社会福祉法人 NHK厚生文化事業団

NHK厚生文化事業団 平成19年度事業報告書

目次

はじめに

わが国の社会福祉は、急速に進む少子・高齢化の中で介護保険の見直しが行われ、障害者自立支援法などが施行されるなど、大きく様変わりしています。
一方、社会福祉に対する国民のニーズは、ますます拡大・多様化しており、よりきめ細やかな支援サービスが求められています。
平成19年度、当事業団はNHKグループの社会福祉法人として、このような社会情勢の変化を踏まえ、国民の福祉ニーズに応えるさまざまな福祉事業を実施しました。

特に、発達障害の子どもたちの支援を強化するとともに、NHK認知症キャンペーンと連動した認知症フォーラムを全国で開くなど、障害者ならびに高齢者福祉を中心とした各種支援事業や情報提供を、NHKとの緊密な連携の下に展開してきました。

○発達障害児・者への支援事業

LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障害児のキャンプを充実したほか、「特別支援教育」の本格的実施にあわせ、発達障害に関するフォーラムや相談会を継続して開催しました。

○認知症に関する啓発事業

NHKの「認知症キャンペーン」や放送に連動させ、「認知症 あきらめない」をテーマに全国各地でフォーラムを実施、認知症についての冊子を発行するなど、その啓発につとめました。

○様々な福祉課題に向き合うNHKハートフォーラムの開催

社会福祉の向上に資するため、障害者福祉・高齢者福祉・ホスピス・ボランティアをテーマに全国各地で多様な福祉のフォーラムを開催しました。

○事業団ならではの文芸賞やノンフィクション賞の充実

高齢社会を描く「銀の雫文芸賞」や、ノンフィクションの「障害福祉賞」の募集をおこない、その作品が放送されました。「銀の雫賞」は20年を経て雫石とみ文芸賞基金が終了し、最終回を迎えました。今後は「NHK銀の雫文芸賞」を設けて引き継いでいきます。

○障害者、高齢者団体への支援

障害者や高齢者の施設・団体に福祉相撲号や福祉機器を贈呈するとともに、「わかば基金」では、NHKから不要パソコンの提供を試行してもらうことによって、リサイクルパソコン支援部門を新設しました。

○情報提供サービスの充実

NHKボランティアネットや事業団のホームページ、福祉情報誌「はーとはーと」の内容を充実し、情報提供サービスを強化しました。

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1.障害者福祉事業

(1)こどもの発達相談会および療育キャンプ

大阪、名古屋、福岡において、ことばや発達の遅れた子どもとその親のための定例相談会、東京、大阪ではLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障害児を対象に相談会を行った。東京では、「のびのびキャンプ」、名古屋では「やまびこキャンプ」を実施した。

ア.定例相談会

大阪、名古屋、福岡で12回実施した。知的や言語の発達のおくれ、自閉症、重複障害などの子どもの相談が多かった。

イ.LD教育相談会

大阪では平成12年度から「LD教育相談会」を、東京では平成13年度から「LD・ADHD・高機能自閉症教育相談会」を行っている。

ウ.親と子の療育キャンプ

東京では、障害のある子どもを対象に「母と子の療育キャンプ」を35回行ってきたが、平成18年からは大学教授や専門家の協力を得てADHD(注意欠陥多動性障害)などの児童を対象にした療育キャンプを開発、夏に「のびのびキャンプ」として実施している。開催にあたっては、ADHDの人や家族を支援しているNPO法人「えじそんくらぶ」の協力を得た。

(2)肢体不自由児・者の療育活動

肢体不自由児・者の療育キャンプを支援団体との共催・協力により、各地で実施した。夏季、冬季の野外活動を通じて、参加者の自立と社会参加を促進し、あわせて交流の輪を広げた。

(3)NHKハートフォーラム(障害福祉・発達障害福祉)やワークショップ

自閉症やLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などについて取り組みを強化し、各地の放送局や関係団体と共催で、NHKハートフォーラムを11回開催した。また精神障害のある人の家族に向けたワークショップを3回実施した。

○発達障害福祉

発達障害児・者の教育支援や就労の問題をとりあげたフォーラムを大幅に増やし、11回開催した。「特別支援教育」が本格的に動き出した中で、教員や発達障害児の親などが高い関心を示し、参加者も昨年に比べ、1800人増加した。

