NHK厚生文化事業団 平成17年度事業報告書

目次

はじめに

社会福祉の動きと事業団のとりくみ

わが国の社会福祉は介護保険制度、支援費制度の導入で大きく変わりましたが、制度の持続可能性の視点等から見直しが行われ、平成17年の介護保険制度改正、障害者自立支援法の成立によって更なる転換期を迎えました。また、発達障害者支援法が施行され、課題であった発達障害に対する総合的な支援施策への取り組みがスタートしました。

一方、視聴者・国民の福祉ニーズは、ますます拡大・多様化しており、いっそうきめ細かな福祉サービスが求められています。

平成17年度、当事業団はNHK関連の社会福祉法人として、このような社会情勢の変化を踏まえ、視聴者・国民のニーズに応えるさまざまな福祉事業を実施しました。 特に、障害者福祉・高齢者福祉を基軸とした各種支援事業や情報提供、ボランティア促進事業など、NHKとの緊密な連携の下に公共放送ならではの福祉活動の展開をはかり、「心豊かな福祉社会の実現」に努めました。平成17年度の主な実施事業は次のとおりです。

○発達障害児支援への取り組み

発達障害者支援法の施行を踏まえ、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)など、発達障害のある子どもたちのための相談会やフォーラムを開催して発達障害児に対する支援を強化しました。

○第40回NHK障害福祉賞の実施

記念イベント「ともに生きるつどい」を開催するとともに、入選作品集「自立と共生をめざして」を発行し、障害福祉への共感と反響を呼びました。

○福祉ビデオ「ホスピス」の制作・動画配信

当団作成「ホスピスガイドブック」の反響に応えて「ホスピス」ケアの実際や利用法を紹介する福祉ビデオを制作し、その概要をホームページで動画配信するとともに、全国の地域がん診療拠点病院などの関係団体に配布・利用に供しました。

○「福祉相撲号」等、福祉機器の寄贈

NHK福祉大相撲の益金により、福祉車両10台を各地の福祉施設・団体に寄贈したほか、NHK歌謡チャリティーコンサートの益金で高齢者福祉施設(3か所)に「車いす付介護浴槽」、全国20の福祉施設に「音声ガイド付視覚障害者用パソコン」を贈呈しました。

○NHKハートフォーラムの開催

広く社会福祉の向上に資するため、障害者福祉・高齢者福祉・ボランティアをテーマとするNHKハートフォーラムを全国各地で開催(39回)しました。

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1.障害者福祉事業

(1)こどもの発達相談会および療育キャンプ

近畿、中部、九州地域において、ことばや発達の遅れた子どもや親のための定例相談会を実施するとともに、東京、近畿では学習障害等の相談会を実施した。

ア.定例相談会

近畿、中部、九州で13回実施した。知的や言語の発達のおくれや、自閉症、重複障害などの子どもの相談が多かった。

イ.母と子の療育キャンプ

東京と近畿では、これまで定例相談会に参加した子どもと母親を対象に「母と子の療育キャンプ」を行ってきたが、さらに利用者のニーズにあったプログラムを開発するため今年度は休止し、中部のみ実施した。
中部の「NHKやまびこキャンプ」は22回目を迎え、愛知教育大学障害児教育講座の協力により実施した。

中部 8月5日から7日 愛知県豊田市の旭高原元気村で 参加者は19組

ウ.LD・ADHD・高機能自閉症教育相談会

「定例相談会」から、LDやADHD児に関する相談を独立させ、近畿支局では平成12年度から「LD教育相談会」、東京では平成13年度から「LD・ADHD・高機能自閉症教育相談会」(平成17年度より、「LD相談会」を名称変更)として実施している。

(2)肢体不自由児・者の療育活動

肢体不自由児・者の療育キャンプを肢体不自由関係団体と共催・協力により各地で実施した。夏季、冬季の野外活動を通じて、参加者の自立と社会参加を促進し、あわせて交流の輪を広げた。

  1. 第37回フレンドシップ・キャンプ 8月16日から18日 大阪府立少年自然の家で 参加66名
  2. 第37回高木記念山中キャンプ
  3. 第17回雪と遊ぼう 親と子の療育キャンプ 1月7日から9日 新潟県南魚沼市で 参加93名
  4. 第33回雪あそびのつどい 2月5日から6日 兵庫県千種町で 参加 50名

