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わかばなかま

支援団体の活動リポート

ユニーズ「見えない人にもメニューを選ぶ自由と楽しさを」

京都市の市民ボランティアグループ「ユニーズ」は、視覚障害のある人の生活をとりまく問題を通して「障害」について考え、行動するグループです。
主な活動の一つとして、視覚障害のある人が飲食店で自由にメニューを選べるよう、点字や拡大文字でメニューを作成しています。
このメニューの作成に、わかば基金のリサイクルパソコンが利用されています。

写真:障害について考え、行動するボランティアグループ「ユニーズ」のメンバー

なぜ点字・拡大文字メニューが必要なのか

視覚障害のない人が外食する時、何を食べようかな?こっちの方がお得かな? と、メニューやその写真・値段などを見ながら食事を選んでいます。
しかし、視覚障害のある人の場合、多くは店員や同伴の人がメニューを読み上げています。とはいえ、全てを聞き置くことは大変なこと。何度も聞くのも気が引ける・・・と、いくつか聞いて「それでいいや」と妥協して決めてしまいがちです。その日の気分や体調に関わらず、いつも決まったメニューを注文する人もいます。
点字・拡大文字メニューがあれば、視覚障害があっても一人で自由にメニューを選ぶことが可能になる人がいるのです。

寄贈パソコンで点字メニューをスピード作成

ユニーズでは、まず、お店からメニューを預かり、パソコンで、点訳したり拡大文字化したりします。それを別の会員にメールで送り、受信した会員が校正をします。その後読み合わせをし修正して印刷、表紙をつけリングでとじて仕上げます。

写真:わかば基金のリサイクルパソコンを使って作った点字メニュー

完成したメニューは品目の多い店でB5判20枚ほど、店の負担は用紙1枚につき100円です。新製品や季節商品など、時折メニューが変わる店もありますが、「わかば基金」リサイクルパソコンの寄贈でパソコンの所有台数が増えたことから、こうしたメニューの変更にも速やかに応じられるようになりました。


点字・拡大文字メニューの設置店は、京都市内を中心に200軒以上になりました。しかし、利用客の多い駅周辺や観光地で設置していない店もあり、観光協会などを通じて、より多くの店に設置を働きかけています。
12月末には、設置店を紹介した「点字・拡大文字メニュー設置店ガイドブック」を発行する予定です。

新たな活動―京都観光をサポート

多くの人にとって当たり前のことが、当たり前ではない人がいることに着目し、そこから障害への理解を広げていこうと、ユニーズが活動を始めたのは1970年のことでした。なかでも「点字・拡大文字メニュー」の作成は、誰にとっても身近な「食」に関わる困難に着目して、障害への理解を広げていこうと始めた、ユニーズの特徴的な活動です。

写真:新たな活動「アイへルパーも人気

この活動に加えて、今年の4月からは、京都を訪れる視覚障害者をサポートするボランティア活動「アイヘルパー」を開始、半年足らずで関東や九州から10数件の依頼がありました。
寺院の参観や庭園の散策、味わい豊かな京料理に和菓子・・・京都ならではの数々の楽しみを視覚障害のある人も当たり前に満喫できるよう、「目の提供」をしていきたいと意気込んでおり、ガイドヘルパーの養成にも力を注いでいます。
新たな活動を機に会員が増加、長年の活動にいっそうの弾みがついています。


(2008年10月30日 記)

市民ボランティアグループ「ユニーズ」は、第19回(平成19年度)第2部門の支援グループです。
連絡先や活動内容については、こちらをご覧ください。