こうした噂はすでに十数年前から繰り返し流れています。
タバコのラベルだけでなく、紙封、銀紙、そしてビールの王冠、割りばしの袋、牛乳のふたなど。
さまざまなものがありますが、どれも根拠のない噂です。
これらを取りまとめて換金しても、車いすと交換するにはまったく割に合わないのです。
タバコのラベルは、ペーパークラフトの素材として使われたりもしますが、仮にその作品が売れたとしても金額はわずかなものでしょう。
ある程度の量が集まれば、古紙としてリサイクル業者に引き取ってもらうことも不可能ではありません。
しかしリサイクルがかなり進んだ新聞紙などに比べると、タバコのラベルはリサイクルの効率が非常に悪いのです。
新聞紙はリサイクル効率の高い資源です。
まとまった量の回収が見込める上、集まるペースもほぼ一定だからです。
回収業者にとっては計画が立てやすく、継続したリサイクルが見込めます。
しかし、タバコのラベルや銀紙は、同じペースで一定の分量が集められる性質のものではありません。紙質も分量もまちまちですから、リサイクルのための設備や工程が確保できません。
仮に、タバコのラベルと銀紙が段ボール箱ひとつ分集まったとしましょう。
これを売却するためには、回収に来てもらうにしても、宅配便などで送るにしても、まず運賃がかかります。
そういう経費を差し引くと、古紙としてリサイクルして得られるお金は、きわめてわずかな額になります。
場合によってはここで既に赤字になります。送料相当額の現金を寄付したほうがはるかに無駄が少ないといえます。
かつて紙のはし袋を集めて車いすに交換しよう、という動きが大きく広がったことがありました。
じつは、はし袋というものは材質や印刷がまちまちですから、再生しようとしてもとても厄介なのです。
しかしマスコミなどを通じて大きな動きに発展してしまったこともあって、全国から大量のはし袋が集まっていました。
そして相談を持ち込まれた古紙回収業者がやむなく対応しました。
そうこうして、なんとか一台の車いすに姿を変えたという前例があります。
ただし、たいへんな困難を伴ったため、その活動はそれっきり行われていません。
また、企業などが行った懸賞やキャンペーンが、その終了後も情報だけ一人歩きしていることもあるようです。
こうした活動に効率ばかりを求めるべきではないのかもしれません。
しかし、集めたものを換金するためにさらにお金と手間がかかるのでは、なんにもなりません。
実際に継続的に交換に応じてくれているというところはないのです。
もし集まってしまったものが大量にあるなら、新聞紙などと一緒にリサイクルに出せるかを相談なさってみてください。 |