註:各出演者の詳しいプロフィールは、抄録の最後の「出演者プロフィール」で紹介しています。
今の日本では、およそ2人に1人が、がんにかかると言われています。そして、がんという病気やその治療に伴う痛みに苦しむ人も多いのです。しかし、その痛みは、取り去ったり、緩和したりする事ができます。痛みを緩和できれば、がんに立ち向かう元気も出てきますね。
今日は、がんの痛みを緩和する医療について、新しい情報を皆様にお伝えしていきたいと思います。
出演の皆様をご紹介します。まずは、女優の仁科亜季子さんです。仁科さんは、1991年に子宮頸(けい)がんと診断されました。
「診断されてから、もう16年か」という実感の一方で、毎年、「今年も1年が無事に終わったな」という感覚が残っています。
今日、ここへ参加してくださっている皆さんは、お医者様、看護師さんの方より、今、苦しんでらっしゃる方、ご家族が苦しんでいらっしゃる方が多いのではないかと思いますので、私は、患者の代表として的場先生と梅田先生にいろいろ質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続いて、国立がんセンターがん対策情報センター・緩和ケア医師の的場 元弘さんです。的場さんは、がんの痛みを取る臨床研究を続けながら、様々な場でがんの痛みの治療の必要性を訴えてこられました。
がんがある以上、痛みがあるのは仕方が無い、と、長い間、あきらめられてきた部分があります。まず治療の対象となるのは、痛みよりも、がんそのものでした。痛みの治療は、がんそのものの治療がうまくいかなかった時にようやくやってもらう、オマケのような形に扱われる時代が長くあったと思います。
しかし、痛みがある事で、患者さんはご自分の生活がむしばまれてしまったり、ものを考えられなくなったり、日常生活はどんどん壊れてしまいます。その人の人格まで壊れてしまう事もあると言われています。ですから、がんの痛みがある事が病気だと考え、痛みを積極的に治療することが必要なのではないかと思い、活動を続けて参りました。
続いては、がん看護専門看護師の梅田 恵さんです。梅田さんは、日本にはまだ79人しかいない、がん看護専門看護師のお一人で、早くから緩和ケア(心身の痛みを取り除いたり、軽くしたりするケア)の取り組みを始められました。
20年前になるかと思いますが、緩和ケア病棟に配属されたことをきっかけに、人間性や生き方を大切にする「緩和ケア」を体験しました。専門家に限らず、全ての医師や看護師が緩和ケアの精神を身に付けることで、患者さんが幸せになるのではないかなと思い、今、活動を続けています。
註:厚生労働省の基準では、緩和ケア病棟は、主に、積極的な治療が困難になったがんの患者さんを対象に、快適な生活を送れるようにするためのケアを提供する入院施設です。
詳しいことは、この抄録の「4−3.緩和ケア病棟」をご覧ください。
まず、がんの痛みの実際からお聞きします。がんの痛みを経験する方は多いと思いますが、的場先生、痛みには、どんなものがあるのでしょうか?
がんの痛みというと、漠然と、がんの塊があって、その痛みだけというふうに思われがちですが、そうではありません。次のような様々な痛みがあります。
がんの患者さんの痛み
がん自身が起こす痛みがあります。
それから、がんの治療に関係する痛みですね。例えば、手術の後の痛み、それから、抗ガン剤で手がしびれたり、というような、副作用などによって起こる痛み。
それから、例えば長く寝ている事で腰が痛くなったり、あるいは痩せて寝ている事で骨が当たって痛かったりというような、病状に関連して出てくる痛みがあります。
もちろん、その患者さん達は、元々頭痛を持っていたり、椎間板ヘルニアがあったりと、持病のような痛みを持ってらっしゃる方もいます。こういったものが全て、がんの患者さんが経験する痛みとして、治療の対象になります。
がんになった方は、どのくらいの割合で、痛みを感じるのでしょうか。
がんの患者さんは全員が痛いのではないかと思われるんですが、決してそうではありません。
がんの痛みの頻度
がんという診断がついた時点で、大体2、3割の方達に痛みがあります。全体のがんの経過を全て見た場合には、進行した状態まで含めると、8割ぐらいの患者さんが、何らかの痛みを経験すると考えられています。
また、痛い場所はどこか1カ所だけかというと、実は、1箇所だけ痛い患者さんは2割くらいしかいません。
痛みを訴えるがんの患者さんのうち
8割ぐらいの患者さんは2カ所以上、複数の場所が痛いんですね。だいたい、4人に1人くらいの患者さんで4カ所ぐらい痛みがある。
肩が痛かったり、腰がいたかったり、おなかが痛かったりというように、複数の場所が痛くなって、それぞれ原因が違いますので、1つのお薬、1つの方法だけではなく、複数の治療を組み合わせる必要がある場合があります。
痛みの他には、どんな辛い症状がありますでしょうか。
痛みの他には、次のような症状が現れます。
がんの患者さんに見られる症状
症状 | 頻度(%) |
痛み | 71 |
口や喉の乾き | 70 |
食欲不振 | 67 |
呼吸困難 | 51 |
咳 | 50 |
便秘 | 47 |
倦怠感・衰弱感 | 47 |
吐き気・嘔吐 | 40 |
むくみ・胸水腹水 | 31 |
