わが国の社会福祉は、急速に進む少子・高齢化、障害者自立支援法の見直しなど、大きな課題をかかえています。一方、社会福祉に対する国民のニーズは、ますます拡大・多様化しており、よりきめ細やかな支援サービスが求められています。
平成20年度は、未曾有の経済状況の悪化などで、寄付金に大きく依存する事業団にとって厳しい状況にありましたが、NHKグループの社会福祉法人として、福祉ニーズに応えるさまざまな事業を、放送と連携しながら実施することができました。
特に、発達障害の子どもたちの支援を強化するとともに、NHK認知症キャンペーンと連動した認知症フォーラムを全国で開くなど、障害者ならびに高齢者福祉を中心とした各種支援事業や情報提供を、NHKとの緊密な連携の下に展開しました。
「NHK福祉大相撲」や「歌謡チャリティーコンサート」など、放送でも紹介されるチャリティーイベントは極めて好評で、満員のお客様で実施することができました。
なお、当事業団の活動が、NHKのラジオ番組「ともに生きる」で、毎月「NHK厚生文化事業団だより」として取り上げられるようになりました。
「特別支援教育」の本格的実施にあわせ、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害に関するフォーラムを全国8か所で実施し、参加者は2900人近くに上りました。さらに、発達障害児のキャンプを2か所で行いました。
NHKの「認知症キャンペーン」に連動して、地域放送と連携しながら全国13か所で認知症フォーラムを実施し、参加者は7000人近くを数えました。また、認知症についての冊子の続編を発行するなど、その啓発に努めました。
20年継続した「銀の雫文芸賞」を引き継ぎ、NHKとの共催で、高齢社会を描く「NHK銀の雫文芸賞」を実施しましたが、応募数は983編に達しました。また体験を記録する「NHK障害福祉賞」でも、483編を数え、ともに過去最多の応募数でした。両賞とも、テレビやラジオでその作品が紹介されました。
障害者や高齢者の施設・団体に福祉相撲号や福祉機器を贈呈するとともに、20回を迎えた「わかば基金」では、NHKグループの社会貢献活動でもある「リサイクルパソコン支援」を充実させました。また、障害者スポーツの裾野を広げるイベントとして、「都道府県対抗障害者駅伝トライアル大会」を実施、ETV「福祉ネットワーク」で紹介されました。
NHKボランティアネットや事業団のホームページの内容を充実し、NHKのサイトと連携しながら情報提供サービスを強化しました。
また、ビデオライブラリーのオンライン予約システムの開始や、テープライブラリーのデジタル化など、時代に即した提供体制を構築し、ライブラリーの利用促進を図りました。
大阪、名古屋、福岡において、ことばや発達の遅れた子どもとその親のための定例相談会、大阪、広島ではLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障害児を対象に相談会を行った。東京では、「のびのびキャンプ」、名古屋では「やまびこキャンプ」を実施した。
大阪、名古屋、福岡で13回実施した。知的や言語の発達のおくれ、自閉症、重複障害などの子どもの相談が多かった。
大阪では平成12年度からLD、ADHD、高機能自閉症児などを対象にした「LD教育相談会」を行っている。今年度は広島市で初めて開催した。
東京では、障害のある子どもを対象にした「親と子の療育キャンプ」の後、平成18年から、ADHD(注意欠陥多動性障害)などの児童を対象にした「のびのびキャンプ」を実施した。開催にあたっては、ADHDの人や家族を支援しているNPO法人「えじそんくらぶ」の協力を得た。子どもたちは自分の存在を評価してもらえる環境の中でいきいきと遊び、親は子どもの特性や接し方を学んだ。
また、愛知県で行う「やまびこキャンプ」は25回目を迎え、愛知教育大学とそのOBの人たちの協力により、発達障害のある子どもたちが自然の中で集団生活を体験した。家族やボランティアを含め100人余りが参加した。