(3)NHKハートフォーラム(障害福祉・発達障害福祉)の開催

「自閉症」のほか、最近関心が高まっている「学習障害(LD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」などについての取り組みを強化し、各地の放送局や関係団体と共催で  「NHKハートフォ−ラム(障害・発達障害)を14回開催した。

○障害福祉

参加者合計1331名

○発達障害福祉

参加者合計5239名

(4)第40回NHK障害福祉賞

概要

障害のある人の体験記録や、障害児・者の教育や福祉の分野での実践記録に贈るNHK障害福祉賞は第40回目を迎えた。NHKが共催となり、テレビ・ラジオにより全国に周知が行き届き、これまで最多の応募数となった。また、40回を記念して「ともに生きる」をテーマにNHKふれあいホールで贈呈式とイベントを実施した。

応 募 数424編。内訳は、第1部門が295編、第2部門が129編。

入選作

また、入選作品は「入選作品集〜自立と共生をめざして」として刷成し、広く頒布したほか、朗読による音声版(テープ)の入選集を作成し、全国の点字図書館や視覚障害の応募者などに提供した。
また、今回の入選作品のうち3作品が、「福祉ネットワーク」(平成17年12月5日から7日 NHK教育テレビ)で放送された。最優秀の杉田さんの作品は大きな反響をよび、1茨城放送(民間ラジオ局)では、全文が朗読で紹介された。

第40回NHK障害福祉賞 記念イベント〜ともに生きるつどい〜 実施

記念イベントは、12月3日NHKふれあいホールを会場にして行った。

第40回を迎えたNHK障害福祉賞はニュース等で放送される機会が多く、入選作品集の問い合わせや申し込みが多数あった。

(5)第10回NHKハート展

障害のある人が創作した詩に、各界で活躍する著名人などが詩のイメージで絵を描き、併せて展示する「NHKハート展」を平成6年度から開催してきた。 第10回NHKハート展は、平成17年度内に全国12会場で開催され、あわせて7万5,324人が入場し、これまでの最高の入場者数となった。     また、第11回NHKハート展は、日本全国からこれまでの応募作品数としては一番多い4,898編の詩が寄せられた。その中から50作品が選ばれ、画家や著名人の絵などが添えられた。 これらの作品は、平成18年3月7日から12日まで開催した日本橋三越での東京展を始めとして、平成18年度内に神戸市、静岡市など14か所で巡回展を開催する予定。

第10回NHKハート展 入場者数(12会場)

(6)NHKハート・ストリート

NHKは福祉キャンペーンを推進するため、今年度「NHKハート・プロジェクト」を発足させた。NHKハート・ストリートはそのイベントの一つで、渋谷駅からNHKまでの公園通りを障害者のアートで飾り、街行く人々に親しんでもらい、併せて障害者理解を深めてもらおうと始めた。

オープニングイベント

協力団体
絵画は、東京都立養護学校(中野、港、青鳥、光明)、神奈川県立養護学校(保土ヶ谷、鶴見、瀬谷)、日本肢体不自由児協会、東京都知的障害者育成会、日本チャリティ協会などの団体や個人。
街路灯や店舗については、渋谷区公園通商店振興組合。

(7)スポーツイベントの開催

東京都、東京都障害者スポーツ協会とともに知的障害児・者のスポーツの集いを実施した。
また、障害のある人のスポーツ、運動競技への関心の高まりを受け、障害のある人もない人もスポーツを通じて交流を深める「NHKハートスポーツフェスタ」を4会場で開催した。

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2.高齢者福祉事業

(1)NHK福祉ネットワーク「公開 すこやか長寿」

NHK教育テレビ「福祉ネットワーク 公開すこやか長寿」の番組収録と、高齢者の健康等に役立つ講演を内容とした高齢者福祉イベントを全国10か所で開催した。

合計参加者:4,244名

(2)NHKハートフォ−ラム(高齢者福祉)

地域の高齢者福祉のニーズに応えながら、健康で生きがいをもって充実した人生を送れるように楽しく参加するフォーラム、認知症のケアや成年後見制度をわかりやすく学ぶフォーラムなど11回開催した。