不眠 | 29 |
失禁 | 23 |
飲み込みにくい | 23 |
この表を見ていただくと分かりますが、口が渇いたり、食べられない、あるいは便秘になる、吐き気がある、飲み込みにくいなどという、患者さんにとってとても大切な、「食べる」ことに影響するような症状が非常に多いです。食べられないと、皆さんやっぱり、元気がない、調子が悪いと感じることが多くなります。
それから、息苦しい、呼吸困難と書いてあります。息苦しさは、かなりつらい事が想像しやすいのではないかと思いますが、それ以外の症状も、ずっと続いたり、程度が強くなっていくと、他の症状と同じように辛くなっていきます。
また、体の症状があると、気分の落ち込み、「うつ」などが加わってきます。気分が落ち込むと、体の痛みを強く感じるようになります。体の症状と心の症状は、お互いをどんどん悪くするような所があるので、両方について、私たちは、治療をしたりやサポートをしたりする必要があると思います。
仁科さんは子宮頸(けい)がんでいらっしゃいましたけれども、その時痛みはありましたか。
私の場合、手術前は、全く痛みはなかったです。手術した後の痛みとか、便秘、抗がん剤による吐き気の苦しみ、そういう後遺症は治療中もありましたし、今でも少し残っています。一番辛かったのは、抗がん剤の後の吐き気が長かったことですね。
身体の痛みや辛さを和らげる方法は、あるのでしょうか。
あります。がんの痛みの治療法は、最近出てきたように思われていますが、実は、既に1986年に、WHO(世界保健機関)が基本的な方法を発表しています。
痛みの強さに応じて、お薬を3つの段階に分けています。第1段階の弱い痛みに使われるお薬というのは、解熱鎮痛薬と言って、例えば腰を痛めたり、歯が痛かったり、頭痛の時に普段に使われるような種類のお薬です。これで十分でない時には、第2段階、そして第3段階というふうにお薬を使っていきます。第3段階では、モルヒネなどの医療用麻薬を使います。この治療の原則をきちっと守った結果、世界中で、8割から9割以上の患者さんの痛みが十分に緩和された、という事が証明されています。
医療用麻薬が効きにくい特殊な痛みについても、治療法が開発されてきています。例えば、神経に傷が付いて傷んでしまったような痛み。神経障害性疼痛(とうつう)という特殊な名前なのですが、普段は痛み止めというグループに入ってないお薬を使って治療します。抗痙攣薬(こうけいれんやく)といって、痙攣が起こった時に使うお薬とか、気分の落ち込みのうつの時に使うお薬、それから、不整脈のお薬、それぞれが神経に対して痛みを止めるという事が分かっています。この特殊な薬の使い方については最近、随分、研究が進んで、新しい薬もたくさん出てきています。
写真説明:薬の種類だけではなく、薬を投与する方法も工夫されています。写真は、ポンプを使い、薬を持続的に注入する装置です。肩にかけたりして、持ち歩くこともできます。
モルヒネについては、中毒になるのではないか、といったイメージを持つ人も多いのではないですか?
そうですね。今でも、患者さん、あるいはご家族の方に、「痛みが十分取れないので、モルヒネなどの医療用麻薬を使います」と言うと、顔が曇る患者さんがたくさんいらっしゃいます。当然の事だと思います。医師でも、まだ誤解をしている方がたくさんいるのですから。
モルヒネに対する誤解には、次のようなものがあると思います。
モルヒネに対する誤解
ここに挙げたような、例えば、中毒になったり、命が縮んだり、効かなくなる、意識が無くなる、最後の手段ということは、誤解です。薬を止められなくなったり、命の縮むような副作用というのは、痛みの治療で使っている限りは、全くありません。また、使い続けると効かなくなる、ということよりも、むしろ、がんの痛み自身がだんだん強くなる事が主な原因というふうに考えられています。
安心して痛み止めという考え方で使っていただける、ということをご理解いただければと思います。
お薬を使う他に、痛みの治療法はあるのでしょうか。
例えば、骨に転移しているような痛みに対しては、放射線の治療がとても良く効きます。これは、場合によっては、薬よりもよく効く事もあります。とても長い間、痛みを抑えてくれる事も分かっています。
それから、新しい治療法としては、CTスキャンという放射線の画像を使いながら、背骨などに「骨(こつ)セメント」という特殊なセメントを注入して、骨を硬くすることで痛みを取るという方法も行なわれています。
それから、患者さんたちは、長く寝ていると腰が痛くなったりします。長く療養されている方は、どなたでも当然起こりますが、こういう症状は、お薬を飲むよりも、ストレッチとか、マッサージのような人の手を使った優しいケアの方が、はるかに効果がある事が分かっています。薬ばかりではなく、そういったケアを組み合わせる事も大切です。
写真説明:がんの治療でリンパ節を切除した場合、むくみや腫れが起きることがあります。写真のリンパマッサージは、そうしたむくみや腫れを緩和する方法です。
体の痛みや、それに伴う辛さについては治療できるという事が分かりました。一方で、がんの告知によるショックなど、気持ちの辛さも非常に大きいですよね。こういう気持ちの辛さも、がんに伴う痛みの1つと言っていいんだと思いますが、梅田さん、いかがですか?