肢体不自由児・者の療育キャンプを支援団体との共催・協力により、各地で実施した。夏季、冬季の野外活動を通じて、参加者の自立と社会参加を促進し、あわせて交流の輪を広げた。
自閉症やLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などについて各地の放送局や「親の会」などと共催で、NHKハートフォーラムを8回開催した。また新たに、統合失調症に関するフォーラムを開催するとともに、引き続き精神障害のある人の家族に向けたワークショップを実施した。
発達障害児・者の教育支援や就労の問題をとりあげたフォーラムを8回開催した。「特別支援教育」が定着していく中で、教員や発達障害児の親などが高い関心を示し、参加した。
統合失調症はどんな症状や治療法があり、再発を予防するためにどうすればいいのか専門家が語った。統合失調症については、普段知る機会が少なく、多くの参加があった。
山梨県の精神障害者家族会連合会とともに、生活技能訓練の専門家・高森 信子さんが、精神障害のある人の家族のために、再発予防と回復力を高める接し方の講演とワークショップを行った。
名古屋では、大学生たちが、発達障害の子どもたちに楽しんでもらうイベントを行った。また大阪では、うつ病と支援体制について考えるハートフォーラムを2回行った。
日本ろう者劇団の井崎 哲也さんが小学校を訪問、子どもたちに手話や身振りなど声を出さない伝達方法を体験してもらい、コミュニケーションの難しさと大切さを一緒に考えた。
11月から12月には、多くの人に福祉に関心を持ってもらうため全国でイベントを集中的に開催している。東京ではNHK教育フェアで「ふくし体験(障害・高齢擬似験)」を行った。
NHK教育テレビに親しんでもらおうと毎年開催されている「NHK秋のふれあい広場・教育フェア」で、車いす体験や高齢者擬似体験をすることで、障害者や高齢者への理解を深めてもらった。この様子は11月1日、教育テレビで中継された。
福岡の大濠公園で開催した「NHK福岡ハートパーク」では、障害のある人が描いた絵210点を、街路灯を飾るフラッグにして展示した。この関連イベントとして「福祉体験スタジオ」を設けて、盲導犬体験、視覚障害者体験、車いす体験などを行った。
オリンピック、パラリンピックが開かれた年に、障害のある人のスポーツ競技の裾野を広げる試みとして、「2008都道府県対抗障害者駅伝トライアル大会」を初めて実施した。
また、重度障害者と知的障害児・者が参加する「スポーツの集い」や、障害のある人もない人もスポーツを通じて交流を深める「NHKハートスポーツフェスタ」を全国の4会場で開催した。
車いす、視覚障害、知的障害など、異なる障害のあるアスリートがたすきをつなぐレース「2008都道府県対抗障害者駅伝トライアル大会」を、東京都障害者スポーツ協会、日本障害者スポーツ協会とともに初めて実施した。
関東とその近隣県から10チームが参加し、昭和記念公園の周回コースで、8区27.6キロを競い、東京都Aチームが優勝した。実況ゲストはラモス 瑠緯、谷川 真理さん。ボランティア650人が参加し、コース整理などにあたった。この日同時に「スポーツ体験フェスタ」を開催し、選手、ゲスト、応援に来た市民たちが一緒になって、スポーツを楽しんだ。
大会の様子は12月15日、教育テレビ「福祉ネットワーク」で放送された。
重度の障害者が参加できる数少ないスポーツ大会として、東京都障害者スポーツ協会と協力して実施。100メートル走、大玉ころがし、綱引きなどを行った。
障害のある人の体験記録や、福祉関係者、家族などの記録を広く社会に伝える「障害福祉賞」は、第43回を迎えた。第1部門を中心に過去最多の483編の応募があり、次の実践記録が入選となった。
第1部門 障害のある本人の部門
第2部門 障害のある人とともに歩んでいる人の部門
応募数 483編(第1部門:335編、第2部門:148編)
入選作
