金を支援しました。物品が整って配食回数を増やすと利用者が増加、お弁当の美味しさが評判になってさらに注文が増え、現在は週3回に至っています。
いずれは、噛む力が弱くなった人向けの軟らかく調理したお弁当や、塩分を控える必要のある人のためのお弁当も提供していきたい、調理に使う野菜を自分たちで作ってみたい――。材料費の高騰でやりくりに苦労しながらも、夢はあれこれと広がります。 

(2009年3月30日 記)

くれぱすおべんと屋さんは、第14回(平成14年度)の支援グループです。
連絡先や活動内容については、くれぱすおべんと屋さんのホームページをご覧ください。