その通りだと思います。
がんの診断を受けただけで、「あ、もう死んでしまう」だとか、「転移する」だとか、「もう、だめだ」とか、そういうイメージを持たれる方は少なくありません。医師から説明を受けた時には冷静に聞いておられても、後で1人になった時に、「何を聞いたか分からなくなった」とか、「どうしていいのか分からない」、「気持ちが決められない」ということで、頭の中が真っ白になってしまわれる患者さんが少なくないと思います。診察の時間が短いので、時間をかけて理解をしなきゃいけない所を、短い時間で伝えられて、患者さんは愕然とされます。
今日は、「不確実さ」ということばを、皆さん覚えて帰っていただきたいと思うんですが、がんの患者さんは、しばしば、「がんの治療が100%効くかどうか分からない」とか、「これが何によって起こったのか分からない」とか、言われます。はっきりしないまま、不確実性を抱えて生きていくことになります。普段あまりしていない体験なのではないかと思います。治療自体も、どんな治療法があるのか、それがどのくらい、体や心を苦しめるのか、想像できないまま体験が繰り返されていきます。未知の世界に入っていくようなことを引き受けていただかなければならないので、かなりの不安が伴うと思います。
そういう様々な不安が、精神的な辛さを引き起こしてしまう訳ですよね。
そうです。
ここまで、「身体的苦痛」「精神的苦痛」の話をしてきましたが、私たちは、痛みをとらえる時に「トータルペイン」(全人的な苦痛)という言い方で、理解をしていきます。頭と体がつながっているように、心と体もつながっているので、体に起こった病気、がんという診断から引き起こされてくる体の症状は、心にも影響していきます。
図に書いている「社会的苦痛」と「スピリチュアルペイン」は、一般の方は聞き慣れないかも知れませんので、少し説明します。
社会的な苦痛というのは、ご病気を引き受けていただく上で発生してくる「いつもの仕事が出来なくなる」とか、「ご家族の理解を得なきゃいけない」といったことです。スピリチュアルペインは、霊的な痛みと訳されることもありますが、例えば、生きる意味が病気になることでゆらぐ、といった体験です。
これらの痛みは、全部がつながって起こってくるので、私たちは、体の痛み、心の辛さ、社会的な苦痛、スピリチュアルペインを分けて考えるというよりは、それらが絡まっている、つながっているというふうにとらえて、サポートを考えていきます。
仁科さんは、がんの告知をされた時は、どんなお気持ちでしたか?
私の時は、先生は「ご家族は?ご主人は?」っていう感じでしたので、私の方から「大丈夫ですから、先生言ってください」と言って、教えていただきました。
診断を聞いた時は、割と気丈に駐車場まで帰ったのですが、駐車場に帰ったとたんに、訳も無く涙が出てきて、自分の車の中で3時間くらいじっとしていたような気がします。
ただ私の場合は、子供がまだ6歳と8歳で、小さかったので、このまま帰ってしまったのではその子供達に心配をかけると思い、その時点で、自分の中で線を引きました。これからは振り返らずに、10年、意識だけはきちっとしていたい、と、気力と根性で立ち向かったような気がします。
と言っても、患者というのは本当に、日々、心の動き方が激しくて、体調の良い時はすんなり吸収できることばが、体調の悪い時にはそうできないことがありました。お見舞いに来てくださった方が「がんばってね」と言った一言がぐさっときて、「私はこんなにがんばっているわよ!」と言って、涙がすごく出てきたりしました。
だから患者にとって、心の痛みは、とても重要な部分を占めていて、梅田さんがおっしゃったように、全体的な事を考えていただけるのは、すごく良いことだと思います。
病気との向き合い方が定まるまでは、患者様方やご家族は動揺し続けます。ご自分の心や力を取り戻すことが必要なのですが、家族やご本人の中だけでは、なかなかそのきっかけが見つかりません。そこで私たちは見守ったり、家族のつながりが意識できるように、お手伝いをします。
一番大事にしているのは、睡眠を取っていただく事です。不安になると夜眠れなかったり、昼間、悪い事を考えたりします。睡眠が取れるように、病院では、患者様が寝る前に、看護師は、優しい言葉をかけるなど、いろいろな配慮をします。と同時に、医師と相談をして、睡眠薬を使うことを勧めます。睡眠薬は、皆さん嫌がられますが、夜、眠ることは、痛みを取ったり病気と向き合うために、とても大事だということを説明します。
病院の夜って、はっきり言ってすごく不安です。でもそこに、看護師さんがいてくださると、我々患者にとって、先生との間に入ってくださるクッションになっていたり、不安をぶつけられる対象になってくださっていたりするので、とってもありがたい存在です。
さっきの「がんばって」とは裏腹に、「辛いでしょう」と言ってくださると、素直に話したくなる時だってありますし、やっぱり、看護師さんの、手のぬくもりだったり、ことばのかけ方だったりするのだろうと思いますね。
日本の看護師は「感性」ということばを大事にしています。察する、例えば、「今日はそっとして欲しいんだな」とか、「今日はゆっくり話をした方がいいかな」とか、察しながらケアをしていることが多いのです。
私たちは体を拭いたり、移動の時の車椅子を押したりということをたくさんします。そこで、ことばにしなくても理解をしたり、患者さんの背中から感じるとか、辛さを分け持つとか、多くの看護師さんが行っていることだと思います。
体の痛みや気持ちの辛さは緩和できる、という事は、よく分かりました。
ところで、がんの痛みに関連するニュースなどで、最近、「ホスピス」「緩和ケア」といった、いろいろな言葉を見たり聞いたりしますが、ことばの意味に違いはあるのでしょうか?
