東日本大震災は、発生から2年が過ぎ、なお30万人が避難生活を続けています。
そのような現実を見据えながら事業団は24年度も被災者の支援に努めました。
その一環として、「わかば基金」に新たに東日本大震災被災地支援部門を設けました。その資金を補うため若手演奏家によるチャリティーコンサート「HOPE」を開催しました。また福祉施設が地震や津波の際に入居者をどのように守ったかなど被災地の体験を聞き、今後に役立ててもらう取り組みもしました。
24年度は各地で50回のフォーラムを開催しました。そのテーマの1つ「発達障害」は、学齢期の支援だけでなく、成長してからの就業に関する本人や企業の取り組みについても積極的に取り上げました。また「うつ病と躁うつ病」や「認知症」といったテーマも数多く取り上げ、各地で放送されました。「うつ病」については3本セットの福祉DVD教材を制作しました。
「福祉ビデオライブラリー」は24年度には521番組が貸し出しの対象となり、5,000本余りが貸し出されました。一方、ボランティアの募集情報を載せていた「NHKボランティアネット」は、NHKからの委託が終了し、24年9月でページを閉じました。年度後半は、事業団のホームページにボランティアの基礎知識などを紹介する記事を載せています。
障害のある方やその支援者が体験を綴る「NHK障害福祉賞」や、高齢社会をテーマにした小説を募集している「NHK銀の雫文芸賞」は、応募も活発で力作が多く見られました。
このようにNHK厚生文化事業団は、24年度もNHKの放送と連携し、またNHKグループ各社の協力も頂いて順調に福祉事業を実施することが出来ました
地域の福祉団体を応援する「わかば基金」に「東日本大震災被災地支援部門」を新設し、被災地で活動する小さな福祉グループを支援しました。また大震災の時の福祉現場の体験を検証し、何を学びとるべきか考えるフォーラムを開きました。
発達障害に関しては「学齢期の支援」や「就業のための支援」など、関心の高いテーマのフォーラムを全国10か所で実施し、4,100人あまりの参加者がありました。また、精神疾患についても、「うつ病と躁うつ病」「思春期のこころと病」などのフォーラムを行ったほか、「うつ病」についての福祉DVD教材を作成し力を入れました。
大きな社会問題となっている認知症については全国15か所でフォーラムを実施し、1万人近くの参加がありました。またNHKの地域放送でその内容を放送するなど、多角的な情報提供につとめました。
「福祉ビデオライブラリー」のコンテンツを強化し、「ホームページ」の福祉現場リポート を充実させるなど、きめ細かい情報発信で多様化する福祉ニーズに応えました。
地域福祉を支援する「わかば基金」に特別部門として、「東日本大震災被災地支援部門」を設けた。被災地で地域福祉に取り組んでいるグループの活動や、新たな事業を行うための支援を目的とした。42グループから申請があり、8グループに支援金を贈った。
被災した施設の改修工事や、全国から本を集めて被災地に図書館を設置する活動、原発の放射能で汚染した砂場と遊具を新しくするための支援などを行なった。また、宮城県の車いすダンスグループは、津波で失った衣装を「わかば基金」で新調し、ダンスによる慰問活動を再開することができた。
なお「わかば基金」による支援充実の原資を確保するため、第2回「N響チャリティーコンサートHOPE」を開催した。ゲストは、ピアノの外山啓介さん、チェロの横坂源さん、バイオリンの山根一仁さんで、その瑞々しい演奏はNHKホールの聴衆を魅了した。世界で注目される若いHOPEたちの演奏は、チャリティーとして、被災地へHOPE=希望を届けることにもつながった。
コンサートの模様は、平成25年6月22日 午後3時〜4時40分 Eテレで放送する予定。
復興への道のりが長期化する中、事業団は25年度もこの「東日本大震災被災地支援金部門」を継続していく。7.(1)参照
大震災の時、福祉施設はどう行動したのか、障害者や高齢者にとって何が生死を分けたのか、また、避難生活が長引く中で、こうした弱者のケアには何が求められているのか。福祉現場の貴重な報告をもとに、未曾有の被災体験から何を学ぶべきか検証した。
また会場に、さまざまな福祉団体が作成した震災体験記録の閲覧コーナーを設け、フォーラム参加者や福祉グループの情報収集に役立つようにした。