○精神障害のある人の家族のためのワークショップ

岩手県、青森県、山形県の精神障害者家族会連合会とともに、SSTリーダー 高森 信子さんによる「精神障害のある人の家族のための講演とワークショップ」を実施した。

○ろう俳優と子どもたちの交流体験

日本ろう者劇団の井崎哲也さんが小学校を訪問、子どもたちとコミュニケーションについて考え、交流した。

(4)障害のある人もない人もともに楽しむイベントの開催

11月から12月には、多くの人に福祉に関心を持ってもらうためイベントを集中的に開催しているが、「ハートストリート」や、NHK教育フェアでの「ふくし体験(障害・高齢擬似体験)」には多数の参加があった。
また、NHKが中心となって取り組んでいる「NHKハートラボ」の実施に全面的に協力している。

○NHKハートストリートの展開

渋谷駅からNHK放送センターまでの公園通りを障害者のアートで飾り、街行く人々に楽しんでもらうとともに、障害のある人もない人も一緒に楽しめるパフォーマンスを繰り広げ、障害者理解を深めてもらおうと実施している。
実施期間

絵画協力 展示協力

○子どもと福祉「ストレッチマンと“ふくし体験”」

NHK教育テレビに親しんでもらおうと毎年開催されている「NHK秋のふれあい広場・教育フェア」で、人気の高い“ストレッチマン”と一緒に、車いす体験、高齢者・視覚障害者擬似体験、盲導犬と歩く体験をすることで、障害者や高齢者への理解を深めてもらった。
NHK玄関内の特設ステージではストレッチマンが高齢者体験をする「ワークショップ」も実施、多くの親子が福祉について考えてもらう機会を作った。
この様子は11月3日、総合テレビで中継された。

○NHKハートコンサート?ものづくりの技と音楽のコラボレーション?

第39回技能五輪国際大会、第7回国際アビリンピックが日本で同時開催された(2007年ユニバーサル技能五輪国際大会)のを受け、応援するハートコンサートを行った。
出演は、加藤登紀子、清水紘子と盲導犬ピアザ、宮城まり子とねむの木学園のみなさん。コンサートの模様は12月27日、FMで放送された。

○NHKハートラボ

障害のある人もない人もともに参加し、楽しむワークショップを実施した。
福岡の大濠公園で開催した「NHK福岡ハートパーク」では、障害のある人が描いた絵210点を、街路灯を飾るフラッグにして展示した。

(5)第42回NHK障害福祉賞

第42回を迎えた「障害福祉賞」は、テレビ・ラジオによる周知を強化した。第1部門を中心に326編の応募があり、次の実践記録が入選となった。
第1部門 障害のある本人の部門
第2部門 障害のある人とともに歩んでいる人の部門

応募数 326編(第1部門:240編、第2部門:86編)
入選作

入選作品は「100%あるがままでいこう!?入選作品集」として刷成し、広く頒布したほか、朗読による音声版(テープ)の入選集を作成し、全国の点字図書館や視覚障害の応募者などに提供した。贈呈式は12月4日にNHK放送センターで行った。
また、第42回の入選作品のうち4作品が、「ハートをつなごう」(平成19年11月26日?28日教育テレビ)で、シリーズで放送されたほか、最優秀の圓井美貴子さんと優秀の印南房吉さんが、12月10日の「ラジオ深夜便」に出演した。

(6)第12回NHKハート展

障害のある人がつづった詩と、その詩をモチーフに各界の著名人が制作したアート作品を組み合わせて展示する「NHKハート展」。平成6年度から開催されている12回目の展覧会には、これまでで一番多い6,316編の詩が寄せられた。その中から50編の詩が選ばれ、作詩者の想いを表現した絵などが添えられた。
これらの作品は、平成19年3月6日から11日まで日本橋三越での東京展をはじめ、大阪市、静岡市など13か所の巡回展で紹介され、入場者は68,866人に上った。
また、第13回NHKハート展には、4,598編の詩が寄せられた。第13回NHKハート展は平成20年3月4日から9日までの日本橋三越での東京展をはじめとして、平成20年度内に全国13会場で開催する予定。

第12回NHKハート展入場者数(13会場)

