グループ糸の詩「だれでも楽しめるおしゃれを提案しています!」
神奈川県川崎市の服飾専門学校内で活動する「グループ糸の詩(うた)」。「高齢者や障害のある人、療養中の人が着脱しやすく、おしゃれな衣服」の研究・開発に取り組んでいます。以前、わかば基金で支援したミシンやマネキンを活用し、6月にファッションショーを開催しました。
専門技術をいかして活動スタート
グループ糸の詩は、服飾専門の学校の教員である栗田 佐穂子代表と卒業生によって、平成7年に発足しました。栗田さんの当時大学生の長男が入院した時、ケガをした部分だけを自分で出せるようにズボンをリフォームしたところ、看護師さんの前でズボンを脱がずに済む、と感謝されたことがきっかけで、誰でも脱ぎ着がしやすい衣服に注目。専門技術を役立てた活動が始まりました。病院や福祉施設を訪問し、一人ひとりの身体の状態や希望にあった衣服を製作しています。また、リフォームの講習会を開いたり、開発した衣服の作り方やパターン(型紙)を公開したりするなど、ノウハウの普及につとめています。
衣服の製作には、当事者の意見が欠かせません。活動を通して知り合った高齢の人や障害のある人たちがメンバーに加わり、意見を出し合い試作・試着を重ねて衣服を開発しています。
ファッションショー開催!
袖をまくり上げやすいシャツ、片手で締められるネクタイ、ベストとリボンがプリントされたおしゃれなエプロン、座ったまま着られるドレス……。ファッションショーでは、30点以上の衣服が発表されました。
作品を展示するのと比べ、ショーの場合はモデルになることで着心地を確かめることができます。高齢の人や障害のある人、親子連れや学生など様々の立場のモデルたちが、成功に向けて協力しあうことで自然と交流できるのも、ショーのよさだといいます。華やかな雰囲気につられて、何気なく会場をのぞいていく人も。年をとったり、体が不自由になったりしたときに困らないように、こうした着やすくおしゃれな服があることを多くの人に知らせたい、というのも開催の狙いです。
糸の詩では、5年前に「わかば基金」の支援でミシンやマネキンを購入しました。今回のファッションショーの衣服を作るのにも、それらが大いに活躍したそうです。
おしゃれで明るく前向きに
「おしゃれをすると、気分が明るくなったり、外出したり、人に会う意欲がわくでしょう?たかが衣服って言う方もいるけれど、その効用って大きいのですよ」と、栗田さんは言います。
障害や年齢でおしゃれを諦めないで!気に入った衣服や着られる服がなければ、作っちゃいましょうよと、糸の詩はおしゃれを楽しみたい人を応援しています。
(2008年7月4日 記)
グループ糸の詩 は、第15回(平成15年度)の支援グループです。
連絡先や活動内容については、グループ糸の詩ホームページをご覧ください。