NHKの震災復興プロジェクトによる復興支援ソング「花は咲く」の楽曲著作権料など3,475万円をチャリティーとし、義援金として被災地へおくった。 また、事業団では、東北で被災した福祉作業所が作った菓子や名産品の販売会を東京の放送センターで行った。当事者からは障害者の働く場の確保につながるものとして感謝された。
大阪、名古屋、福岡において、ことばや発達の遅れた子どもとその親のための相談会を開くとともに、大阪ではLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障害児を対象にした相談会を行った。また名古屋では、親と子の療育キャンプ「やまびこキャンプ」を実施した。
大阪、名古屋、福岡で12回実施した。知的や言語の発達のおくれ、自閉症、重複障害の子どもの相談が多かった。
大阪で、LD・ADHD・高機能自閉症児などを対象にした「LD教育相談会」を行った。
第29回「やまびこキャンプ」を愛知県旭高原で実施した。愛知教育大学とそのOBたちの協力により、発達障害のある子どもたち18人が、自然の中で集団生活を体験した。家族やボランティアなども86人参加した。
肢体不自由児・者の療育キャンプを、支援団体との共催・協力により、各地で実施した。夏季、冬季の野外活動を通じて、参加者の自立と社会参加を促進し、あわせて交流の輪を広げた。
自閉症やLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などについて、NHKの地域放送局や「親の会」などと共催し、NHKハートフォーラムを10回開催した。 24年度は、関心の高い「学齢期の教育支援」や「就労」をめぐる問題を数多くとりあげた。保護者のほか、特別支援教育を推進する教員や、行政関係者も多数参加した。
多くの世代にとって身近な病気となっている、さまざまな精神疾患について最新情報を提供し、支援のあり方を考えるフォーラムを全国で行った。
うつ病、躁うつ病は、誰もが発症する可能性のある身近な病気。二つの病気の違いや、早期受診の大切さ、薬とのつきあい方など、最新医療情報を伝え、社会支援プログラムについて話し合った。
NHKでの放送
思春期特有の一般的な悩みと精神疾患との見分け方や、対応の仕方などを知るフォーラムを札幌で実施した。思春期の子どもを持つ親や、教師、養護教諭が数多く参加した。
がんに伴う体と心の痛みを緩和する「緩和ケア」について分かりやすく解説し、最新の医療情報を伝えるフォーラムを新たに実施した。会場では、事業団が作成した「緩和ケア」の冊子も配布し、不安に苦しむ患者やその家族に正しい知識を提供した。
事業団が作成した「高次脳機能障害」についての福祉DVD教材の素材を使いながら、事故や病気で脳損傷を負った人の入院中の訓練や退院後のリハビリなどを紹介し、後遺症があっても豊かな人生を送るにはどうすれば良いのかを伝えた。
名古屋で、福祉の仕事に興味を持っている学生たちを対象に、愛知県社会福祉協議会、 NHK名古屋放送局、中日新聞社との共催で福祉現場の現状と魅力を伝えるフォーラムを開催した。
知的障害者のスポーツ大会を東京で実施したほか、障害のある人もない人も一緒になって障害者スポーツを楽しむイベント「ハートスポーツフェスタ」を全国2か所で開催した。
重度の障害者が参加できる全国でも数少ないスポーツ大会として、東京都障害者スポーツ協会と協力して開催した。参加者は、風船割り競争、大玉ころがし、綱引きなどを楽しんだ。
NHK放送センターで、福祉施設のスイーツや手づくり製品販売会を年間14回開催した。センターで働く人たちに福祉を身近に感じてもらい、障害のある人たちの就労に少しでも役立つことを願い、事業団とNHK共済会が共同で実施した。 通常の販売会は菓子、スイーツが中心だが、12月の障害者週間に開いた「手づくりの心届けます市」と3月に行った販売会では、東日本大震災で被災した福祉施設がつくった東北の名産品も販売した。障害のある人も呼び込みや販売を行い、毎回1000人ほどの人でにぎわった。 また、福岡放送局内でも年間2回、福祉施設の「まごころ製品」特売会を実施した。
福岡市で開催した「第7回NHK福岡ハートパーク」では、障害のある人が描いた絵130枚を、大濠公園の街路灯や福岡市美術館に飾り展示した。
障害のある人の体験記録や、福祉関係者、家族などの実践記録を広く社会に伝える「障害福祉賞」には466編の応募があった。選考の結果、次の実践記録が入選した。