合計参加者:4,933名

(3)ラジオ公開生放送「鎌田 實 いのちの対話」の実施

長野県諏訪中央病院の鎌田 實医師をホスト役に毎回多彩なゲストを迎え「いのち」について参加者とともに考えるラジオ公開生放送。今年度は4回行い、朝早くの生番組にもかかわらず多くの視聴者が参加した。

合計参加者:2,341名

(4)第18回どう生きる高齢社会「銀の雫文芸賞」

公益信託「雫石とみ文芸賞基金」による「銀の雫文芸賞」は、高齢社会をテーマとした特色ある文芸賞で、18回目を迎えた。今回は、全国から564編の応募があり、次の3編が入選した。
入選作品は、「銀の雫文芸賞作品集」として刷成、頒布した。

なお、「はるさんの日記」は、ラジオ「FMシアター」(平成18年1月7日(土)NHKラジオ−FM)で放送され、第43回ギャラクシー賞ラジオ部門「ギャラクシー賞選奨」を受賞した。

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3.ボランティア活動促進事業

我が国のボランティア活動は、児童・障害者・高齢者など福祉分野はもとより、さまざまな分野で多様、かつ活発に展開されている。
NHKからの受託事業として運用している「NHKボランティアネット」は、ボランティア活動に携わる人たちや推進団体への情報源として、ますます評価が高まっている。
また、ボランティアネット参加団体との共催で2か所、各地の放送局や地元の関係団体などとの共催で2か所、あわせて全国4か所で「NHKハートフォ−ラム(ボランティア)」を開催した。

(1)NHKボランティアネットの運用

インターネットを通してボランティアに関する情報を発信する「NHKボランティアネット」は、ボランティア元年と呼ばれた平成7年のスタート以来11年を経過した。
この間、ボランティア活動に携わる人も活動内容も多様化して活動は大きく広がり、番組やニュースで活動状況がしばしば取り上げられるなど、国際的にも国内的にもボランティアの存在は欠くことができないものとなっている。

平成17年度は、情報掲載に関して、登録方式からどんな団体でも、幅広く情報を寄稿できるシステムの定着に努めた。寄せられるボランティア募集情報や関連する講座・講演会などイベント情報は綿密に精査して、常時250?310件程度掲載した。また、「ボランティア便利帳」など関連情報コンテンツのデザインや内容の見直しをはかった。
今年度も引き続き、災害支援情報を提供した。記録的な豪雪にみまわれたため早い段階から除雪ボランティア情報を掲載したのが特徴的であった。
国内で発生した大地震や台風、海外のハリケーン「カトリーナ」、パキスタン地震、 フィリピンの地滑りなどに対応し、NHKニュースや義援金・救援金情報、ボランティアの活動状況などを特設コーナーを設けて発信した。また、昨年度から継続して、新潟県 中越地震、インド洋大津波、三宅島帰島関連情報を伝えた。
ホームページへのアクセスとしては、1日に13,000件程度のページビューがあり、大災害時にはその数は2倍、3倍に達することがあった。
年間の総ページビューは4,908,296件でした。

(2)NHKハートフォーラム(ボランティア)の開催

NHKボランティアネットに参加している団体と共催して、色彩によって高齢者や障害者の心をいやす「色彩ボランティア」や「病院ボランティア」を促進するためのフォーラムを実施した。
NHK各放送局や関係団体と共催で、防災フォーラムを2回実施した。松山市では、四国の被災地でボランティア活動をした大学生が、地域を災害から守るにはどうしたらよいかと話しかけ参加者の共感をよんだ。

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4.福祉情報の提供事業

社会福祉に対する視聴者・国民の要望や関心は年々高まり、充実した福祉情報の提供が求められている。そのような状況の中、当事業団の特色であるNHKの放送と一体となった福祉活動の充実をはかるため、福祉情報の提供に努めている。特に、設立来の基幹事業である、NHKの福祉番組を複製して貸し出しを行う「福祉ライブラリー(テープとビデオ)」は、福祉を学ぶ音声・映像資料として多くの方に利用されている。
また、毎年、独自に制作している福祉ビデオの17年度版は「ホスピス(全4巻)」を制作した。このビデオでは、ホスピスの理解、ホスピス緩和ケアの利用方法などについてわかりやすく紹介した。
さらに、福祉情報誌「ピーヴォ」の発行、ホームページでは各種催しの周知、出版物の紹介など、NHKボランティアネットとリンクして積極的に情報提供を行った。
NHKの福祉キャンペーンとして今年度スタートした、「NHKハート・プロジェクト」事業の推進に全面的に協力した。