入選作品は「ここにいたい--入選作品集」として刷成し、広く頒布したほか、朗読による音声版(テープ、デジタル録音)、点字版の入選集を作成し、全国の点字図書館や視覚障害の応募者などに提供した。贈呈式は12月4日にNHK放送センターで行った。
また、入選作品のうち3作品が、「ハートをつなごう」(11月24日〜26日、教育テレビ)で、シリーズで放送されたほか、最優秀の西岡 奈緒子さんと優秀の有松 則子さんが、12月15日の「ラジオ深夜便」に出演した。
障害のある人がつづった詩と、その詩をモチーフに各界の著名人が制作したアート作品を組み合わせて展示する「NHKハート展」。平成6年度以来、13回目を迎えた展覧会には、4,598編の詩が寄せられた。その中から50編の詩が選ばれ、作詩者の想いを表現した絵やアートが添えられた。
これらの作品は、平成20年3月4日から9日まで日本橋三越での東京展をはじめ、大阪市、静岡市など13か所の巡回展で紹介され、入場者は83,483人に上った。
また、平成21年度に巡回展を行う第14回NHKハート展には、5,469編の詩が寄せられた。巡回展は平成21年3月3日から8日までの日本橋三越での東京展をはじめとして、年度内に全国10会場で開催する予定。
NHK教育テレビ「福祉ネットワーク 公開すこやか長寿」の番組収録(毎月第3木曜放送)と、高齢者の健康や生き方に役立つ講演を内容とした高齢者福祉イベントを、全国10か所で開催した。
地域の高齢者福祉のニーズに応えながら、制度や地域社会のあり方を考えるフォーラムや、楽しく参加できる健康づくりのフォーラムを開催した。
東海地方の4つの病院施設で119名の入院患者の人たちに、津軽三味線と民謡による慰問演奏会を行った。
NHKの認知症キャンペーンや放送と連動させながら、認知症フォーラムやNHKハートフォーラムを合計13回開催した。
認知症は早期発見や早期治療が可能になってきた。また、介護する家族を支える上でネットワークや地域の果たす役割が重要となっている。事業団とNHK、読売新聞が主催したフォーラムで、認知症になっても安心して暮らすための最新情報を紹介した。また、放送や紙面、ウェブサイトなどとも連動したクロスメディア展開で、啓発に努めた。
放送展開
(総合:県域放送)
事業団とNHKエンタープライズの主催で認知症フォーラムを行った。
放送展開(教育:全国放送)
認知症についての様々なテーマを取り上げ、地域社会のありかたを話し合った。
事業団とNHK文化センターが春と秋の2期に連続講座を開催して、認知症について学んでもらった。
認知症に対する正しい知識を持ってもらうために、家族向けに小冊子「家族が認知症と診断されたあなたへ--おすすめ介護術」を7万部作成し、フォーラムの参加者や希望者に配布した。
また、19年度作成の小冊子「もの忘れが気になるあなたへ」(監修・小阪憲司横浜ほうゆう病院長)を3万部増刷して、発行部数は12万部となった。
長野県諏訪中央病院の鎌田實医師をホスト役に毎回ゲストを迎えて、「いのち」について参加者とともに考えるラジオ公開生放送(ラジオ第1)のイベント。今年度は4回実施し、多くの視聴者が参加した。
NHKを主催に加え、平成20年度から始めた「NHK銀の雫文芸賞」は、高齢社会をどう生きるかをテーマとして公募する文芸賞。公益信託「雫石とみ文芸賞基金」により20年間続いた「銀の雫文芸賞」の後を継ぐものである。審査員は、新しく作家の北原 亞以子さん、出久根 達郎さん、脚本家の竹山 洋さんに委嘱した。
全国から、昨年の2倍以上の983編の応募があり、次の3編が入選した。入選作品は、「NHK銀の雫文芸賞2008作品集」として刷成し、広く頒布した。
最優秀の「ロイヤルミルクティー」は、ラジオ「FMシアター」(12月6日午後10時〜10時50分)で放送された。
日々の介護の様子や思いなどを詠んだ短歌を募集し、珠玉の作品を「介護百人一首」として選出し、作品集にまとめた。
3回目の平成20年度は、7495首の短歌が集まった。