(7)スポーツイベントの開催

東京都、東京都障害者スポーツ協会とともに、重度障害者と知的障害児・者が参加するスポーツの集いを実施した。
また、障害のある人のスポーツ競技への関心の高まりを受けて、障害のある人もない人もスポーツを通じて交流を深める「NHKハートスポーツフェスタ」を5会場で開催した。

ア.第41回スポーツの集い

あわせて重度障害者も参加できる「ボッチャ」競技も実施し、障害のある方にとって参加種目を広げた。

イ.NHKハートスポーツフェスタ

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2.高齢者福祉事業

(1)NHK福祉ネットワーク「公開 すこやか長寿」

NHK教育テレビ「福祉ネットワーク 公開すこやか長寿」の番組収録と、高齢者の健康等に役立つ講演を内容とした高齢者福祉イベントを全国9か所で開催した。(1か所は台風のため中止)

※ 9月7日、北海道羽幌町で実施予定の「すこやか長寿」は台風のため中止した

(2)NHKハートフォーラム(高齢者福祉)

地域の高齢者福祉のニーズに応えながら、楽しく参加できる健康づくりのフォーラムや、地域のあり方を考えるフォーラムを7回開催した。(1か所は台風のため中止)

※ 7月14日、熊本市で実施予定の「成年後見」フォーラムは台風のため中止した

○ホスピス施設への津軽三味線慰問活動

東海地方のホスピス施設で、年間5回の慰問演奏会をおこなった。

(3)認知症フォーラム、NHKハートフォーラム(認知症)

NHKの認知症キャンペーンや放送と連動させながら、認知症フォーラムやNHKハートフォーラムを合計15回開催した。

○認知症フォーラム「あきらめない?最新医療と社会の支え?」

認知症は早期発見や早期治療が可能になってきた。また、介護する家族を支える上でネットワークや地域の果たす役割が重要となっている。認知症になっても安心して暮らすための最新情報を伝えた。事業団、NHKと読売新聞の主催で、放送や紙面など複合的なメディアで啓発につとめた。

更に、事業団とNHKエンタープライズの主催で次の認知症フォーラムをおこなった。

また認知症に対する正しい知識を持ってもらうために、小冊子「もの忘れが気になるあなたへ」(監修・小阪憲司横浜ほうゆう病院長)を作成し、フォーラムの参加者や希望者に配布した。
3月末現在90,000部の発行。

○NHKハートフォーラム(認知症)

認知症についての様々なテーマと地域のありかたを話し合った。

○認知症講演会

「認知症キャンペーン」の一環として、全国22か所で認知症講演会をおこない、多くの人が参加した。

(4)ラジオ公開生放送「鎌田 實 いのちの対話」の実施

長野県諏訪中央病院の鎌田實医師をホスト役に毎回多才なゲストを迎えて、「いのち」について参加者とともに考えるラジオ公開生放送。
今年度は4回行なったが、朝早くの生番組にもかかわらず多くの視聴者が参加した。

(5)第20回どう生きる高齢社会「銀の雫文芸賞」

公益信託「雫石とみ文芸賞基金」による「銀の雫文芸賞」は、高齢社会をテーマとして公募する文芸賞で、20回目を迎えた。
今回は、全国から490編の応募があり、次の3編が入選した。入選作品は、「銀の雫文芸賞作品集」として刷成し、広く頒布した。

最優秀の「晩年の弟子」は、ラジオ「FMシアター」(平成19年12月15日(土)NHK?FM)で放送された。

なお、「雫石とみ文芸賞基金」が19年度で終了するのに伴い、「銀の雫文芸賞」も20回をもって終了することとなった。今後は、NHKとともに「NHK銀の雫文芸賞」として後を引き継ぐ。

(6)NHK介護百人一首

日々の介護の様子や思いなどを詠んだ短歌を募集し、珠玉の作品を「介護百人一首」として選出し、作品集にまとめた。
2回目の平成19年度は、5,953首の短歌が集まった。入選作品は放送で紹介されたほか、パネルにして全国で展示した。

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3.NHKボランティアネットの運用

NHKからの受託事業である「NHKボランティアネット」は、ボランティア活動に携わる人たちや推進団体への情報源として、ますます評価が高まっている。
また、地域の放送局や関係団体などとの共催で、NHKハートフォーラム(ボランティア)」を開催した。