(1)福祉ライブラリ−活動

NHKの福祉関係の新番組や反響の大きかった番組をいち早く加え、番組複製(テープとビデオ)を行い、利用者のニーズに応えた。
特に、ビデオライブラリーは「NHKボランティアネット」でも貸出しリストの掲載を続け利用促進を図っている。また、聴覚障害者向けに字幕付きのビデオを作成し、全国の聴覚障害者関係施設での貸し出し委託を継続して行った。

(2)NHK福祉情報誌「ピーヴォ」の発行

福祉の動きが活発になり、またより身近になってきた中で、最新の福祉に関する話題や、 NHKの福祉番組の詳しい情報をタイムリ−に提供する福祉情報誌「ピーヴォ」を発行して8年が経過した。高齢者、障害者、ボランティアに関する話題と諸情報を専門的かつ多角的に編集し、福祉関係者をはじめ広く一般の方々に提供した。

年4回(季刊)年間34,000部

(3)福祉ビデオ「ホスピス」の制作

〈内容〉「ホスピス」全4巻
治癒が困難ながんの患者さんとご家族を最期まで支えてくれるホスピスケアについて、わかりやすく紹介するビデオを制作した。ホスピスを利用したいと思っている人たちが、ホスピスケアの実際について知り、利用するときの手がかりとなる情報を得られる内容とした。

なお、本事業は日本自転車振興会の補助金を受けて実施した。

◆各巻の内容

第1巻 ホスピスとは何か 〜緩和ケア病棟のある看取りから〜

「緩和ケア病棟」というホスピスケアのための施設では、がんの患者さんの多くが体験する痛みを和らげ、最期まで充実した日々を過ごせるよう心身のケアを行っている。緩和ケア病棟で夫を看取った方の手記をもとに、ホスピスケアの実際を伝える。

第2巻 在宅ホスピスケアの可能性 〜最期まで住み慣れた家で〜

最期まで住み慣れた自宅で暮らしたいという願いに応えるのが「在宅ホスピスケア」。訪問診療、訪問看護、訪問介護などを受けて自宅で暮らす方を紹介しながら、在宅ホスピスケアの実際と、自宅での暮らしが可能になる条件について伝える。

第3巻 新しい動き 〜いつでも誰にでもホスピス緩和ケアを〜

入院するほどではない、身の回りのことが自分でできる、そんな段階の患者さんを支える新しい取り組みが始まっている。通院して痛みのコントロールなどをしてもらう「緩和ケア外来」と、日中を仲間とともに過ごす場「デイホスピス」を中心に伝える。

第4巻 ホスピス緩和ケア 利用Q&A

「ホスピスケアの費用はどのくらいかかる?」「緩和ケア病棟がどこにあるか探す方法は?」「ホスピスケアを利用するときの手続きは?」など、実際に、緩和アケ病棟や在宅ホスピスを利用したいと思ったときに役に立つ情報を紹介する。

このビデオは、当事業団から貸し出しをするほか、全国の地域がん診療拠点病院の一部、看護協会の一部、医療ソーシアルワーカー協会の一部などにも貸し出しを委託し、関係者の利用希望に応えていく。
また、ビデオの貸し出しに先立ち、「ホスピス」を理解し疑問にお答えするためダイジェスト版を当団のホームページで、動画配信して紹介した。平成18年1〜3月の3か月間で、情報閲覧のアクセス数は、2,138件となった。
なお、本事業は日本自転車振興会の補助金を受けて実施した。

(4)ホスピスガイドブック「ホスピスってなぁに?」の配布

この冊子は肉親をがんで亡くされた千葉市のYさんからの寄付をもとに発行しているもので、これまで7版の改訂を行い28万部を発行した。
新聞やテレビ、ラジオでの周知、がん患者の増加、終末期医療への関心の高まりによりガイドブックの配布を希望する人が増えている。
(3)で紹介した福祉ビデオ「ホスピス」は、ガイドブックの反響の大きさに応え、さらに分かりやすく制作したものである。

