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わかばなかま

支援団体の活動リポート

もえぎ「一碗一碗に真心こめて」

熊本市の「もえぎ」は、障害がある人たちの茶道クラブです。楽しみながら茶道を学び、身につけた技術をいかして、ボランティア活動もしています。
わかば基金の支援金で茶道具を購入、イベントなどで多くの人にお茶をふるまい喜ばれています。 写真:一昨年の内閣府主催行事にて 車いすのメンバーが御園棚で点前をしている 

誰にでも茶道はできる

写真:福島先生宅のバリアフリー茶室で初釜 写真:初釜にて野崎代表のお点前

もえぎは、「お茶を点ててみたい」「お茶の飲み方を覚えたい」という障害のある人たちが学ぶ場として、昭和56年に発足しました。当初から指導にあたったのが、地元で茶道の教室を開いている福島 宗冨(そうふ)さんです。「どんなに障害の重い人でも茶道に参加できる」が信条の福島さんのもと、メンバーは、ひとりひとりの障害に応じて、試行錯誤しながら稽古を重ねていきました。車いすの人は、テーブル(御園棚など)を用いることで、車いすに座った姿勢で点前ができるようになりました。半身まひのある人は、茶器を清めたり、茶碗を受けとったりするときに使う布(ふくさ)を片手でさばけるように工夫しました。手足が動かせない人には、点前はできなくても茶会のあいさつの補佐役(半東)を務めるという大事な役割があります。時間はかかってもできることが増えるにつれて、メンバーたちは自信をつけ、更なるステップへと意欲を高めました。
現在のメンバーは、足に障害がある人や手足にまひがある人など12人。裏千家家元から、障害者に教えてよいという許状を受けて、障害者施設で指導にあたる人もいます。

お茶で参加者をおもてなし

自分たちが楽しむだけでなく、身につけたその技術を生かしたい、障害者でも茶道ができることを知って欲しいと、平成4年から主に熊本県内で茶会やイベント等でお茶をふるまうボランティア活動を行ってきました。
わかば基金に申請したのは、熊本県内でボランティアの全国大会が予定されていた平成17年のこと。支援金で茶道具を購入し、大会では5000人を超える参加者にお茶とお菓子をふるまいました。
一昨年は、内閣府主催の障害者週間セミナーで呈茶をしました。念願だった東京での活動に、メンバーは大張り切り。来場者一人ひとりに心をこめてお茶を点てました。

茶道がメンバーにもたらしたもの

写真:イベントで小学生にお茶をふるまう

もえぎに入るまでは世話をしてもらうのが当たり前で、「ありがとう」を自発的に言えない人もいたそうで、「茶道を通して、人に喜ばれる嬉しさや感謝の気持ちが生まれ、人間的に深みが出ました」と長年指導する福島さんはメンバーの成長を喜びます。メンバーの一人で、生まれつき手足に障害のある中根タミ子さんは、「茶道に関わる様々なことを学び、視野が広がりました」と言います。また、中途障害のある人にとっては、定期的な稽古がほどよいリハビリにもなっています。
もえぎの活動は周囲への刺激にもなっていて、メンバーが呈茶する姿をみた子どもたちが積極的に片づけを手伝ってくれたり、自分の地域でも茶道をやりたいと問い合わせてくる人がいたりするそうです。
メンバーは、様々なイベント会場で一碗一碗真心こめてお茶を点て、お客様との一期一会を楽しんでいます。

(2009年2月27日 記)

もえぎは、第17回(平成17年度)の支援グループです。
名称:身体障害者裏千家茶道クラブ「もえぎ」
住所:熊本県熊本市長嶺南2-3-2 熊本県身体障害者福祉センター
電話:096-383-6533
活動内容:身体に障害がある人の余暇活動、茶道を通してのボランティア活動