「ホスピス」は、歴史的に、終末期の患者さんの苦痛を取るという所から出発しています。患者さんのがんだけではなく、その人を全体に看るという「トータルペイン」という考え方に重きを置いているのがホスピスです。
一方、我が国だけではなく世界的に「緩和ケア」ということばが出てきてはいますが、こちらは、まず医学的に患者さんの辛さを取っていこう、ということに軸足を置いて出てきた考え方です。
また、緩和ケアは、がんの最初から最後まで、辛くなくがんと向き合っていくという考え方です。早い時期にも、緩和ケアのチームという形で関わったりする事がありますので、より広い概念だなと思います。
仁科さんは、それについてお聞きになった事はありますか?
別の緩和ケアのシンポジウムに参加させていただいた時に聞いたことがあります。
以前は、「がんの積極的な治療が困難になったら緩和ケア」と、時期によって分かれていたのですが、今は、「がんと診断を受けた時から並行して緩和ケア」という方が、患者さんの為に良いと伺いました。
確かに今の日本では、ホスピスというと、死ににいく場所のようなイメージを持っている方が多いと思うのですが、本来のホスピスは、看取りのためだけのものではありません。
どんなサービスを受けたいか、どういう専門家にサポートを受けたいか、ということを明確にして、いろんな門をたたいていかれると、きちんとご自分のニーズに合ったサービスに出会えると思っています。
ことばの使われ方の混乱もあるようですが、ことばのイメージにとらわれずに、何をしてくれるのか見極めることが大切ですね。
診断が付いた時期の告知後の落ち込みとか、眠れないということを含めて、緩和ケアは、その人ががんと付き合っていく上でとても大事なことだと思います。早い時期や手術の後の痛み、抗がん剤の吐き気、それから全経過を通して起こる可能性のあるがんの痛み、食欲不振や倦怠感、そういった全てのことを、病気の時期にかかわらず診ていく。
「緩和ケアのチームに会ってみませんか」と言われた時、「まだ、そんな時期ではない」などと間違った先入観で拒否すると、辛くなく過ごせるチャンスを狭めてしまうことにもなります。
では、実際、どこでどのように痛みを緩和してもらえるのか、ということを教えていただこうと思います。ご説明いただくのは、
はい。一般病棟での緩和ケアということで、「緩和ケアチーム」というものが、がんの治療をしている病院にあります。がんの治療は、例えば外科や内科、放射線科で受けますが、そうした科からは独立して、緩和ケアの専門チームが作られています。
緩和ケアチームへの依頼は、主治医や看護師さんからもらいます。もちろん、ご家族から相談をされる事もあります。
依頼を受けると、患者さんの所へ伺います。悩みの原因を伺い、症状を緩和する為の計画を立てます。巡回のような形で診ていったり、あるいは、主治医や看護師さんにアドバイスします。「こういうお薬をこういうタイミングで使ってみてください」などとアドバイスします。もちろん、お薬を使わない他の方法をアドバイスする事もあります。
それから、先ほど告知の問題がありましたが、病気の変化が起こって、どうも再発している、どうもかなり進行している、というようなことを伝えた場合の患者さんのサポートの仕方、ご家族のサポートなどについても、アドバイスをする事が多いと思います。
緩和ケアチームのメンバーには、どういう人たちがなるのでしょうか?