(1)NHKボランティアネットの運用

インターネットを通してボランティアに関する情報を発信する「NHKボランティアネット」は、阪神・淡路大震災でボランティアが注目された平成7年にスタートし、以来13年の実績を積み重ねてきた。
近年、ボランティア体験が学校等のカリキュラムとして行われるようになり、企業も社会的責任活動の一環として力を入れるようになった。また、団塊世代が定年を迎え、ボランティア活動に積極的に参加していくことが期待されている。

平成19年度は、災害活動への支援情報のいっそうの充実をはかるとともに、利用者のニーズに的確に応え、信頼されるホームページの運用に努めた。
災害支援情報については、7月の「平成19年新潟県中越沖地震」や9月の「秋田県大雨災害」、11月の「バングラデシュ・サイクロン災害」などで、義援金募集や最新情報を特設コーナーを設けて発信した。
また、定年を迎えた世代にボランティア活動を促す新コーナー「定年後をたのしむ」を創設し、ボランティア入門講座や活動中のボランティアからのメッセージを取材、掲載した。
各地の社会福祉協議会やボランティア団体と積極的な情報交換にもつとめ、サイトの充実を図った。
さらに、20年度に向け、ボランティア団体から送られてきた現場の写真を掲載する「みんなの元気!?私が撮ったこの1枚?」や、コラム「こだわりアンテナ」の準備作業を進めた。

「各地のボランティア情報」には、常時200件を超える活動を掲載。ホームページへのアクセスとしては、1日平均12,000強のページビューがあった。年間の総ページビューは4,464,804に上った。

(2)NHKハートフォーラム(ボランティア)の開催

NHK広島放送局と共催でボランティア活動を啓発するフォーラムを1回実施した。

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4.福祉情報の提供事業

当事業団の特色であるNHKの放送と一体となった福祉活動の充実をはかるため、福祉情報の提供に努めている。特に、創立以来の基幹事業の一つである、NHKの福祉番組を複製して貸し出しを行う「福祉ライブラリー(テープとビデオ)」は、福祉を学ぶ音声・映像資料として多くの方に利用されている。
また、情報誌「はーとはーと」を年4回発刊し、著名人に福祉に対する考えを聞くインタビューや、障害のある人の暮らしや考えを伝えるインタビュー記事を掲載し、多くの方に親しんでいただける形で情報発信をしている。
さらに、ホームページの充実に努め、各種催しの周知、事業団活動の報告を、わかりやすい形で提供するように工夫している。
なお、NHKの福祉キャンペーン「NHKハートプロジェクト」を推進するために、NHKのホームページと連携して福祉情報を発信するようにしている。

(1)福祉ライブラリー活動

NHKの福祉関係の新番組や反響の大きかった番組をいち早く加え、番組複製(テープとビデオ)を行い、利用者のニーズに応えた。
特に、福祉ビデオライブラリーは、放送された福祉番組をいち早く利用したいという要望に応えるため、春と秋、年2回の複製をおこない、5月と10月に新たな番組をライブラリーに追加した。
また、聴覚障害者向けに字幕付きのビデオを作成し、全国の聴覚障害者関係施設に貸し出しの委託を継続して行った。


(2)NHK福祉情報誌「はーとはーと」の発刊

著名人や障害者のインタビューを通して読者に福祉の関心を高めていただく福祉情報誌「はーとはーと」を年4回発刊した。

年4回(季刊) 1回8,000?10,000部 年間38,000部
2007夏号(6月25日発行) 高見 のっぽ(俳優・作家・歌手) 太田 正博(若年認知症の本人)
2007秋号(10月10日発行) 遥 洋子(タレント・作家) 早瀬 憲太郎(ろう児のための学習塾・早瀬道場塾長)
2007冬号(12月25日発行) 藤田 弓子 女優) 平本 歩(人工呼吸器をつけて地域で暮らす)
2008春号(3月30日発行) 半井 小絵(気象予報士) 岩本 重雄(聴覚障害の人たちが働く、たつのこ作業所所長)

