ひっきいず「楽しみながらパソコンにチャレンジしています!」
聴覚障害者のコミュニケーションをサポートする川崎市の「ひっきいず」は、聴覚障害のある高齢者を対象としたパソコン講習会を開催しています。参加者はわかば基金で寄贈されたパソコンで塗り絵に取り組むなど、楽しみながら使い方を学んでいます。
要望にこたえて講習会スタート
「ひっきいず」は、聴覚障害者のコミュニケーションを支援するグループとして、平成9年に発足しました。聴覚障害のある学生へのノートテイク、イベントでの要約筆記やパソコンによる字幕の提供、人材養成のための講習会や研修を行っています。グループ名は、要約筆記の"筆記(ひっき)"にちなんで名付けたそうです。
「ひっきいず」がパソコン講習会を始めたのは平成19年のこと。聞こえないので一般の講習会には参加できないし、障害者向けの講習会でも若い人が多いので、進み方が速くてついて行けない、でもパソコンをやってみたい・・・。そうした聴覚障害のある高齢者の要望が寄せられたことがきっかけでした。
講習のコミュニケーション手段は3通り
取材した日は、パソコンを使って水彩画に取り組みました。参加者は、塗り絵ソフトから下絵を選び、マウスを使って色を塗ります。色を混ぜて新しい色を作ったり、筆先の太さを変えたり、ぼかしなどの効果をつかってみたり・・・。続いて、サイン入れに挑戦。代表の増井さんがスクリーンを示しながら説明、別のスタッフがそれを要約筆記します。「これでいいの・・・?」と心配そうに手を挙げる人のもとに、また別のスタッフが行き、ノートに書いたり手話で補足。その様子も要約筆記のスタッフがホワイトボードに書いていくので、周りの参加者たちにもやりとりの内容が伝わります。
仕上がった作品は、スタッフに教えてもらいながら自分で印刷、額に入れるとなかなかの出来映えで、参加者に満足そうな笑顔がこぼれました。
寄贈パソコンで全員の受講が可能に
当初、参加者にノートパソコンを持参してもらっていましたが、パソコンを持っていない人からも受講の問い合わせがありました。
要約筆記に使用するパソコンを貸し出していましたが、借りる方もこわごわ使ったり、やっぱり見ているだけでいい・・・と遠慮されたりと、全員でパソコンを使って講習することが難しい状況でした。
そんなときに、「わかば基金」のリサイクルパソコン部門からノートパソコン2台の寄贈が決定、全員で一斉に同じ作業に取り組むことができるようになりました。
「楽しんで慣れる」を目標に
地図の作成や、表計算の使い方など、講習会では様々なソフトの使い方を学びますが、実は「ひっきいず」のメンバーも、パソコンは要約筆記に使う程度で、それほど詳しくないため、自分たちも勉強しながら講習を進めています。
講習会の目標は、まずパソコンに親しむこと。「やさしく教えてくれるから頑張れる」「いろんなことができて楽しい」と参加者の感想は上々です。
9月からはインターネットやメールにも挑戦。自分でパソコンを操作して、このレポートを読むことを楽しみにしています。
(2008年7月31日 記)
ひっきいずは、第19回(平成19年度)第2部門の支援グループです。
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