基本構成は、次のようになっています。
緩和ケアチームの基本構成(がん診療連携拠点病院)
職種 | 人数 |
医師(症状緩和) | 1 |
医療心理担当 | 1 |
看護師 | 1 |
薬剤師 | 1 |
ソーシャルワーカー、理学療法士、栄養士
鍼灸師、リンパマッサージ、音楽療法、アロマセラピー、ボランティア
緩和ケアチームは、多くの所では、体の辛さを診る医師と、心の問題を担当する精神科医や心理の人、そして、専門的な教育を受けた看護師、それから、幅広い薬の知識が必要ですので、薬剤師が加わっている所が多いと思います。施設によっては、ソーシャルワーカーや栄養士、針灸師、理学療法士など、多くの人達が関わっている所もあります。
患者さんと接する時間の長い看護師さんの役割が大きいだろうとは思いますが、例えば、薬剤師さんも大切な役割を果たすのですね?
実は、患者さんの多くは、「がんだけ」という方ではなくて、例えば、血圧が高かったり、脳梗塞を体験していたり、心臓が悪かったり、糖尿病があったりと、いろんな問題があります。その時に、医師は、専門の事に関しては結構知識が深かいのですが、その他の薬とか他の病気とかの横糸の部分は、十分ではありません。例えば、薬の飲み合わせは、患者さん達皆さんが聞かれます。「これとこれ一緒に飲んで大丈夫ですか」と。そういった意味では、薬剤師がいると、緩和ケアの領域やがんの領域では、安心して治療が出来ると思います。
それから、針灸師さんも。
そうですね。例えばソーシャルワーカーや理学療法士、栄養士などは、多くの病院にいる職種だと思います。必要に応じて、医師あるいは看護師さんと協働してくれますが、例えば、針灸師とか、リンパマッサージ、音楽療法、アロマセラピー、ボランティアとなると、病院によっては、あまり聞いた事がない、またはいない病院も多いのではないかと思います。
ただ最近、がんの医療の中では、患者さんに気持ち良く過ごしていただくことに視点が置かれています。こういうたくさんの人達が入ってくれば、患者さんのニードに合った快適な医療ができるということで、こういう人達をチームのメンバーに、という声は非常に多くなっていると思います。
実際にはどのくらいの病院に、こういう緩和ケアチームが作られているんでしょうか?
緩和ケアチームの基準というのは、もう既に随分、前からあります。全国のがん診療連携拠点病院という医療機関が、現在、全国に286ヶ所あります。来年にはおそらく350ヶ所近くに指定が増えていくと思いますが、その基準の中に、「がんの診療連携拠点病院には必ず緩和ケアチームがなければいけない」と国が決めたんですね。そのことによって、本当にたくさんのチームが作られて活動が始まっています。
ただ、「作られた」という段階のものがたくさんありますので、もっと専門的な知識や技術を持ってもらうために、チームの医師や看護師や薬剤師を育てる為の研修を行なう必要があって、今年も、そういったチームのメンバーを育てる為の研修を、秋にも行なう予定になっています。
次は、在宅緩和ケアです。がんの患者さんの場合、在宅で緩和ケアが可能なのでしょうか?
緩和ケアの知識を持つ医師による訪問診療、訪問看護、訪問介護などを組み合わせ、さらに、症状に対応するお薬の使い方や過ごし方の工夫をすることで、在宅で、緩和ケアを受けながら暮らすことが可能になっています。
写真説明:訪問看護師は、患者さんの自宅に出かけ、健康状態をチェックしたり、痛みを緩和する薬を24時間注入する装置の薬を補充したり、食べられない患者さんの静脈に栄養剤を注入したり、さまざまな看護をします。医師、看護師、ホームヘルパーなど様々な職種が連携することで、在宅での療養が可能になります。
病院だと、隣の患者さんに気を使って、なかなか気持ちもすっきりいかない場合もありますが、「家に帰ると、同じ痛みであっても、他の事で気がまぎれて、お薬をそんなにたくさん使わなくて済んだよ」という話を聞いたりします。いろんな側面が絡んでの痛みですので、違う刺激が入ることで、気分が変わるという事もとても大事ですし、緩和ケアを受ける場所としては、ご自宅を一番勧めています。
女性にとって「家に帰る」って、一番の治療法だったり精神的な支えですから、在宅ケアみたいなのが、これからもっと増えると、主婦としては、すごくありがたい制度じゃないかなと思います。
病院ではなかなか痛みが取れない状態だったのに、家に帰ったら痛みが取れちゃったという患者さん、結構いらっしゃるんですよ。それから、病院では、食事があんまり進まないので、これじゃあ帰せないかなって思っていると、帰ったら普通に食べられたり。そういうことが本当に多いので、家に帰ることは、すごく患者さんにとっては大事なことだと思います。
私自身が緩和ケアチームにいた時に、だいたい年間50名くらいの患者さんが在宅療養を利用されるお手伝いをしてきました。具合が悪くなると病院に戻って来られて、また自宅に戻られて、というように、行ったり来たりのお手伝いをしてきました。100%の方が、「やっぱり家に帰って良かった」とおっしゃっています。