(3)認知症冊子「もの忘れが気になるあなたへ」の配布

認知症について正しい知識を持ってもらうために、冊子「もの忘れが気になるあなたへ」を9万部作成、フォーラム参加者や希望者に無料で配布した。(送料は利用者負担)
認知症はどんな病気か、治療法や予防法、相談窓口などをわかりやすくまとめた。

(4)ホスピスガイドブック「ホスピスってなぁに?」の配布

この冊子は肉親をがんで亡くされた千葉市のYさんからの寄付をもとに発行しているもので、平成12年度に発行し9版の改訂を行い、これまで31万部を配布した。
新聞やテレビ、ラジオでの周知、がん患者の増加、終末期医療への関心の高まりによりガイドブックを求める人は多く、希望者には無料で配布している。(送料は利用者負担)

今年度の9版の作成とフォーラムの開催で、特別会計Ⅴのホスピス基金を終了した。ガイドブックは在庫もわずかとなっている。事業団のホームページにも同じ内容を掲載しているので、今後はそれを参考にしていただく。

(5)NHK福祉キャンペーン「NHKハート・プロジェクト」との連携

「NHKハート・プロジェクト」は、「ともに生きる社会」をテーマに、NHKの福祉番組や福祉イベントを多くの視聴者にご利用いただこうというもので、シンボルマークは親しみやすい「ハート」で統一して展開している。
当団はこれまで蓄積してきた福祉事業の経験をもとに、NHKと協力しながら、下記の番組制作やイベントを行っている。

主な番組やイベント

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5.チャリティー事業

NHKをはじめ多くの関係団体の支援・協力を得て、以下の主催チャリティー事業を実施した。
チャリティーによる純益は、障害者福祉事業などに役立てたほか、福祉機器や車両を購入し福祉関係団体・施設へ贈呈した。
(「※」印は物品などの贈呈をした催しで、詳細は、6‐(5) に記載 )

(1)NHK番組公開チャリティー

(2)事業団企画チャリティー

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6.その他の支援事業

「NHK歳末たすけあい・NHK海外たすけあい」や台風など災害発生時に、NHKと連携して救護活動を実施した。
また、障害者・高齢者の福祉および地域福祉の推進を支援する「わかば基金」での支援金やリサイクルパソコンの贈呈、チャリティー事業の益金による福祉機器の贈呈など各種支援事業を行った。
また、「新潟県中越地震」「能登半島地震」「平成19年新潟県中越沖地震」などの支援のため、全国のNHKと日本赤十字社などとともに義援金の受け付けを実施した。

(1)「NHK歳末たすけあい・NHK海外たすけあい」

「平成19年度NHK歳末たすけあい・NHK海外たすけあい」をNHK、中央共同募金会、日本赤十字社と共催で12月1日?25日の間実施した。
今年度は、12月1日に特別番組「あなたのやさしさを2007」を放送し、「NHK歳末・海外たすけあい」の義援金がどのように使われているかを紹介した。
同時に東京と大阪で実施した「たすけあいオープニングイベント」の様子も中継した。
また、全国の各放送局でも、11月から12月かけて福祉キャンペーン「NHKハート・プロジェクト」のイベントや放送を集中的に展開した。「NHK歳末・海外たすけあい」をその中核事業として位置づけ、様々な方法でPRに努めた。

歳末たすけあいは、中央共同募金会を通じて全国の障害者の方々や、援助や介護を必要とするひとり暮らしのお年寄り、援助を必要とする子どもたち、長期療養生活をしている人、生活が困難な世帯、災害地などに配分された。
海外たすけあいの義援金は、日本赤十字社が赤十字国際機関と協力し、ケニア大統領選挙後の暴動犠牲者救援や、スーダンの武力紛争の医療支援や救援物資配付、バングラデシュ・サイクロンなど自然災害に見舞われた被災地への救援、HIVや鳥インフルエンザなどの感染症の予防や患者への支援などに活用される。

(2)災害義援金受け付けの実施

当事業団ではNHK、日本赤十字社、共同募金会とともに、大規模な災害が起こった際には、その都度「災害たすけあい」を実施している。
平成19年度は、「新潟県中越地震災害義援金」を引き続きおこなったほか、新たに発生した「能登半島地震義援金」や「平成19年新潟県中越沖地震義援金」を実施した。また、台風や高波による地域災害に対し、4件の国内災害たすけあいを実施した。