第1部門 障害のある本人の部門
第2部門 障害のある人とともに歩んでいる人の部門
応募数 466編(第1部門:321編、第2部門:145編)
入選作
入選作品は「第47回障害福祉賞入選作品集」として刷成し、広く頒布したほか、朗読による音声版(テープ、デジタル録音)、点字版の入選集を作成し、全国の点字図書館や視覚障害の応募者などに提供した。贈呈式は12月5日にNHK放送センターで行った。
また、入選作品や受賞者の思いを、12月31日「ラジオ深夜便」(ラジオ第1)や、平成25年1月14日、15日「ハートネットTV」(Eテレ)で紹介した。
平成6年度に始まり、17回目を迎えた「NHKハート展」には、障害のある人が綴った詩5,680編が寄せられ、その中から選ばれた50編の詩と、その詩をもとに、各界の著名人が制作したアート作品を組み合わせて展示した。
それぞれの想いがこもった50対の作品は、平成23年2月29日から3月7日まで日本橋三越で開かれた東京展をはじめ、24年度中に水戸市、福岡市、八戸市など、全国12か所の巡回展で紹介した。入場者は4万8,122人に上った。作品紹介や作詞者作画者のインタビューを、年間を通じて「ハートネットTV」などで放送した。
また24年度に詩を募集し、25年度に巡回展を行う「第18回NHKハート展」には5,309編の詩が寄せられ、選考会で50編が選ばれた。巡回展は平成25年2月27日から3月4日までの日本橋三越での東京展をはじめとして、年度内に全国およそ10会場で開催する予定。
NHK「ハートネットTV 公開すこやか長寿」の番組収録(Eテレ 毎月第3木曜放送)と、ゲストによる高齢者の健康や生き方に役立つ講演を行うイベントを、全国10か所で開催した。ゲストは、ヨネスケさん、山田邦子さん、水前寺清子さん。
NHKの放送と連動させながら、認知症フォーラムやNHKハートフォーラムを、全国15会場で開催し、1万人近くの人が参加した。認知症の人の家族だけでなく、介護施設の職員をはじめ、医療・介護従事者の参加も多かった。 地域の介護の現場を紹介したVTRがわかりやすいと好評であった。会場でのアンケートには、「地域の取り組みの実態がよくわかった」「医師や施設と家族の連携が何よりも大切だと改めて認識した」などの感想が寄せられている。
患者数305万人と言われる認知症は、ここ数年治療や介護の面で目覚しい進歩がある。事業団とNHK、読売新聞が主催したこのフォーラムでは、認知症になっても安心して暮らすための最新情報を紹介した。また、地域放送や紙面、ウェブサイトなどとも連動させ啓発につとめた。
NHKでの放送
NHKとの共催で、医療・介護の最新情報と、認知症の人と家族を支援する地域の取り組みを紹介した。地元の先進的な事例を取り上げ、地域支援の輪が広がるように努めた
NHKでの放送
フォーラムを開催する地元での身近な取り組みなどを例にして、医療・介護の望ましい あり方や、地域での支援体制の課題について話し合った。
認知症に対する正しい知識を持ってもらうために、冊子「もの忘れが気になるあなたへ」 (19年度作成)を3万部増刷し、発行部数は合計21万部となった。
家族向けの冊子「家族が認知症と診断されたあなたへ〜おすすめ介護術」(20年度作成)とあわせ、2万2,000部をフォーラムの参加者や希望者に配布した。
高齢者が健康で安心して暮らせる地域づくりをテーマにしたフォーラムを開催した。
東海地方の病院や高齢者福祉施設5か所で、津軽三味線と民謡による慰問演奏会を行った。参加者は合計362人。
また、大阪では視覚障害の人たちへピアノと歌の慰問音楽会を開き、60人の人が参加した。
高齢社会をどう生きるかをテーマにした小説を一般から募集した。「雫石とみ文芸賞基金」によって20年間実施してきた「銀の雫文芸賞」の成果を継承し、NHKの共催を得て、平成20年度から「NHK銀の雫文芸賞」として行っている。 作品の審査には、作家の出久根達郎さん、マンガ家の里中満智子さん、脚本家の竹山洋さん、そしてNHKドラマ番組部長、文化福祉番組部長があたった。772編の応募があり、次の3編が入選した。 入選作品は、「NHK銀の雫文芸賞2012作品集」として刷成し、広く頒布した。
最優秀の織江大輔さんの作品『ふるさとに、待つ』はラジオドラマ化し、12月8日の「FMシアター」で放送した。