帰る前に必ずおっしゃるのは、「こんな状態で帰っていいのか」ということです。「試しに帰ってみましょう」ということから始めます。外泊をして、「いけたよ」という話があって、「じゃあ、1週間帰ってみましょう、往診の先生や訪問看護師さんも来てくれますから」と言います。最初の3日くらいは、なかなか新しいお医者さんや看護師さんに慣れないんですけれども、その先生や看護師さん達との信頼関係が出来ると、「病院に行く用事がある時だけ行く」という連絡がきたりして、ちょっと寂しいなという思いもありますが、やはり、体験をしてみることで自信がついてこられる、ということを感じています。
お孫さんに囲まれて、その間、「追加のお薬を飲まなかった」とおっしゃったり、あとは趣味ですね。いろんな趣味がご自宅でできて、「絵を描いている間は痛くなかった」とおっしゃったりします。病院に絵の具を持ってきていただいてもいいんですけど、多分落ち着いて描けないと思います。元々の生活ができるということが在宅の大きなメリットで、逆に私たちも、そんなことがお家でできるんだ、ということを日々教えていただくような気がしています。
患者にとっては、「帰ってきても良いですよ」って言ってくださるのが、とてもありがたい事だと思います。病院を退院しちゃうと、また行けないんじゃないかという不安がありますから、梅田さんがおっしゃったみたいに、「いつ帰ってきても大丈夫よ」って言って下さると、家に帰ってみようかなって思いますよね。
患者さんは「退院」と言われると、「もう病院に来れない」とか、「捨てられた」というイメージを持たれてしまうんですが、私は必ず、「私とつながっていれば大丈夫」という保証の仕方をしたり、東京で仕事をしていますので、「近隣に幾つも病院がありますから、絶対ご家族だけで、ほっておかれるっていうことはない」という保証をしてさしあげます。その信頼関係が大事なのかも知れないな、と思っています。
そうですね。随分、気持ちが楽になるというか、余裕ができるんじゃないかなあと思いますね。ところで、在宅緩和ケアは、全国どのくらいのところで実施されているのでしょうか?
今回のフォーラムの為に調べてみたんですが、はっきりした数字がないのが現状です。
緩和ケアを受けていく為には、365日24時間つながっている医師の往診や訪問看護師さんが必要になります。24時間往診ができるということと、もう1つ、モルヒネの処方をするという免許を持っているお医者さんが、大体全国で600件くらい、あるインターネットのサイトに登録されています。
訪問看護ステーションについては、全国に5000ヶ所できてきています。そのうち24時間サポートをしている所は8割です。また別な調査で、その訪問看護ステーションを対象にして、「緩和ケアが提供できますか?」という質問に、「できます」と答えているのが、160ヶ所です。まだ決して多い数字ではありません。
いろんなサービスをつなぎながら、病院の緩和ケアチームが訪問看護師さんをサポートして、病院と変わらない緩和ケアが提供できるようになっていくと、もっと患者さんは利用しやすくなるんだろうと思っています。今、往診専門とか、ご自宅での生活を大事に思って開業される、若いエネルギッシュな先生も増えてきているので、この数はますます増えてくるんじゃないかなと思っています。
3つめは緩和ケア病棟です。
厚生労働省が示している基準によれば、「緩和ケア病棟」の対象になるのは、終末期のがんの患者さんが中心です。「"終末期"イコール"看取り"」ではないのですが、どうしても、「具合が悪くなってから入院する場所」、「入院すると亡くなる場所」というイメージにつながってしまいがちです。
そうではなくて、「専門性の高い緩和ケアが提供できる場所」というふうに、ご理解ください。実際、痛みが十分コントロールできるようになって退院される方もいらっしゃいますし、また、普段は在宅で暮らしている患者さんが、ご家族の休養の為に利用されることもあります。決して、看取りのためだけの施設ではないのです。
写真説明:東京都内のある緩和ケア病棟の様子です。心が癒される色調やデザインになっています。
厚生労働省は、医師・看護師の数や必要な設備を定めた「緩和ケア病棟の施設基準」を作っています。この基準を満たした施設が都道府県に届け出を行い、受理されると、「緩和ケア病棟の承認を受けた施設」ということになります。
緩和ケア病棟は、全国ではどのくらいあるのでしょう?
今、全国で177ヶ所の緩和ケア病棟があります。1つも緩和ケア病棟のない県というのが、つい最近までありましたが、ひとまずすべての都道府県に緩和ケア病棟ができました。
日本はがんでなくなる方が多いのですが、その内の5%の方が緩和ケア病棟で亡くなっています。まだまだ、緩和ケア病棟を利用できる方は少数だというのが現実です。
梅田さんから、一般病院から在宅緩和ケアに移る、また、緩和ケア病棟から在宅に戻る、など、いろいろなケースがあるという話がありましたが、的場先生は、そうしたことについて、どう考えてらっしゃいますか?