入選作品は教育テレビ「福祉ネットワーク」で紹介されたほか、パネルにして全国11か所で展示した。
NHKからの受託事業である「NHKボランティアネット」は、ボランティア活動に携わる人たちや関係団体への情報源として、活用してもらっている。
また、地域の放送局や関係団体などとの共催で、NHKハートフォーラム(ボランティア)を開催した。
インターネットを通してボランティアに関する情報を発信する「NHKボランティアネット」は、阪神・淡路大震災でボランティアが注目された平成7年にスタートし、以来14年の実績を積み重ねてきた。
いまやボランティア活動は日本社会に定着し、放送番組やニュースでも活動状況がしばしば取り上げられ、企業も社会的責任活動の一環として力を入れるほか、国際社会でもまた地域社会でもボランティアの存在は欠くことができなくなっている。
平成20年度は、災害活動への支援情報のいっそうの充実をはかるとともに、利用者のニーズに的確に応え、信頼されるホームページの運用に努めた。
新コーナーとして、ボランティア活動の現場にいる人々の写真を掲載する「みんなの元気!--私が撮ったこの1枚--」と、ボランティアに関する新しい動きや話題を伝えるコラム「こだわりアンテナ」を新設した。
また、社会福祉協議会やボランティア団体と積極的な情報交換にもつとめ、サイトの充実を図った。
今年度も引き続き災害支援情報にも力を入れた。5月の「ミャンマー・サイクロン災害」や、同じく5月の「中国大地震」、6月の「岩手・宮城内陸地震」、7月の石川県の豪雨、8月の愛知県への集中豪雨などでは、災害情報とともに、義援金募集の情報などのコーナーを特設して発信した。
「各地のボランティア情報」には、常時200件を超える活動を掲載。ホームページへのアクセスとしては、1日平均1万ページビュー。年間の総ページビューは370万に上っている。
NHK地域放送局と共催でボランティア活動を啓発するフォーラムを2回実施した。
事業団創立以来の基幹事業の一つである、NHKの福祉番組を複製して貸し出しを行う「福祉ライブラリー(テープとビデオ)」は、新番組や反響の大きかった番組をいち早く加えており、福祉を学ぶ資料として活用されている。
20年度、ビデオライブラリーは、10月から貸し出しビデオのDVD化をはかり、さらに利用者のニーズに応えるためオンライン予約システムを導入、テープライブラリーもデジタル録音化を図った。
また、聴覚障害者向けに字幕付きのビデオを作成し、全国の聴覚障害者関係施設で貸し出しを行っている。
視覚障害者向けのテープライブラリーは、全国47か所の貸し出し委託施設を設け、利用者の便を図っている。全国の点字図書館でデジタル図書での利用が多くなっているため、平成20年度から、ソフト提供をテープからデジタル録音のDAISYに切り替えた。
NHKラジオ2番組から「古事記物語」「牧野信一短編集」「中原中也作品集」「紫式部日記」の4作品を複製した。
貸し出し利用は「私の本棚」「朗読」「日曜名作座」などの文芸作品、古典の名作を解説する「古典講読」などを中心に、年間13,867本に上っている。
テレビの福祉番組「福祉ネットワーク」「きらっといきる」「ハートをつなごう」や「NHKスペシャル」「にんげんドキュメント」など、視聴者から反響の大きかった番組や、福祉の学習に役立つ番組からから60番組のビデオを新たに複製した。また、NHK厚生文化事業団の独自ビデオ2タイトル・6本もビデオライブラリーに加えた。
新規ビデオの貸し出しは上期と下期の2回に分けておこない、それぞれ目録を作成した。上期(4月貸出開始)は、平成19年7月から12月に放送したものから35番組のビデオを加えた。下期(10月、一部2月貸出開始)は、平成20年1月から6月に放送した番組の中から25番組を新たに加えた。
さらに10月からは、オンライン予約システムを導入し、パソコンを使って予約ができるようにして利便性を高めた。電話とオンライン予約の比率は、3月現在ほぼ同じである。
