当事者が語る、大人の発達障害(2)
当事者が望むこれからの自閉症支援--身体的困難への配慮と自閉症的感性の尊重
講師:片岡 聡さん NPO法人リトルプロフェッサーズ理事長 自閉症スペクトラム障害
これまで自閉症スペクトラム障害(ASD)の人たちに対する療育や支援は、ASDが社会性やコミュニケーションの障害であるという理解のもとにすすめられてきました。
しかし成人のASDピアサポートに関わる当事者として強調したいのは、感覚過敏や自律神経の脆弱性、痛みや睡眠の問題、広い意味でのカタトニアなどASD者がもつ多彩な「身体的困難」に対する丁寧な個別評価と理解の大切さです。実際、身体的困難の少ない、あるいは身体的困難との付き合い方のうまいASD者の適応は良好な場合が少なくありません。
ASD児者の個別の困難度を考える上で不可欠な「身体的困難」を中心にASDの支援のあり方についてお話しします。
開催の報告
片岡さんはご自身の乳幼児期には、「夜泣きがひどい」「掃除機の音を極度に嫌う」「他の園児と遊ばない」などといった特徴があり、今なら確実に就学前に診断がつくケースだと言います。
自閉症スペクトラム障害の人たちは感覚過敏・鈍麻を持っていると言われていますが、本人はそれを当たり前だと思っているので、「感覚過敏がある」とはよく分からない。でも、ノイズキャンセル機能のついたヘッドホンやサングラスを使ってみると、はじめて感覚過敏を実感するといいます。こういったものを使用することで、聴覚や視覚の刺激が軽減されて、今では必需品になっているといいます。また、気圧の変化などで体調が悪くなる人もいるので、気候の変動を予報する、スマートフォンのアプリなども利用するといいとアドバイスしました。
参加者からは「1時間が短く思えました。自閉症の方の気持ちが何となく理解できた気がしました」「当事者にとっての困難を明確に言語化していただいてありがとうございました」といった感想が寄せられました。
- 日時
- 5月15日(木曜日) 18:30〜20:00
- 会場
- 渋谷区勤労福祉会館 第二会議室
東京都渋谷区神南1-19-8[地図をみる] - 定員
- 60名 ※定員に達し次第締め切らせていただきます
- 参加費
- 無料
- その他
- お申し込みを受け付けた方には自動返信メールを送ります。それをもって受付完了とさせていただきます。
- 登壇者に1時間程度お話をしていただいた後、30分程度、皆さまからの質問にお答えする時間を設ける予定です。
- お茶などはこちらで用意いたしますが、持ち込みもOKです。ただしアルコール類はご遠慮ください。
- 主催
- NHK厚生文化事業団