一般病棟での緩和ケアチーム、在宅緩和ケア、緩和ケア病棟が、互いに連携することが、患者さんのために必要だと思います。
まず、がんの診断がついて、がんの治療をしながら辛い症状を取っていく。
治療が終われば退院をして在宅になる。近所の先生に往診してもらう人もいらっしゃれば、入院していた病院の外来に通う人もいらっしゃるでしょう。その後、入院されることもあるでしょう。また、がんの入院治療が終わってから、ほかの病院に転院される、緩和ケア病棟を選んでいかれる、という方もいらっしゃるでしょう。
緩和ケアチームと、在宅と、緩和ケア病棟とがある訳ですが、それぞれがバラバラに存在していてはだめです。お互いが連携していかなければなりません。
例えば、病院から退院する時、在宅で暮らすためには、緩和ケアをしてくれる地域の医師を見つける必要があります。それを、患者さんやご家族に「探して来てください」と言うのではなく、「この地域だったら、こういう在宅の緩和ケアをやっている先生がいますよ」という形でお示しする。「病院と地域の先生は連携しています。何かあったら、またこちらでも診ますよ」というように言える、そういう形の連携が必要ではないかと思います。
緩和ケア病棟についても、治療の病院から紹介するばかりではなくて、緩和ケア病棟で困った事が起これば、専門の病院で少し検査をしてみようということも、もちろん可能な訳です。この3つが連携していれば、患者さんも、「見捨てられた」とか、「治療が終わったから出されちゃった」とかいうことにはなりません。自分にとって一番良い所を選んで、話し合って決めることができた、というふうになっていくのだろうと思います。
3つが連携する意義は分かりましたが、そのための課題というのは、どんなものがありますか?
ひとつは、「患者さんの側に立って考える」ことの徹底です。
がんの専門病院では、治療が終わると、「治療ができなくなったから退院してください」という言い方にどうしてもなりがちです。転院先や、退院をする為の医療機関を探したり紹介はするんですが、その人に合ったもの、という視点よりは、退院をする為のもの、という視点が強くなりがちです。患者さんの希望される療養はどういうものなのか、どういう所で療養していただくのが一番いいのか、そういうことを十分に話し合って、次のステップを決めていくということが大事なんじゃないかと思います。
まだ、そういった連携は十分ではなくて、地域の医療機関が話し合って連携を強めていくというのが、一番必要な事ではないのかと思います。
それから、どんな課題が?
緩和ケアに対する、医師の意識改革ですね。
日本は、がんの治療に携わっている先生方の、痛みを取るための知識が、まだ十分じゃない部分があります。痛みを取るのは自分の仕事じゃない、というふうに思われている先生もいらっしゃいます。緩和ケアというのは、専門の医師だけがするものではなくて、痛いとか辛いことというのは、医師であれば、ほとんどの医師が診る事ができなくてはいけないと思いますし、がんの治療に関わる先生は全員、そういったことを知っていただくべきだと思っています。
痛みの治療が、日本はどれくらい海外と違うのか、というのは、国の中で使われてる医療用麻薬、がんの痛みに使われているお薬が使われている量を比較すると、とても分かりやすいと思います。
国際麻薬統制委員会という所が、各国で使われている麻薬のデータを定期的に発表しています。これは、それをもとに計算したデータです。
日本で使えるものは非常に制限がありまして、海外ではもっといろんな種類が使えますが、モルヒネとオキシコドン、フェンタニルという3つの医療用麻薬ががんに使えます。違うものを単純に足す訳にいかないので、全てがモルヒネだったとするとどうなるか、という事でグラフに直してみました。
そうすると、先進主要7ヶ国、G7ですけれども、日本は一番悪い。経済大国でありながら、薬はふんだんに買う事ができるのに、最も使われていない。言い方を変えれば「最も痛い国」ということに事になってしまうんですね。このことは、やはり改善されて行くべきだと思いますし、もっと積極的に緩和ケアを普及して行く必要があると思っています。
お医者様にも、もうちょっと勉強していただきたいですね。
本当にその通りです。今年の4月から「がん対策基本法」という法律が施行されて、「がん対策推進基本計画」が立てられましたが、その中に、がん医療に携わる医師、がん治療をしている医師だけではなくて、がんの患者さん、がんという病気を持っている患者さんを診る可能性のある医師は、全て緩和ケアの基本的な知識を10年以内に持ってください、ということが書かれています。
全国のがん医療に携わる先生達に、いきなり教育するからと言ってどこかに集める事はできないので、今、国立がんセンターの中にあるがん対策情報センターで、教育者を養成する事を、今年から始めます。体の症状を取る医師、心を診る医師あるいは臨床心理士、それから看護師、薬剤師という、大きく4つの専門の分野を重点的に集めて、そういった事をチームで教育をするということを今年から始めようと思っています。
仁科さん、如何でしょう?