また、貸し出すビデオを、これまでのVHSテープからDVDに新規複製分から切り替えた(過渡期として、当面はVHSでも貸し出し利用が出きるようにしている)。過去の人気の高い番組についても順次DVD化を図っていく。
年間の利用は6,066本。おもな利用者は、福祉関係の大学・専門学校をはじめ、福祉の現場で働く人、障害児の親や障害者本人、介護に携わっている家族、ボランティア団体のメンバーなどである。
利用が特に多かったのは、発達障害や認知症介護に関するビデオ、事業団の福祉ビデオ「知的障害や自閉症等の障害のある人たちをトラブルから守る」などである。
NHKの字幕放送の拡充にあわせ、聴覚障害者向けサービスとして、平成15年度から行っている。20年度は、「福祉ネットワーク」や「きょうの健康」など6本の番組を字幕化し(通算42番組)、全国59の聴覚障害者関係施設と当団での貸し出しを行っている。
知的障害や統合失調症の人たちの生活を支援するため、DVD3枚セット(テキストつき)を2シリーズ制作した。ともに700セット制作し、家族の会や福祉センター、保健所などに配布するとともに、「福祉ビデオライブラリー」としても貸し出した。
「知的障害や自閉症等のある人たちをトラブルから守る--自分で守る・みんなで守る--」
「統合失調症の人の回復力を高める家族のコミュニケーション」
なお、本事業はJKA(日本自転車振興会)の補助金を得て実施した。
著名人や障害者のインタビューを通して、読者に福祉の関心を高めていただく福祉情報誌「はーと はーと」を年2回発行した。夏号9,000部、冬号15,000部、合計で年間24,000部を発行。
2008夏号(7月10日発行)「北京パラリンピック応援特集」 京谷 和幸(車いすバスケットボール)、大井 利江(円盤投げ)、海沼 理佐(ボッチャ)、河合 純一(競泳)
2008冬号(12月25日発行) アグネス チャン(歌手・エッセイスト)、笹原 政臣(元・里子として)
認知症について正しい知識を持ってもらうために、冊子「家族が認知症と診断されたあなたへ--おすすめ介護術--」を7万部作成した。認知症の介護のポイントを症状別にわかりやすくまとめたもので、フォーラム参加者や希望者に無料で配布した。(送料は利用者負担)
また昨年度に制作し、認知症はどんな病気か、治療法や予防法、相談窓口などをわかりやすくまとめた「もの忘れが気になるあなたへ」(監修 小阪憲司・横浜ほうゆう病院長)を3万部増刷し、希望者に配布した。
NHKは「NHKハート・プロジェクト」を組織して、「ともに生きる社会」をテーマに、NHKの福祉番組や福祉イベントを1年間計画的にキャンペーン展開している。
事業団では、これまで蓄積してきた福祉事業の経験をもとに、NHKと協力しながら、このキャンペーンを推進している。
また、20年度は10月から、ラジオ番組「ともに生きる」(日曜日 午前8時〜8時30分:ラジオ第2)の中で、事業団が行っているフォーラムや事業が、月に1回「NHK厚生文化事業団だより」として紹介された。
放送日とテーマ
NHKをはじめ多くの関係団体の支援・協力を得て、以下の主催チャリティー事業を実施した。
チャリティーによる純益は、障害者福祉事業などに役立てたほか、福祉機器や車両を購入し福祉関係団体・施設へ贈呈した。
また20年度から、NHKチャリティー展の収益の一部を「NHKチャリティー展文庫」として地元の福祉施設に図書を贈呈することとした。今年度は、愛知県身体障害者総合施設希全センター(豊川市)に544冊を贈呈した。(「※」印は物品などの贈呈をした催しで、詳細は、6‐(4)に記載)
「NHK歳末たすけあい・NHK海外たすけあい」のほか、地震や台風など災害発生時に全国のNHKと日本赤十字社などとともに義援金の受け付けを実施した。
また、障害者・高齢者の福祉および地域福祉の推進を支援する「わかば基金」での支援金やリサイクルパソコンの贈呈、チャリティー事業の益金による福祉機器の贈呈など各種支援事業を行った。