日々の介護の様子や思いなどを詠んだ短歌を募集し、珠玉の作品を選び「介護百人一首2012」として作品集にまとめた。7回目の24年度は、過去最多となる12,394首の短歌が集まった。
入選作品は25年2月18、19日にEテレ「ハートネットTV」で紹介した。また、パネルにして25年度に各地の放送局などで展示する。
平成10年からNHK厚生文化事業団に運営を委託され、ボランティア情報を求める人たちと、ボランティアに取り組むNPOなどの関係者の双方から活用されてきた「NHKボランティアネット」は、24年9月をもってNHKからの委託が終了し、そのページを閉じた。
終了に当たっては、これからボランティアを志す人への便宜を図るため、役立つ情報をコンパクトにまとめた「ボランティア便利帳」や、アクセス数の多かった「一歩前へ!会社と社員の社会貢献」、「ボラ仲間の活動リポート」などのコーナーをNHK厚生文化事業団のホームページに移行した。
NHK学園と共催して、おもちゃを通じたボランティア活動を紹介するフォーラムを実施 した。おもちゃは東日本大震災でも、被災者の心のケアに役立つと注目された。おもちゃで 高齢者と子供の交流を図る実践やノウハウを紹介し、会場内でそれを体験できるワークショ ップを開くなどして、ボランティアを目指す人たちへわかりやすい情報提供を行った。
「福祉ライブラリー」は、NHKの福祉番組を複製して貸し出すもので、事業団創立以来の基幹事業の一つである。新番組や反響の大きかった番組をいち早くライブラリーに加え利用者の便宜を図った。ラインナップも多様で教育や福祉の現場で活用されている。
24年度に新しくライブラリー化した作品は35本。テレビの福祉番組「ハートネットTV」「バリバラ」のほか、「きょうの健康」「土曜ドラマスペシャル」など、視聴者から反響の大きかった番組や福祉の学習に役立つ番組をDVDに複製した。 また、事業団制作の福祉DVD教材「認知症ケア」もライブラリーに加えた。
20年度からオンライン予約システムを導入し、パソコンを使っていつでも予約ができるようにしている。現在、オンライン予約登録者は4,422人で、オンライン利用も増え、全体の3分の2になっている。
年間の貸出利用は5,139本(枚)。おもな利用者は、福祉関係の大学・専門学校や、福祉の現場で働く人、障害児の親や障害者本人、介護に携わっている家族、ボランティア団体のメンバーなどである。
利用した人が最も多かったのは事業団制作の福祉DVD「認知症ケア」(130人)。次に多かったのは福祉DVD「高次脳機能障害のリハビリテーション」(55人)、
同「統合失調症の人の回復力を高める家族のコミュニケーション」(53人)だった。
また「認知症」や「発達障害」を取り上げたNHK番組のライブラリーも利用する人が多かった。
NHKの字幕放送の拡充にあわせ、聴覚障害者向けサービスとして平成15年度から行っている。24年度は「ハートをつなごう」「課外授業ようこそ先輩!」「プロフェッショナル・仕事の流儀」など5番組を字幕化し(通算61番組)、全国59の聴覚障害者関係施設と当事業団で貸し出しを行っている。
視覚障害者向けのテープライブラリーは、文芸作品や古典の名作を朗読したNHKの番組を複製して、全国47か所の委託施設で貸し出しを行っている。各地の点字図書館ではデジタル図書での利用が多くなっているため、平成20年度からソフト作成をテープからデジタル録音のDAISYに切り替えている。
24年度は、NHKの『ラジオ文芸館』から、「江戸の土圭師」(山本周五郎)、「梅の蕾」(吉村昭)、「白い鳩」(沢木耕太郎)など8作品を、『朗読』から芥川龍之介、泉鏡花、太宰治などの作品集、『古典講読』から「徒然草」を複製した。
貸し出し利用は、年間2,174本であった。
16人に1人が経験するうつ病は、誰もがかかりうる身近な病気として認識されるようになってきたが、実はまだあまり解明されていない病である。うつ病とは何か、うつ病とつきあいながらどう生きるのか、安心して職場復帰するための支援のあり方など、うつ病をめぐる最新情報を提供する3枚組の福祉DVD教材(テキストつき)を、700セット制作した。全国の精神保健福祉センターや、産業保健推進センター、障害者職業センター、保健所、家族会などで役立ててもらうため、希望する所に無料で配布した。
また事業団の「福祉ビデオライブラリー」でも貸し出しを行ない、より多くの人に利用してもらう。
