当事者が語る、認知症(1)
社会との繋がりを失う経験を経て、今考えること
講師:奥澤 慎一
認知症になれば、もはや、何も分からない、何も出来ない人間であり、社会の役に立たないどころかお荷物の存在――と思う人が多いのではないでしょうか。
奥澤さんは、認知症と診断されて初めて、自分を含め、いまの日本に暮らす多くの認知症の人が社会と繋がる機会を失い、持てる能力を活かす場をなくしていることを知りました。
一方、これから20年30年先の日本は、高齢者の占める割合が多く、その中には認知症のみならず様々な不自由さを抱えた人が多いであろうことは容易に想像できます。これらの人たちは、本当に社会のお荷物でしかないのでしょうか。
認知症があっても、障害があっても、高齢であっても、出来る範囲の能力を活かしながら、社会の構成員として生きられる。そのような社会は、すべての人にとって暮らしやすい社会なのではないでしょうか。認知症をひとつのきっかけに、一緒に考えてみませんか。
開催報告
奥澤さんは4年前に認知症と診断されました。診断を受けると、どん底まで落ち込むとよくいわれますが、奥澤さんは診断自体ではそれほど落ち込まなかったといいます。それよりも、その後、家族が心配するあまり自分の判断で何かをしたり、外に出たりすることを禁じられて、社会とのつながりを絶たれたことの方が絶望を感じたそうです。
その後、家族の会と出会い、いいデイサービスと出会ったことで、再び世の中とつながりをもてるようになりました。それを感じた瞬間は意外とささいなことで、デイサービスの職員から「今日は何がしたいですか?」と顔を見ながら希望を聞いてくれたことだといいます。こうしたささいなことでも社会の一員として実感できることがうれしいのだと訴えました。
奥澤さんの話を受けて、参加者のみなさんは4グループに分かれて、改めて「社会の一員とは何か」について話し合いました。「人としての尊厳が守られて、社会的に生きていくこと」「支え合って生きていくこと」など活発な意見が出ていました。
終了後のアンケートでは「本人の意見が聞ける貴重な場だった」「社会とつながらないということでは障害者も高齢者も同じであり、どうつながりを作っていくかが必要だと思った」などの意見が寄せられました。
- 日時
- 9月 4日(木曜日) 18:30〜20:00
- 会場
- 渋谷区勤労福祉会館 2階 第二会議室
東京都渋谷区神南1-19-8[地図をみる] - 定員
- 50名 ※定員に達し次第締め切らせていただきます
- 参加費
- 無料
- その他
- お申し込みを受け付けた方には自動返信メールを送ります。それをもって受付完了とさせていただきます。
- 登壇者に45分程度お話をしていただいた後、休憩をはさみ、30分程度、皆さまの意見・感想を交換できる時間を設ける予定です。
- 会場内の撮影、録音はご遠慮ください。
- 主催
- NHK厚生文化事業団