「平成20年度NHK歳末たすけあい・NHK海外たすけあい」をNHK、中央共同募金会、日本赤十字社と共催で12月1日〜25日の間実施した。
今年度は、11月30日に表参道ヒルズから特別番組「あなたのやさしさを2008」を生放送し、義援金がどのように使われているかを紹介した。
また、全国の各放送局でも、11月から12月かけて福祉キャンペーン「NHKハート・プロジェクト」のイベントや放送を集中的に展開したが、「NHK歳末・海外たすけあい」をその中核事業として位置づけ、様々な方法でPRに努めた。
「歳末たすけあい」の義援金は、中央共同募金会を通じて全国の障害者の方々や、援助や介護を必要とするひとり暮らしのお年寄り、援助を必要とする子どもたち、長期療養生活をしている人、生活が困難な世帯、災害地などに配分された。
「海外たすけあい」では、日本赤十字社が赤十字国際機関と協力し、タンザニア難民キャンプ支援や、スーダン・ダルフール紛争犠牲者支援、ラオス・北朝鮮・アフガニスタン・大洋州準地域等災害対策事業、ジンバフェおよびインドネシアにおけるHIV・エイズ対策事業に活用される。
事業団ではNHK、日本赤十字社、共同募金会とともに、大規模な災害が起こった際には、その都度「災害たすけあい」を実施している。
平成20年度は、「新潟県中越沖地震災害義援金」を引き続き行ったほか、新たに発生した地震や大雨による地域災害に対し、国内災害たすけあいを実施した。
あすの福祉の芽を育てる「わかば基金」は、福祉の分野で地道に活動を続けているグループを励まし、支援するために設けられたもので、今回で20回目を迎えた。
19年度から設けた「リサイクルパソコン部門」は、NHKで不要になったパソコンを寄贈してもらい、リサイクルした上で必要としている福祉グループに贈呈するもので、NHKグループとしての新たらしい社会貢献活動である。20年度は贈呈台数を前年度の倍の100台とした。
20年度の募集では、第1部門「支援金贈呈の部」に347グループ、第2部門「リサイクルパソコンの部」に360グループ(926台)からの申し込みがあった。第2部門への申請が大幅に増えている。
選考委員会を経て、12グループに総額607万円の支援金、38グループに101台のパソコンを贈った。初回からの贈呈件数は352グループに上る。
【第2部門】*38グループ *リサイクルパソコン贈呈:101台
「第42回NHK福祉大相撲」はチケットが完売し、その純益により福祉車両「福祉相撲号」を例年より1台多い10台を購入し、これに日産自動車株式会社からの寄贈1台を合わせて、11台を障害のある人たちの療育活動や、お年寄りのデイケアなどの福祉活動を行っている施設・団体に寄贈した。初回からの寄贈台数は、254台となった。
<寄贈先>
春と秋に開催した「歌謡チャリティーコンサート」の純益により、車いす付き介護浴槽と障害者スポーツ用具を購入し、福祉施設・団体へ贈呈した。
◎4月18日、長崎市で開催した「歌謡チャリティーコンサート」の純益で、「車いす付き介護浴槽」を長崎県内の3か所の高齢者福祉施設に贈呈した。
<寄贈先>
◎10月9日、静岡県浜松市で開催した「歌謡チャリティーコンサート」の純益で、「障害者スポーツ用具」を全国4つの障害者スポーツ団体に贈呈した。
<寄贈先>
日本陶芸倶楽部、毎日新聞東京社会事業団と共催した「第41回日本陶芸倶楽部会員チャリティー作品発表展」(5月20日〜25日・日本橋三越本店)による純益の一部で、福祉施設6か所に洗濯機を贈呈した。
視聴者からの寄付を受けて、平成14年から「ベトナムの子どもを支える会」(代表:小山 道夫)を通じてフエ市の学生に奨学金を贈呈、日本からの民間支援として現地で高く評価されている。平成20年度(第2期事業の3年目)は、約120人の学生に学資の給付を行った。
NHKサービスセンター寄贈による「別冊 NHKウイークリーステラ 大相撲中継」を全国2023か所の老人福祉施設(ケアハウス、軽費、養護)に年6回、毎回4046部を贈呈した。