ホスピスガイドブック「ホスピスってなぁに?」(第7版)

ガイドブックは個人からの申し込みのほか、終末医療を学ぶ人、これからホスピスをつくろうとする人などから教材としての利用希望も多く、福祉系大学、看護学校、医療従事者の研究会などに数多く利用されている。

(5)NHK福祉キャンペーン「NHKハート・プロジェクト」との連携

「NHKハート・プロジェクト」は、NHKが今年度福祉キャンペーンとして始めたもので、シンボルマークを親しみやすい「ハート」で統一し、放送やイベントを通じて広く視聴者に「ともに生きる社会」の実現を呼びかけた。当団はこれまで蓄積してきた福祉活動の経験をもとに、下記の番組制作やイベントの実施に協力した。

主な番組やイベント

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5.チャリティー事業

NHKをはじめ多くの関係団体の支援・協力を得て、以下の主催チャリティー事業を実施した。
チャリティー事業による純益は、障害者福祉事業などに役立てたほか、福祉機器や車両を購入して福祉関係団体・施設へ贈呈した。
(※印は物品などの贈呈をした催しで、詳細は、6‐(5)に記載)

(1)NHK番組公開チャリティー

(2)事業団企画チャリティー

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6.その他の支援事業

「NHK歳末たすけあい・NHK海外たすけあい」や台風など災害発生時にNHKとの連携による救援活動の実施。また、障害者・高齢者の福祉および地域福祉の推進を支援する「わかば基金」の贈呈、チャリティー事業の益金による福祉機器の寄贈など各種支援事業を展開した。
また、「宮崎県台風14号被害」の台風などによる被災地へ救援物資を急送したほか、国内の台風被災地支援と「米国ハリケーン災害」、「パキスタン北部地震」、「フィリピン地滑り災害」などの支援のため、全国のNHKと日本赤十字社などとともに義援金や救援金の受け付けを実施した。

(1)「NHK歳末たすけあい・NHK海外たすけあい」

平成17年度「NHK歳末たすけあい・NHK海外たすけあい」をNHK、中央共同募金会、日本赤十字社と共催で12月1日〜25日の間実施した。
今年度は、11月26日、特別番組「あなたのやさしさを2005」を放送し、「NHK歳末・海外たすけあい」の義援金がどのように使われているかを紹介したほか、12月3日(日)を「ハートとハートがつながる日」として、NHK障害福祉賞の記念式典や福祉番組を集中的に展開した。
また、全国の各放送局でも、11月中旬から12月下旬にかけて福祉キャンペーン「NHKハート・プロジェクト」を展開し、その中核事業として「NHK歳末・海外たすけあい」を位置づけ実施した。
その結果、平成17年度は、夏以降、西日本の台風災害救援や、米国ハリケーン災害救援、パキスタン北部地震救援のための募金活動を次々に行ったが、「歳末」「海外」ともに、昨年度の件数・金額を上回り、合計金額では昨年より、約3.9% の増加となった。

義援金総額 16億1,836万1,859円(16万6,291件)

<内訳>

歳末たすけあいは、共同募金会を通じて全国の障害者の方々や、援助や介護を必要とするひとり暮らしのお年寄り、援助を必要とする子どもたち、長期療養生活をしている人、生活が困難な世帯、災害地などに配分された。
海外たすけあいの義援金は、日本赤十字社が赤十字国際機関と協力し、パキスタン北部を襲った大地震の被災者に対して医療、生活支援などの救援活動を行うほか、スマトラ島沖地震・津波の被災者に対しても引き続き復興支援を行う。また、世界各地の紛争により発生した難民に対し、医療、食料を中心に人道支援を行う。
さらに、南部アフリカにおいて、エイズ患者に対する在宅看護支援やエイズ感染予防教育を実施する。

(2)国内・海外の災害義援金受け付けの実施

平成17年度当事業団ではNHK、日本赤十字社、共同募金会などと共催で、「米国ハリケーン災害救援金」「フィリピン地滑り災害救援金」を受け付けた。
一方、平成12年度から実施していた三宅島からの避難世帯への義援金受付けは平成17年4月30日で終了し、「スマトラ島沖地震救援金」も平成17年6月30日に終了した。また、国内での台風、地震などの地域災害では、当事業団(地域によっては、当事業団支局)と被災地のNHK各放送局などで、義援金受付けを6件行った。

