当事者が語る、大人の発達障害(4)
「異人」としての発達障害者
講師:高森 明さん 福祉施設職員 アスペルガー症候群
高森さんは26歳のときにアスペルガー症候群と診断されてから、「発達障害」を社会学的な立場から考えてきました。
「人間は集団の中に『多数派と異なる人=異人』をつくり、批判し攻撃することで規範や秩序を維持してきたのではないか」「近年は学校や企業でコミュニケーションや効率が重視されているが、そこについていけない人たちを「異人=障害者」として、排除しようとしていないだろうか。」
いま、高森さんは「発達障害」と診断されていないグレーゾーンの若者たちが、あらたな「異人」として排除されようとしていないか危惧しています。現実になかなか仕事に就けず、生きるために発達障害の診断を求める若者が増えつづける現状から考えます。
開催の報告
高森さんは社会学、文化人類学的な見地から<異人>をキーワードにして発表しました。高森さんによると、人は古来、集団の中で、何かみんなと違う人=異人を生んできました。そして異人を排除するのではなく迫害することによって、集団の平和を成り立たせている場合もあるのだといいます。異人とされる人は、時代によって変遷してきましたが、現在、学校や職場で多くの場合、異人とされやすいのは発達障害のある人たちだといいます。
高森さんは、異人を集団からなくすことは不可能であるし、なくす必要もないとし、その集団における異人の役割をより肯定的なものに変換していくことが大事で、異人の存在、発想が創造と変化のきっかけとなる可能性を秘めていると話しました。
参加者からは「<異人>というとらえ方がラディカルですてきだと思いました」「非常にわかりやすく、今後のための示唆をたくさんいただきました」といった感想が寄せられました。
- 日時
- 5月29日(木曜日) 19:00〜20:30
- 会場
- 渋谷区勤労福祉会館 第二会議室
東京都渋谷区神南1-19-8[地図をみる] - 定員
- 60名 ※定員に達し次第締め切らせていただきます
- 参加費
- 無料
- その他
- お申し込みを受け付けた方には自動返信メールを送ります。それをもって受付完了とさせていただきます。
- 登壇者に1時間程度お話をしていただいた後、30分程度、皆さまからの質問にお答えする時間を設ける予定です。
- お茶などはこちらで用意いたしますが、持ち込みもOKです。ただしアルコール類はご遠慮ください。
- 主催
- NHK厚生文化事業団