なお、本事業はJKAの補助金を得て実施した。
「もの忘れが気になるあなたへ」(19年度作成 監修:小阪 憲司 横浜ほうゆう病院長)
認知症はどんな病気か、治療法や予防法、相談窓口などを分かりやすくまとめたもので、3万部を増刷した。総発行数は21万部となった。
「家族が認知症と診断されたあなたへ〜おすすめ介護術〜」(20年度作成 監修:須貝 佑一 認知症介護研究・研修東京センター副センター長)
認知症の介護のポイントを症状別に解説したもので、発行数は13万部。
24年度は、両冊子あわせて2万2,200部を、フォーラムの参加者や希望者に無料で配布した。送料は利用者負担。
「思春期のこころの病〜"悩み"と"病"の見分け方〜」(監修:青木 省三 川崎医科大学精神科学教室教授) 思春期特有の精神疾患の見分け方と、その対応について啓発する冊子。 24年度は、学校や、個人、勉強会をするNPOなどの要望にこたえ、4,100部を頒布した。送料は利用者負担。また、NHKハートフォーラム「思春期のこころと病を知る」の参加者にも無料で配布した。
「がん患者のための体と心の緩和ケア〜痛みと悩みをやわらげて自分らしい療養生活を送るために〜」(監修:的場 元弘 国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科長)
がん患者の体の痛みや心の苦しみを和らげる「緩和ケア」について、ケアを受けられる全国の病院や相談機関の情報を含めてわかりやすく解説した。NHKのお知らせなどで知った希望者に、8,400部を送付した。送料は利用者負担。
24年度は「N響チャリティーコンサートHOPE」を実施し、その純益で東日本大震災の被災地をはじめとする地域福祉グループへの支援を充実させたほか、年間を通して数々のチャリティーを展開した。
24年度のチャリティーイベントは以下の通り。
(「※」印は物品などの贈呈をした催しで、詳細は、7.(4)に記載)
あすの福祉の芽を育てる「わかば基金」は、福祉の分野で地道に活動を続けているグループを支援するために設けられたもので、今回で24回目を迎えた。
今年度より、東日本大震災の被災地で活動しているグループに支援金を贈る「東日本大震災被災地支援金部門」を新たに設けた。42のグループから申請があった。
また、第1部門「支援金贈呈の部」に351グループ、第2部門「リサイクルパソコンの部」に138グループから申し込みがあった。「リサイクルパソコン部門」は、NHKやNHK関連団体から不用になったパソコンを寄贈してもらい、新しいアプリケーションソフトを入れた上で、必要としている福祉団体に贈呈するもので、NHKグループの新しい社会貢献活動ともなっている。
選考委員会を経て、全国10グループに総額658万円の支援金、21グループに54台のパソコンを贈った。また、被災地には8グループに563万円の支援金を贈ることができた。支援総額は、パソコン費用を含め1443万円で、23年度に比べ330万円増となった。初回からの贈呈件数は496に上る。
「わかば基金」での支援強化のため23年度に続き「N響チャリティーコンサートHOPE」をNHKホールで開催し、純益を資金とした。NHK、NHK交響楽団と共催で、参加者は1,690人。1.(1)参照)
<支援金部門 支援先>*10グループ *支援金総額:658万円
<リサイクルパソコン部門 支援先>*21グループ *リサイクルパソコン贈呈:54台
<東日本大震災被災地支援金部門 支援先>*8グループ *支援金総額:563万円
「平成24年度NHK歳末たすけあい・NHK海外たすけあい」をNHK、中央共同募金会、日本赤十字社と共催で12月1日〜25日の間実施した。
「歳末たすけあい」の義援金は、中央共同募金会を通じて被災した福祉施設への支援、障害のある人や、援助や介護を必要とするひとり暮らしのお年寄り、援助を必要とする子どもたち、長期療養生活をしている人や生活が困難な世帯などに配分される。
「海外たすけあい」では、日本赤十字社が赤十字国際機関と協力し、紛争や自然災害に苦しむ人たちのために使われる。
受付件数・金額(全国集計)
事業団ではNHK、日本赤十字社、共同募金会とともに、大規模な災害が起こった際には、その都度「災害たすけあい」を実施している。