(3)災害救護活動の実施

災害発生時には、NHKと連携し救援活動を実施している。平成17年度は、台風などによる災害被害が少なく、災害救助法適用の被害地に地元放送局を通じて、災害救援物資タオルの送付は1件にとどまった。

台風14号
9月5日〜6日 宮崎県(宮崎市、延岡市ほか)*1,000本

(4)第17回 地域福祉を支援する「わかば基金」

あすの福祉の芽を育てる「わかば基金」は、地域で地道に福祉活動を続けているグループを支援するために設けられたもので、今回で17回目を迎えた。
全国から475件の申し込みがあり、9月12日の選考委員会で、15グループを選考し、総額784万円の支援金を贈った。
これで、初回からの贈呈件数は250グループとなった。

<支援先>

(5)福祉機器などの寄贈

(6)催物への招待

「第39回 NHK福祉大相撲」などチャリティー催物開催時に、知的障害施設、盲学校生徒などの方々1,010名を招待した。

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7.広報活動

広く事業団の活動を周知するため、事業内容を紹介する印刷物を催し物会場で配布したり、定期的に福祉情報誌を刊行するなど福祉活動への理解と協力を求めることに努めた。また、ホームページで、催しの事前周知などに努める一方、「NHKボランティアネット」に事業団のページを設けるなど、インターネット上でも広報活動を行った。

(1)広報物の作成・配布

「NHK厚生文化事業団年報」(年1回)などを発行して、事業団の福祉活動への理解促進をはかった。
また、NHK福祉情報誌「ピーヴォ」(年4回:季刊誌)「事業団のふくし(業務案内パンフレット)」「事業紹介ポスター」を作成し、催し物会場での配布をはじめ、さまざまな機会をとらえて、周知活動を行った。
また、NHKの放送、ニュースによる各種事業の紹介のほか、外部に対する記事提供により、新聞・雑誌などでも活動内容が紹介された。

(2)インターネット上での広報活動

事業団のホームページを充実し、実施事業の予定やその成果を積極的に掲載して広く活動内容の広報に努めた。
ホームページは、PROFILE(機構と概要・あゆみ・年度収支計算書)、DONATION(賛助会員制度のご案内・ご寄付について)、DOMAIN(事業の紹介)、TOPICS(最近の事業活動・催し物に関する情報)、LINKS(関連団体、福祉に関するサイトへのリンク集)などで構成し、情報更新の頻度を高めた。
また「NHKボランティアネット」の中にもNHK厚生文化事業団ニュースの項目を設け、ボランティアネットにアクセスした人にも当事業団の事業紹介が容易に見てもらえるよう設定している。
さらに、個人情報保護法の施行にともない、NHK厚生文化事業団の個人情報を適正に取り扱う基本方針と苦情等の問い合わせ先を掲載した。

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8.共催、後援、協賛した事業

(1)関係団体等との共催事業

関係団体とともに下記の事業を実施した。

(2)後援、協賛したもの

福祉、医療、教育団体が行う福祉事業や福祉目的のチャリティー事業に積極的に協力し、次の183事業の後援、協賛を行った。

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9.寄付金

一般寄付金、チャリティー寄付金は、332件(個人:136件/団体:196件)209,272,031円にのぼった。

そのうち、 であった。

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10.賛助会員・維持会員

賛助会員は一般法人に広く協力を求め、本年度は、増口1団体・1口、新規2団体・2口の加入があったが、経済不況や企業の合併等により、減額2団体・4口、退会6団体・6口の申し出もあった。合わせて159団体 から2,500万円の支援を受けた。
また、維持会員については、NHKおよびNHK関連団体職員など5,200名にのぼる方々の協力を得て、その額は6,305,330円に達した。

〔賛助会員一覧〕

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11.役員

(1)役員体制(平成18年3月31日現在)

(2)理事および監事に支払った報酬等の額

当該事業年度における当事業団の理事および監事に対する報酬等の内容は、以下のとおりです。

注)1.上記人数には、当期中に退任した常勤理事1名および非常勤理事1名が含まれています。
2.上記のうち、非常勤の理事8名、監事2名には、報酬は支払っていません。

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平成17年度事業概要

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