第54回NHK障害福祉賞 佳作
〜第1部門〜
「私は、幸せです(わたしは、しあわせです)」

著者 : 山本 まゆみ (やまもと まゆみ)  滋賀県

たくさんの支援者(しえんしゃ)いてくれています。ヘルパーさんや相談支援専門員(そうだんしえんせんもんいん)さんやしゅうろうワーカーさんやサポーターさんや地元(じもと)の福祉課(ふくし)のたんとうのひともいてくれています。私は、とっても幸せ(しあわせ)です。仕事(しごと)もとってもたのしいです。仕事は、スーパーのカートかいしゅうです。雨(あめ)の時(とき)もゆきの時もしています。たいへんな仕事ですが毎日(まいにち)頑張(がんば)ってしています。きゅうけいのときはたくさんのひととたべています。ちょっとした、えんそくです。かようびとすいようびは、七時間(しちじかん)はたらいています。きんようびとどようびとにちようびは、六(ろく)時間はたらいています。上司(じょうし)は、女性(じょせい)のひとです。いつもニコニコしています。それに自分(じぶん)の会社(かいしゃ)には、しょうがいしゃのたんとうのひともいてくれています。ありがたいです。しょくばで安全衛生(あんぜんえいせい)のDVDをみることもあります。しかし私は、音(おと)がよくきこえるからひくいおとにしてもらってみています。むつかしいけど頑張ってみています。仕事のおわってからだいすきなやさいのジュースをかっています。ポケモンGOしてあるいています。電車(でんしゃ)がくる時間までボールあつめをしています。とってもたのしいです。いろいろなボールをとれるからうれしいです。そしてたまにコーヒーせんもんてんにものみにいきます。自分のすきなラテをのみにいきます。すこしたかいですが、でも一日(いちにち)頑張ったからのんでもいいです、とおもってのみます。仕事の休(やす)みの時は、一か月(いっかげつ)に二回(にかい)、相談支援専門員(そうだんしえんせんもんいん)さんとめんだんをうけています。ヘルパーさんとそうじをしたり、りょうりをしたり、かいものにいって自分のすきなふくをえらんでかうこともとっても幸せです。くつもゆうめいなメーカーのものをかうこともとても幸せです。私の大好(だいす)きなものかえることも本当(ほんとう)に幸せです。げつようびは、ジャンプ(雑誌(ざっし))をかいにいくのもたいせつなよていです。まえは、よくジャンプのはつばいびをかんちがいしてかようびにかっていました。でもいろいろけいけんしてジャンプのはつばいびをおぼえました。いつもの本(ほん)やさんにいくようにしています。今日(きょう)は、ジャンプのはつばいびですかときくようにしています。さいきんちゃんとげつようびにかえるようになりました。コンビニにしゅうに二回いくのもとっても幸せです。ホットコーヒーやアイスコーヒーかってのみます。自分でそうさできるようになって、コーヒーのめるようになって本当に幸せです。家(いえ)にかえってテレビで十一時三十分(じゅういちじさんじっぷん)にニュースをみることがにっかになっています。十三時五分(じゅうさんじごふん)にふくしばんぐみをつけてみています。でもショックありました。ちてきしょうがいしゃがたいけんさくぶんをおうぼしても、せいしんしょうがいしゃかしんたいしょうがいしゃのみなさんのがおもにとおります。ちてきは、たいけんさくぶんだしてもすぐおとされることもいつものことです。ちてきしょうがいしゃもたいけんさくぶん頑張ってかいていることすこしりかいしてほしいです。ちてきでも頑張って本人(ほんにん)部会(ぶかい)でかつどうしていることしってほしいです。そしてちてきしょうがいしゃも自分のきもちをはっきりいう人(ひと)もたくさんいます。みないから、ちてきの人たちのかつどうをもっとみてほしいです。みてもらえたらよくわかります。本人部会では「みずうみ」いうこうほうしをはっこうしています。ちてきだからなんでもできないことは、ありません。支援者(しえんしゃ)さんいるとなんでもできるようになります。やりたいこともダメとかいってほしくないです。令和(れいわ)の時代(じだい)に「スマホ」ダメとかいってほしくないです。私の友達(ともだち)は、スマホをもたせてもらっていません。かわいそうです。スマホは、じしんの時やいろいろおきたときにつかえます。私の会社は、じしんがおきたらメールがスマホにとどきます。スマホなかったらたいへんです。きゅうりょうめいさいしょもみることもできません。スマホは、自分にとって、なくてはいけないものです。メールやラインとかしないといけないからです。元(もと)上司とメールをしたりやりとりしています。仕事でちこくするときにでんわします。電車(でんしゃ)がおくれたりするときがよくあるからです。たいふうや大雨時(おおあめじ)もおくれます。タクシー四人(よにん)ずつのってえきまでおくってくれます。幸せです。電車もにんずうもすこししかのっていません。おおくても七人(しちにん)です。ゆうがたは、高校生(こうこうせい)がたくさんのってきます。おりるくちからのってくるからマナーわるいなとかんじます。たまにおじさんがおおきな音(おと)でおんがくをきいています。人のたちばをきにせずにきいているからイライラします。うんてんしゅさんもマナーをまもってくださいといっても、へいきで大(おお)きな音できいていました。そんな人もいます。いろいろな人もいますが私は、四十一年(よんじゅういちねん)生(い)きられて本当に幸せです。生きることは、幸せです。元気(げんき)にはたらけることも幸せです。

山本 まゆみプロフィール

一九七八年生まれ スーパーマーケット店員 滋賀県在住

受賞のことば

仕事の休みの日に、ぼーとしていたらNHKからでんわがあり「おめでとうございます」といわれとびあがるぐらいうれしかったです。おくってもらったコピーをみて母が字と文がざつでよめないといいました。もっとしっかり書いておけばよかったと反せいしています。こんな私の文をえらんでもらってありがとうございます。今年もうれしい事が一つふえました。

選評

タイトルを含め五枚の原稿の中に「幸せです」という言葉が十一回綴られています。それはお飾りの定型句ではなく、ひとつひとつが意味と内容の異なる幸せ。知的障害者と言われる自分が、人間として何を考えて生きているのかを伝えようとする姿勢と、おそらく山本さんの日々をさまざまな形で支え、同時に山本さんから勇気をもらっているのであろう多くの人たちに届けたい賞です。(玉井 邦夫)

以上