ハンディキャブゆづり葉「あなたのおでかけ、サポートします」
東京都多摩市にあるNPO法人「ハンディキャブゆづり葉」は、会員制(有料)の移動サービスのグループです。高齢者の病院や施設への送迎、障害者の通勤・通学など、1人で外出することが難しい人を支援しています。
玄関から車に乗るまでの階段の上り下りに、わかば基金で支援した車いす用階段昇降機が利用されています。
移動手段はおんぶだった
移動サービスは、運転だけでなく、車の乗り降りなど自宅から外出先までの介助も含むのが一般的です。ゆづり葉が移動サービスを行っている多摩市は、大規模住宅地である多摩ニュータウンを抱えています。多摩ニュータウン開発初期の昭和40年代に建てられた団地の多くは、エレベーターがないので、以前は会員が利用者をおんぶして上り下りすることもありました。しかし、利用者に不安を与えてしまううえ、会員たちも肉体的な負担を感じていて、大きな問題になっていました。
支援金で安心・安全を実現
そんなとき、わかば基金の支援が決定、ゆづり葉は階段昇降機を購入しました。
階段昇降機というと、駅などでみかけるような、階段の脇をレールに沿って自動で進む機械を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
ゆづり葉で使用しているのは、持ち運び可能なタイプ。レールを設置する必要がなく、専用の車いすにセットすればどの階段でも利用できるものです。介助者が取っ手を持って支えていれば、電子制御された4つの車輪が交互に作動し、自動的に階段を上り下りします。車輪の脇にある特殊なブレーキが階段のへりを感知して自動的に止まるので、滑り落ちる心配もありません。
階段昇降機が外出をサポート
昨年度の階段昇降機の利用回数は721回、昇降機のみの利用も多く、稼働しない日はないほどに利用されています。
介護施設で日中を過ごすデイサービスでは、デイサービス事業者が利用者を自宅玄関まで送迎することが原則になっていますが、階段を一人で上り下りできない人の場合、送迎が難しいと言われることがあります。そんなとき、ゆづり葉が階段昇降機を使って、自宅とデイサービスの送迎車両の間の利用を引き受けます。利用者には、「とても楽ですよ。気分的にもね」と好評です。こうした場合の利用料は、介護度4・5の人については多摩市が助成しています。
コスト増にも負けずに運行
最近のガソリン高騰の中でも、利用料は据え置き。経費の増加が著しく、やりくりが大変、と理事長の杉本依子さんは苦笑します。
移動サービスだけでなく、会員同士の交流や地域への啓発などを通して、福祉のまちづくりをしていきたい、と厳しい財政状況を抱えながらも、ゆづり葉は前向きに今後の活動のあり方を考えています。
(2008年8月28日 記)
NPO法人ハンディキャブゆづり葉は、第17回(平成17年度)の支援グループです。
連絡先や活動内容については、ゆづり葉のホームページをご覧ください。