事業団の催し物の開催時に、知的障害施設、盲学校生徒などの669名を招待した。
事業団の活動を広く周知するため、事業内容を紹介する印刷物を催し物会場で配布したり、定期的に福祉情報誌を刊行するなど、福祉活動への理解と協力を求めることに努めた。
また、ホームページでは、催し物の周知や活動報告などを分かりやすく伝え、「NHKボランティアネット」と合わせて、ネット時代にふさわしい広報活動に努めた。
「NHK厚生文化事業団年報」(年1回)を発行して、事業団の福祉活動への理解促進をはかった。
また、福祉情報誌「はーとはーと」(年2回)「事業団のふくし(業務案内パンフレット)」「事業紹介ポスター」を作成し、イベント会場での配布や展示により周知活動を行った。
さらに、NHKの放送、ニュースによる各種事業の紹介のほか、外部に対する記事提供により、新聞・雑誌などでも活動内容が紹介された。
ネット時代をむかえ、事業団のホームページを拡充し、利用者に見やすく分かりやすい情報を提供に努めた。
掲載内容は、事業団の催し物の予定、実施したフォーラムの報告、事業団が長年蓄積している「NHK障害福祉賞」や高齢者の生き方を綴る「銀の雫文芸賞」の入選作品などである。20年度から「わかば基金」による支援グループのその後の活動をリポートする「わかばなかま」のコーナーを開設した。
さらに、メールで利用者のお問い合わせにも即応出来るよう努めている。
4月17日、5月9日、6月13日、7月10日、9月11日、10月10日、11月7日、12月18日、(平成21年)1月9日、2月6日、3月13日(計11回) NHK大阪ホール 入場者計 7,163名
*NHK大阪放送局と共催
8月31日 NHK大阪ホール 入場者 1,148名
*NHK大阪放送局と共催
10月5日 浜松グランドホテル 参加者 850名
*厚生労働省、静岡県、全国里親会と共催
外部の福祉、医療、教育団体が行う福祉事業や福祉目的のチャリティー事業に積極的に協力し、本部・支局合わせて185の事業の後援、協賛を行った。
「ホテルオークラ アートコレクション」「サロン・デ・ボザール展」「チャリティー吉書展」「テーブルウェア・フェスティバル2009」「チアリーディング日本選手権大会」「アザミ革工芸展」「チャーチル会東京油絵展」「東光展」「国展」「春陽展」「二科美術展」「KEIRINグランプリ2008」「チャリティー全国大陶器市」「手作りフェアin九州」などのチャリティー催しを後援、協賛した。その純益から事業団へ寄付をいただいた。
「国際福祉機器展」「日本車椅子バスケットボール選手権大会」「全日本盲人写真展」「赤十字シンポジウム2008」「心の輪を広げる 障害者理解促進事業」「朗読録音奉仕者感謝の集い」「肢体不自由児・者の美術展」「日本視覚ハンディキャップテニス大会」「全国ボランティアフェスティバル」「肢体不自由児 雪遊びのつどい」「日本自閉症協会全国大会」「福祉の就職総合フェアin Osaka」「愛知県障害者スポーツ大会」「福岡県情緒障害教育研究会」などを後援、協賛した。
一般寄付金、チャリティー寄付金は、343件(個人:115件/団体:228件)189,344,383円にのぼった。
そのうち、
賛助会員については、一般法人に広く協力を求めた結果、20年度は、8団体18口の新規入会があった。しかし業績不振等により、減額3団体32口、退会22団体24口の申し出もあり、合わせて184団体から2,640万円の支援を受けた。
また維持会員については、NHKおよびNHK関連団体役職員、NHK旧友会員など6,001名にのぼる方々の協力を得て、その額は955万円に達した。
当該事業年度における当事業団の理事および監事に対する報酬等の内容は、以下のとおり。
理事 14名 3,400万円
監事 3名
(注)1.上記人数には、当期中に退任した常勤理事2名、非常勤理事1名が含まれる。
2.上記のうち、非常勤の理事10名、監事3名には、報酬は支払っていない。
終わり