患者は治療していただいてる間、入院している間は、とても守られてる感じがあるんですが、いざ退院してしまうと、何となく、ひとりぼっちという部分があるので、がん難民にならないように、理想的なシステムを、少しでも早く1つでも多く、作っていただきたいなと、切実に思いますね。
ここまで、がんの痛みは緩和できるということ、痛みを緩和するための体制や課題についてお聞きしてきましたが、今すぐ緩和ケアを受けたい、という方もいらっしゃるかと思います。最後に、緩和ケアがどの病院、どの地域で受けられるのか、といった情報は、どこで手に入れられるか、教えていただけますか?
私が勤めている「がん対策情報センター」というのは、去年の10月に設置されました。がんに関わる情報を、広く一般の方々に提供するということが、とても大きな使命の1つとなっています。
その中で、最初に準備に入ったのがインターネットによる幅広い情報提供でした。しかし、患者さんやご家族から「インターネットばっかりじゃ探せない」というお叱りをいただきました。そこで、「がん診療連携拠点病院の相談支援センターに行けば、がんに関する事を何でも聞いても良いですよ」ということを知らせたり、「ご家族ががんになった時、どう接していいか分からない」という声に答える冊子を用意したり、いろんな形で、情報の提供をさせていいただいています。
現在、世の中には様々な情報があふれています。情報の選択ということには、十分注意していただきたいと思います。
正確な情報、質の高い情報、と、僕らは申し上げるんですが、誰が出している情報なのか、うますぎる話じゃないのか、追っかけて行ったら宣伝が出てこないか、といったことを気をつけてください。その上で、今自分にとって必要な情報は何か、「緩和ケアを受けたい」「痛みをなんとかしたい」なのか、「これからのがんの療養全体について意見を聞きたい」なのか、整理していくと良いです。
整理するのが難しければ、まず入口として使ってもらいたいのは、各地域にあるがん診療連携拠点病院の相談支援センターです。「何を聞いて良いか分からないけど、心配だから来た」ということでもいいと思います。話しているうちに、相談員の方が、「こういったことも心配なんですね」と整理してくださいます。ぜひ、そうやって、情報源を上手に使っていただいて、質の良い情報にたどり着くきっかけにしていただければと思います。
註:「国立がんセンター」の「がん対策情報センター」のホームページはこちらです。別ウインドウが開きます。
上記のホームページの、「がん情報サービス」の中に、がん診療連携拠点病院の地域別リストも掲載されています。
みなさん、どうも、ありがとうございました。
昭和60年、北里大学病院麻酔科研修医となり、北里研究所附属東洋医学総合研究所をへて平成1年にカブリニホスピス(ニューヨーク)などを拠点に米国内での緩和ケアがん疼痛治療を学ぶ。平成 3年、オハイオ州立大学病院麻酔科研究員をへて北里大学病院での定期的な回診と緩和ケア活動を開始。また若手の麻酔科医や薬剤師とともにTeam KANWA(チーム・かんわ)を設立し、現場で役立つ臨床研究を開始。平成15年、がんの痛みで苦しんでいる患者さんたちを一人でも減らしたいという思いから、学会や講演会、研修で知り合った全国の仲間とともにSCORE-G(がん疼痛・症状緩和に関する多施設共同臨床研究会)を設立し、代表世話人となり、「がんの痛みネット」を開設。 平成18年12月より、国立がんセンターがん対策情報センター がん情報・統計部 がん医療情報サービス室長、医学博士。
淀川キリスト教病院勤務後、92〜94年英国にて緩和ケア研修、ホスピス体験。“場所を問わず緩和ケアが提供できるシステム構築”を目指し、94年から昭和大学病院で、緩和ケアの実践と、一般病院から緩和ケア病棟や在宅ホスピスをつなぐ緩和ケアチーム活動に取り組む。 2000年がん看護専門看護師認定(日本看護協会)。2006年9月、広く、患者・家族の相談に応じたり、緩和ケアに取り組む医療スタッフのサポートをしていくために、オフィス梅田を開設。
1953年 歌舞伎俳優十代・岩井半四郎の次女として東京で生まれる。1972年、NHKドラマ『白鳥の歌なんか聞こえない』でデビュー。NHK大河ドラマや映画などで、清純派女優として活躍。その後、約20年の芸能活動休止を経て、1999年 春に芸能界復帰。NHK金曜時代劇「御宿かわせみ」、土曜ドラマ「魂萌え!」、映画「いつか読書する日」、「MAZE〜南風〜」、舞台「わかば」、「祇園に生きる」等に出演。 子宮頸がんと診断され、治療を受けた経験がある。
1953年、アナウンサーとして日本放送協会(NHK)に入局。のちに「きょうの健康」となる家庭医学の番組や、古典芸能やクラシック音楽の番組を数多く担当する。1988年、日本放送協会を定年退職後は、フリーアナウンサーとして仕事を続ける傍ら、大学の教壇にも立つ。
終わり