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雪で遊ぼう!“身体に障害のある子の介助ボランティア”(1)

身体に障害のある子どもたちに、思いっきり雪で遊ぶ体験をしてほしい。そんな思いから、来年1月新潟県八海山麓スキー場で“雪と遊ぼう;親との子の療育キャンプ”が開催されます。主催は日本肢体不自由児協会、NHK厚生文化事業団、毎日新聞東京社会事業団。2泊3日の日程で、スキーやそり遊びのほか、かまくら作りや雪上キャンプファイヤーと、盛りだくさんの企画が用意されています。

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昨年度のキャンプより

子どもたちを支えるボランティアたち

“雪と遊ぼう;親との子の療育キャンプ”は今年で22年目を迎える歴史あるイベントです。
参加するのは、身体に障害がある小学生とその保護者、あわせて44人。ほとんどの子どもは車いすを使用しており、移動・食事・排泄などについて他の人の介助を必要とします。
家庭では保護者がこうした介助を行っている場合が多いのですが、このキャンプでは子どもと保護者は全くの別行動。宿舎も別々の建物になっています。

期間中は、このキャンプのために集まったボランティアが、保護者に代わってスキー場で子どもと一緒に遊んだり、宿舎で身の回りの介助をしたりします。
子どもたちが親元を離れて、よその大人や同じ障害を持った子とふれあいながら一緒の時間を過ごすことで、自立心や協調性を養おうというのが、このキャンプの大きな目的になっているためです。

今回のキャンプに参加するボランティアの数は30人。この他に、実施準備を行うスタッフと、医師、看護師など26人が、いずれも無報酬で参加します。
公募によって集まったボランティアの職業は様々です。割合としては教育や福祉を学ぶ大学生が一番多く、学校や福祉施設で働いている人、企業や市役所に勤めている人もいます。また、年齢も10代から60代までにわたります。
ボランティアの中には、身体に障害のある人と接するのは初めてという人もたくさんいます。そのため開催日の2か月前から10回にわたる研修が行われ、ボランティアは講義と実践を通じて、子どもたちへの接し方や介助の方法を学びます。

今回、NHKボランティアネットの記者がこのキャンプにボランティアの一人として参加し、研修とキャンプの様子を、数回にわたってリポートしていきます。

記者にとっても、身体に障害のある子と接して、身辺の介助をするのは初めての体験です。はたしてキャンプで子どもたちのお手伝いがしっかりできるか、少々不安を感じつつ、まずは第一関門である研修に参加してみました。

握手から始まったキャンプ研修

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11月6日の土曜日午後3時から、東京板橋区にある日本肢体不自由児協会で一回目の研修が行われました。この日から1月8日の本番まで、およそ2か月間にわたり、毎週土曜日、時には土日両日をかけて研修が行われます。大変なスケジュールですが、キャンプに参加するボランティアは、みな仕事や学業の合間を縫って研修に参加しています。

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主催者の挨拶とキャンプの概要説明のあと、早速介助法などの勉強が始まるのかと思いきや、ボランティア同士の自己紹介が始まりました。その方法は、全員で輪になって、参加者が一人ずつ握手しながら自分の名前を伝えていくというもの。30人近い人と一時に握手するので、初参加のボランティアの中にはやや緊張気味の人もいました。しかし、一人一人と握手を交わしていくうち自然と雰囲気が和らぎ、参加者から笑顔が漏れ、会話がはずむようになりました。

ボランティアはキャンプネームでお互いを呼びあいます

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このキャンプでは、参加者たちがお互いを“キャンプネーム”と呼ばれるあだ名で呼びあいます。一度キャンプネームがつくと、毎年その名前で呼ばれることになります。過去に参加経験のあるボランティアは、“アイス”“ボッチ”“マスター”“せんべい”など、それぞれ個性的な名前を持っています。

初めて参加したボランティアにはまだキャンプネームがありませんが、研修の中で他のメンバーがつけてくれます。
記者がつけてもらったキャンプネームは“ナイン”。これは“松本(記者の姓)→漫画家の松本零士→銀河鉄道スリーナイン→ナイン”という連想からつきました。最初のうち、あだ名で呼びあうのはちょっと恥ずかしい気もしましたが、研修が進みみんなから「ナイン」と呼ばれているうちに、段々と気に入った名前になりました。
このキャンプでは、年齢や社会的な立場が異なる人々が、ボランティアとしてひとつのチームで子どもたちを支えます。お互いをキャンプネームで気軽に呼びあうことで、スムーズにコミュニケーションをとることができるのです。

もう一人、早速キャンプネームが決まったのは大学2年生の橋本洋平さん。“レノン”と呼ばれることになりました。その由来は、彼の風貌がかの有名シンガーにそっくりなためだとのこと。納得です。

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レノンは都内にある大学の外国語学科で学んでいます。ケニアに研修旅行にでかけたこともあり、ゆくゆくは発展途上国の支援に携わる仕事をしたいそうです。 
キャンプに参加したきっかけについて聞いてみました。
「新聞にボランティア募集の告知が出ていたので、応募してみました。将来取り組みたいと思っている発展途上国の支援も、今回のキャンプで身体に障害のある子のお世話をすることも、人の役に立つという点では同じことだと思います。学生のうちに、人の役に立つ経験をたくさん積んでおきたいと思って参加しました。でも、着替えからトイレのお世話までするとは考えてはいませんでした。ちょっとびっくりしましたが、がんばります!」と笑顔で答えてくれました。

和気あいあいとした雰囲気の中で行われた初日の研修は、午後6時半で終了。その後は、仲良くなったボランティア同士で連れ立って食事にでかける姿も見られました。

ボランティアの育成研修ということで、早速障害の知識や介助技術についての授業が始まるものと思っていましたが、初日の研修ではボランティア同士が親しくなることが大きなテーマになっていました。後でわかったことですが、この翌日に車いすの使用や二人で子どもを抱っこしての移動など、チームワークが重要な実技研修が控えており、まずボランティア同士が親しくなることが必要だったのです。

翌日曜日の実技研修は、6時間におよぶハードなものでした。初体験の記者にとっては、慣れない介助に戸惑ったり、足腰が痛くなったりと大変な一日になりました。
次回はその様子をリポートしたいと思います。

2010年11月26日掲載  取材:松本

これから数回にわたって、介助ボランティアの現場をリポートします。
ご期待ください。


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