23年3月11日に発災した「東日本大震災」の義援金については、26年3月末まで実施する予定である。全国のNHKの窓口に寄せられた義援金は21億6,600万円を超し、当事業団の窓口にも多くの義援金が寄せられた。25年3月末現在、東日本大震災の義援金総額は、3,667億円。
25年2月9日に開催した「第46回NHK福祉大相撲」(入場者4,190人)の純益により福祉車両「福祉相撲号」5台を購入し、これに日産自動車からの寄贈1台と合わせて合計6台を障害のある人たちの療育活動や、お年寄りのデイケアなどの福祉活動を行っている施設・団体に寄贈した。
「NHK福祉大相撲」の模様は、2月19日総合テレビで放送した。
<寄贈先>
NHKサービスセンターの寄贈による月刊「ラジオ深夜便」を全国1,913か所の 老人福祉施設(軽費老人ホーム、養護老人ホーム、高齢者ケアハウス)に対し、年12回、毎回3,826冊を贈呈した。
中部支局が名古屋市と津市で開催した「NHK厚生文化チャリティー展」の純益の一部で、
事業団の催し物の開催時に、視覚障害の人や知的障害のある人など1,251人を招待した。
事業団の活動を周知するため、事業内容を紹介した印刷物をイベント会場で配布し、福祉活動への理解と協力を求めたる。また、ホームページでは、催し物の周知や活動報告などを分かりやすく伝え、ネット時代にふさわしい広報活動に努めた。
NHK厚生文化事業団年報「心豊かな福祉社会をめざして」を発行して、事業団の福祉活動への理解促進を図った。
事業団の業務を紹介したパンフレット「事業団のふくし」を作成して、イベント会場などで配布した。また、NHKハートフォーラム会場では、イベントのテーマにそった冊子を配るほか、事業団作成の福祉DVD教材、福祉ビデオライブラリーの案内をしている。
さらに、NHKの放送、ニュースによる各種事業の紹介のほか、外部メディアへの情報提供を積極的に行い、新聞・雑誌などでも活動内容が紹介された。
事業団のホームページをより多くの人の利用してもらうため、情報の充実に努め、視覚的にも見やすいレイアウトに変更した。24年度のアクセス数は、前年度に比べて20万ページビュー増加し、86万ページビューとなった。
新たに掲載した主な内容は、
ホームページの利用者からメールで寄せられたさまざまな問い合わせには、各担当者が即応するよう努めた。
4月5日、5月10日、6月7日、7月12日、9月6日、10月4日、11月8日、12月6日、(平成25年)1月10日、2月7日、3月7日(計11回)
NHK大阪ホール 入場者計 8,834人
9月1日 NHK大阪ホール 入場者 1,156人
10月6日〜7日 山形県天童市 天童ホテル 参加者 600人
福祉、教育、医療団体などが実施する研修、啓発事業、また美術、スポーツ団体などが福祉目的で開催するチャリティー事業に積極的に協力し、本部・支局合わせて185の事業を後援、協賛した。
「自閉症啓発デー2012」「第40回日本車椅子バスケットボール選手権大会」「世界ダウン症の日記念イベント」「口と足で描いた世界の美術展」「第39回国際福祉機器展」「福祉の就職総合フェア2012inOSAKA」「脳外傷リハビリテーション講習会」「第36回福岡県情緒障害教育研究会」などを後援、協賛した。
「国展」「春陽展」「東光展」「二科展」「アザミ革工芸展」「チアリーディング日本選手権大会」「KEIRINグランプリ2012」「チャリティーニット展」「彩日展」「手づくりフェア in 九州」などのチャリティー催しを後援し、その益金から事業団へ寄付をいただいた。
当事業団への寄付金には二種類ある。個人や団体からのご寄付である一般寄付金と、当団が主催、後援、協賛したチャリティー事業からのご寄付であるチャリティー寄付金である。
24年度は、
賛助会員は一般法人に広く協力を求め、本年度は16団体25口の新規入会があったが、業績不振等により、減額1団体2口、退会13団体15口の申し出もあり、合わせて159団体から2,200万円の支援を受けた。
維持会員については、NHKおよびNHK関連団体役職員、NHK旧友会員等 6,892人の方々の協力を得て、その額は1,200万8,500円に達した。
〔特別賛助会員〕
当該事業年度における当事業団の理事および監事に対する報酬等の内容は、以下のとおり。
理事 11人 3,600万円
監事 2人
(注)
1.上記人数には、当期中に退任した常勤理事1人が含まれる。
2.上記のうち、非常勤の理事8人、監事2人には、報酬は支払っていない。
終わり