(3)災害救護活動の実施

災害発生時には、NHKと連携し救護活動を実施している。
平成19年度は、「平成19年新潟県中越沖地震」により、多数の死傷者が発生し、災害救助法が適用された。そのため、この地域の被災者に対してNHK新潟放送局を通じて、すぐに役立つタオルを送付した。
7月17日、20日 合計:3,000本

(4)第19回地域福祉を支援する「わかば基金」

あすの福祉の芽を育てる「わかば基金」は、福祉の分野で地道に活動を続けているグループを励まし、支援するために設けられたもので、今回で19回目を迎えた。
今年度から、新たに「リサイクルパソコン部門」を設け、NHKで不要になったパソコンを寄贈していただき、リサイクルした上で必要としている福祉グループに贈呈した。試行という形であったが、NHKグループの新しい社会貢献活動につながった。
今年度の募集では、第1部門「支援金贈呈の部」に429グループ、第2部門「リサイクルパソコンの部」に246グループ(661台)からの申し込みがあった。
9月11日の選考委員会を経て、13グループに総額605万円の支援金、22グループに50台のパソコンを贈った。初回からの贈呈件数は302グループに上る。

<支援先>

(5)物品などの寄贈

(6)催物への招待

「第41回 NHK福祉大相撲」など催物開催時に、知的障害施設、盲学校生徒などの方々821名を招待した。

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7.広報活動

広く事業団の活動を周知するため、事業内容を紹介する印刷物を催し物会場で配布したり、定期的に福祉情報誌を刊行するなど、福祉活動への理解と協力を求めることに努めた。
また、ホームページでは、催し物の周知や活動報告などを分かりやすく伝え、「NHKボランティアネット」と合わせて、ネット時代にふさわしい広報活動に努めた。

(1)広報物の作成・配布

「NHK厚生文化事業団年報」(年1回)などを発行して、事業団の福祉活動への理解促進をはかった。
また、福祉情報誌「はーとはーと」(年4回:季刊誌)「事業団のふくし(業務案内パンフレット)」「事業紹介ポスター」「事業団活動を紹介する大型展示パネル」を作成し、催し物会場での配布や展示により周知活動を行った。
さらに、NHKの放送、ニュースによる各種事業の紹介のほか、外部に対する記事提供により、新聞・雑誌などでも活動内容が紹介された。

(2)広報活動の強化にホームページの拡充

ネット時代をむかえ、事業団のホームページを拡充し、利用者に見やすく分かりやすい情報を伝える努力をした。
内容は、事業団の催し物の予定、実施したフォーラムの報告、事業団が長年蓄積している「NHK障害福祉賞」や高齢者の生き方を綴る「銀の雫文芸賞」の入選作品などである。
さらに、メールで利用者のお問い合わせにも即応出来るよう努めた。

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8.共催、後援、協賛した事業

(1)関係団体等との共催事業

関係団体とともに下記の事業を実施した。

(2)後援、協賛したもの

福祉、医療、教育団体が行う福祉事業や福祉目的のチャリティー事業に積極的に協力し、本部・支局合わせて178の事業の後援、協賛を行った。

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9.寄付金

一般寄付金、チャリティー寄付金は、322件(個人:108件/団体:214件)130,942,488円にのぼった。

そのうち、 であった。

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10.賛助会員・維持会員

賛助会員は一般法人に広く協力を求め、本年度は、20団体24口の新規入会があったが、業績不振等により、減額1団体20口、退会12団体12口の申し出もあり、合わせて198団体から3,020万円の支援を受けた。
また維持会員については、NHKおよびNHK関連団体役職員、NHK旧友会員など 5,534名にのぼる方々の協力を得て、その額は7,632,550円に達した。

〔特別賛助会員〕 〔賛助会員〕

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11.役員

(1)役員体制 (平成20年3月31日現在)

(2)理事および監事に支払った報酬等の額

当該事業年度における当事業団の理事および監事に対する報酬等の内容は、以下のとおり。
理事 11名 3,400万円
監事 2名 ?

(注)1.上記人数には、当期中に退任した非常勤理事1名が含まれる。
2.上記のうち、非常勤の理事8名、監事2名には、報酬は支払っていない。

終わり

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